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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

アルゴ
  • アルゴ
  • 『アルゴ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
  • ■価格:¥3,980(税込)
  • 監督:ベン・アフレック
  • 出演:ベン・アフレック アラン・アーキン ブライアン・クランストン  ジョン・グッドマン 他
 
 

(C) 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved

アヤ・ソフィア<イスタンブール〜トルコ>

東と西、二つの文化が混ざり合う知の殿堂


コロッセオ(イタリア〜ローマ)

(C) feferoni - Fotolia.com

1979年にイランで起きたアメリカ大使館人質事件で、架空の映画製作を口実にCIAが実際に行った救出作戦を緊迫感あふれるタッチで描いた『アルゴ』。作戦決行前夜、イラン情勢を入手するため人質救出のプロ、トニーが向かった場所が、“ビザンチン建築の最高傑作”として名高いイスタンブールのアヤ・ソフィアでした。

ヨーロッパとアジアが交差するイスタンブールはかつてローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国という3つの大帝国の首都として繁栄した歴史ある街。世界遺産に登録されている旧市街では各時代を偲ばせる様々な建築物に出会うことができます。中でも目を引くのが、巨大ドームがそびえるアヤ・ソフィア。360年にビザンツ帝国のコンスタンティスヌス大帝によりキリスト教の大聖堂として建てられましたが、1453年にオスマン・トルコに征服されるとイスラム寺院(モスク)の総本山へと改修。内部のキリストの絵は塗り固められ、ミナレットと呼ばれる4本の塔がモスクのまわりに建てられました。1923年、トルコ共和国になるとアヤ・ソフィアは無宗教の博物館として再度生まれ変わります。ビザンチン美術の傑作と称されるモザイク画の「ディーシス(請願図)」やイスラム美術など、東洋の文化が融合した館内に歴史の重みを感じることでしょう。

『アルゴ』の監督・主演を務めたベン・アフレックは、撮影当時、ドーム内を照らすシャンデリアのLED照明が当時はなかったという理由から電球を当時のものに変えさせたといいます。およそ4000個以上の電球を取り換えたスタッフの苦労は計り知れませんが、シャンデリアがほのかに照らす館内のエキゾチックな雰囲気はため息がでるほどの美しさです。

『CIA史上、最もありえない救出作戦―― それは“ニセ映画”作戦だった。』 ■Introduction

1979年、革命が激化するイランで起こったアメリカ大使館人質事件で、実際にCIAが行った大胆不敵な救出作戦を緊迫感あふれるタッチで描いたサスペンスドラマ。『パール・ハーバー』のベン・アフレックが、監督、製作、主演の三役を務めた。共演は『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』のアラン・アーキン、『幸せの教室』のブライアン・クランストン 、『人生の特等席』のジョン・グッドマンなど演技派俳優が揃った。第85回アカデミー賞では7部門にノミネートされ、作品賞、脚色賞、編集賞の3部門を受賞した。

■Story

1979年11月。革命が激化するイランで、全世界を震撼させた歴史に残る大事件が起きた。過激派がアメリカ大使館を襲撃し、大使館員を人質にとったのだ。混乱のなか、裏口から6人が脱出する。カナダ大使の自宅に身を隠すも、見つかれば公開処刑は免れない…。そんな絶望的な状況を打破するため、CIAの人質奪還のプロ、トニー(ベン・アフレック)が呼ばれた。トニーが計画した救出作戦は、架空の映画「アルゴ」の製作を口実に、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げて出国させるというもの。イランどころかアメリカまでも欺いて、タイムリミット72時間の作戦が始まった。

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みんなで一緒に暮らしたら
  • みんなで一緒に暮らしたら
  • 『みんなで一緒に暮らしたら』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:バップ
  • ■価格:¥3,990(税込)
  • 監督:ステファン・ロブラン
  • 出演:ジェーン・フォンダ ジェラルディン・チャップリン ダニエル・ブリュール ピエール・リシャール  他
 

(C) LES PRODUCTIONS CINEMATOGRAPHIQUES DE LA BUTTE MONTMARTRE / ROMMEL FILM / MANNY FILMS / STUDIO 37 / HOME RUN PICTURES

高齢化社会に見る新しい“家族”の形

他人同士が共同生活を送るシェアハウスは今ではすっかり定着した感がありますがここでいう一緒に暮らす“みんな”とは高齢の男女5人のこと。超高齢化社会といわれて久しい日本と同様、本作の舞台フランスでも高齢化は大きな社会問題となっています。そんな悩める問題を題材に、高齢者たちの共同生活をユーモアたっぷりに描いたのが『みんなで一緒に暮らしたら』。

元哲学教師のジャンヌ、愛犬との散歩を日課とする夫のアルベール、血気盛んな活動家のジャンとその妻アニー、そして妻の亡きあと若い女性とのデートに勤しむクロード。ともに青春時代を過ごし、今でもお互いの誕生日をワインで祝う彼らでしたが、心臓発作で倒れ老人ホームへ入れられたクロードの現実を目の当たりにし、「友をこんなところで死なせられん」と一緒に暮らすことを決意します。

広い庭があるジャンとアニーの瀟洒な一軒家で75歳を過ぎて初めて共同生活を送ることになった5人。生活のルールは「自由主義」、すなわち出来るものが進んでやると決めたものの、食事中にテレビを見る、見ないをはじめ、ペースを乱されることへのストレス、それぞれが抱える病気、さらに認知症など高齢者ならではの悩みが表面化し、アニーが「私の家が……」と絶句する場面も。しかし、そんなマイナス面よりも印象的なのが、彼らの持つ知性や優しさ、さらには嫉妬や性欲など私たちのイメージする<高齢者>という枠から随分はみ出した感情豊かな人間像です。

思い出が詰まったそれぞれの写真立てが飾られたリビングで、緑豊かな庭で、ワインを楽しむ彼らの姿は、子供に将来を決められてたまるか、人生の幕引きを自分で決めるぞという気概がびしびしと伝ってきます。ラスト、みんなでついた小さな嘘はほろ苦くも温かく深い余韻を残すことでしょう。

『仲間と笑顔とシャンパンと素敵なお家があればいい!人生の、最高な最後の選択 』 ■Introduction

高齢の男女5人の共同生活を、フランスの俊英ステファン・ロブラン監督がユーモアたっぷりに描いた。主人公のジャンヌ役は、『コールガール』、『帰郷』で2度のアカデミー賞主演女優賞に輝いたジェーン・フォンダが務め、フランス映画での主演は実に40年ぶりとなった。その他、『永遠のこどもたち』のジェラルディン・チャップリン、『イングロリアス・バスターズ』のダニエル・ブリュール、『幸せはシャンソニア劇場から』のピエール・リシャールなどが共演し、個性豊かな登場人物たちを好演している。

■Story

元哲学教師のジャンヌ(ジェーン・フォンダ)と夫のアルベール(ピエール・リシャール)、血気盛んな活動家のジャン(ギイ・ブドス)とその妻アニー(ジェラルディン・チャップリン)、妻の亡きあと若い女性とデートに勤しむクロード(クロード・リッシュ)の5人は昔から誕生日を一緒に祝ってきた友人同士。だが、年を重ねたことで、それぞれの悩みも増えてきている様子で、ジャンヌも人生の最後をどう過ごすか考えていた。そんな時、友人のクロードがデート中に心臓発作で倒れ、老人ホームへ入れられてしまう。クロードの現実を目の当たりにしたジャンヌたちは、5人で一緒に暮らすことを決意する。

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