第13回 広島8大学設計展2016

広島8大学設計展 2016

名称

広島8大学設計展 2016

日程 展 示:2016年3月12日(土)〜3月17日(木)
審査会:2016年3月17日(木)
会場 旧日本銀行広島支店
審査員 富永 譲 氏 (フォルムシステム設計研究所主宰)
團 紀彦 氏 (團 紀彦建築設計事務所主宰)
中村 拓志 氏 (NAP建築設計事務所主宰)
司会 島田 陽 氏 (タトアーキテクツ 島田陽建築設計事務所主宰)
主催 広島8大学卒業設計展2016実行委員会
特別協賛 株式会社総合資格
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016

 3月17日(木)、旧日本銀行広島支店において、「広島8大学卒業設計展2016」の公開審査会が行われました。本設計展の主催は、「近畿大学、広島大学、広島工業大学、広島国際大学、広島女学院大学、福山大学、安田女子大学、山口大学」の8大学からなる実行委員会が担っており、さらに招待校である「岡山理科大学、島根大学、福山市立大学、呉工業高等専門学校、米子工業高等専門学校、 穴吹デザイン専門学校」の6校を加えた14校の学生が出展。出展総数82作品にものぼり中国地方最大規模の卒業設計展といえます。
 会場である旧日本銀行広島支店は、現存する被爆建物の一つであり、広島市指定重要文化財。原爆の痕跡を現在に伝える遺構として、常時一般公開され、芸術文化活動拠点としても利用されています。今年の作品展示は1階のロビーに加え、地下の資料室や3階の展示室など複数の室で展示されており、学生作品を鑑賞しながら、この建築物全体も鑑賞できるような構成となっていました。

広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016

 午前中の1次審査では、審査員として招かれた、富永譲氏、團紀彦氏、中村拓志氏の3名が巡回審査を行いました。審査はすべて公開審査となっており、一般来場者に交じって時ににこやかに、時に険しい眼差しで作品を評価する各審査員の表情が印象的でした。 1次審査の結果、以下の10作品が選出され、2次審査に進みました。

No. 名前 学校名 作品名
02 木下綾子さん 広島女学院大学 「身体を包む」
11 渡邊文彦さん 近畿大学 「Utopia Over The 25m」
17 阪口雄大さん 広島工業大学 「集まって商う場」
23 市場靖崇さん 近畿大学 「都市の船廠」
32 山本真実さん 安田女子大学 「0-base」
42 渡部桃子さん 近畿大学 「ART APARTMENT OF FURNITURE -家具と暮らす、家具で遊ぶ-」
48 播野日和さん 岡山理科大学 「万成石ミュージアム」
53 藤井隆道さん 近畿大学 「互恵の杜」
72 松田一明さん 近畿大学 「火山灰ミュージアム」
79 桑原建大さん 山口大学 「苗代川細工所 -薩摩焼集落における観光まちづくり拠点施設計画-」

 午後からの2次審査(プレゼンテーション・質疑応答)冒頭、本設計展の発起人である広島大学の岡河貢氏より挨拶があり、「建築は戦争や破壊といったものと対極にある。この広島で建築を考える意味をもう一度、学生に考えてもらいたい。」と設計展のテーマである「広島平和記念」の意義について語られました。
 続いて、1次審査を通過した10作品のプレゼンテーションがスタート。持ち時間はプレゼンテーション5分間、質疑応答5分間の計10分。学生たちはそれぞれの視点や感性で、設定敷地や人々が抱える問題に切り込んだ魅力ある計画を発表。審査員からプロの視点で投げかけられる鋭い問いに対して、学生たちが与えられた持ち時間を使い切って言葉を尽くしました。長時間に及ぶ選考の末、最優秀賞1点、優秀賞3点、審査員賞3点、市民賞1点の各受賞者が決定しました。

最優秀賞
市場 靖崇さん

No.23 近畿大学 市場 靖崇さん

都市の船廠

沿岸部に造船所の巨大なクレーン群が立ち並ぶ特殊な風景が日常とされる港街。戦艦「大和」をはじめ戦艦建造を担う軍港として栄えてきた呉の街は三方を山に、南方を海に囲まれた平地の少ない土地で、最盛期は41万人もの人であふれていたが、現在では衰退の一途をたどり人口が半減している。この計画では造船所の施設を利用し、宿泊施設や飲食店、ショップなど、街を構成する要素を巨大クレーンによって建設する。市場さんは「やがて立ち並ぶクレーン群が市街地にまで広がっていき、開発され続ける街の風景が呉の新たな景色となり、呉を造船の街として未来につなげたい。」と力強くプレゼンテーションをおこないました。各審査員からは、造船機能を活かしたまま街の建設を行うなど、実現が難しい点が数多くみられるが、それでも参画したくなるような楽しさや夢があると、異口同音に評価され、見事に最優秀賞の栄冠に輝きました。

都市の船廠
都市の船廠
優秀賞・中村賞
山本 真実さん

No.32 安田女子大学 山本 真実さん

0-base

若者たちは幼少期から競争社会に晒された結果、自己と向き合う期間を与えられぬまま社会に投げ出される。彼らは成人となる猶予期間を個々で作り出す必要があり、その一つの形が「引きこもり」であると考えられる。
かつてタングステンを採掘していたS鉱山を敷地とし、社会から隔絶された空間で引きこもりを完全肯定し、自己との対話を繰りかえすことが許される「分離・滞在・移行」という3つのテーマの室と回廊をめぐることで、自己の価値観を再構築し、自己と向き合うことのできる0-base空間を提案したいと、山本さんは発表を締めくくりました。審査員の中村氏からは「物質・光・空間の使い方がすばらしい。自身のプロジェクトに参加してほしいくらいだ。」と非常に高い評価と称賛がおくられました。

0-base
0-base
優秀賞
渡部 桃子さん

No.42 近畿大学 渡部 桃子さん

ART APARTMENT OF FURNITURE
-家具と暮らす、家具で遊ぶ-

問題提起として、日本のアートに関する関心や発信力、積極的な支援というものが、海外と比べて劣っている。と渡辺さんは語ります。アーティスト・イン・レジデンス(各種アーティストをある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業)の考えにのっとり共同住宅兼ギャラリーを設計。アーティストたち自身が自由に空間を創れるように躯体のみを設計し、筒抜け状の棚など家具で空間を仕切り、壁を支える。棚から見える生活の色・匂い・音から新しいコミュニティがうまれ、建築自身がアーティストたちが住むことによって創り上げられるアートとなることが目的であると計画を発表しました。2次審査進出者の中でもっとも質疑応答に時間をかけられた作品であり、審査員間でも評価の分かれる計画でしたが、造形の美しさや空間の利用が評価されての受賞となりました。

ART APARTMENT OF FURNITURE<br>-家具と暮らす、家具で遊ぶ-
ART APARTMENT OF FURNITURE<br>-家具と暮らす、家具で遊ぶ-
優秀賞
藤井 隆道さん

No.53 近畿大学 藤井 隆道さん

互恵の杜

間伐されない人工林の中は年中暗く、地盤の弱化など様々な問題をかかている。問題を改善するために集落を林道沿いに配置し、林業と暮らしを近づけることで人工林を生活の一部とし、継続的に林業を行うシステムを提案したいと、計画の根幹を説明する藤井さん。農家と農業の畑になぞらえ、「木の畑」をキーワードとし、放置された人工林に人間が手を加えながら住むことで、森と人間が互いに恩恵を受け合える互恵の関係を林業と暮らしの融合によって見出す。さらに原木の乾燥や製材などをする施設とそれらの木材を利用した体験型の施設を配置し、林間だからこそ生まれる風景や豊かさを計画したと云います。富永氏から「ドローイングが素晴らしい。着眼点もよく計画の魅力がよく伝わってくる」と評価されました。

互恵の杜
互恵の杜
團賞
万成石ミュージアム

No.48 岡山理科大学 播野 日和さん

万成石ミュージアム

上位10位選外・富永賞
鉱山都市の記憶

No.61 近畿大学 宮瀬 修平さん

鉱山都市の記憶

上位10位選外・市民賞
-小志向歴化社会での暮らしを考える-

No.15 広島工業大学 佐々木 春奈さん

つながる暮らし
-小志向歴化社会での暮らしを考える-

広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016
広島8大学設計展2016

審査会終了後、受賞者、観客、審査委員、関係者の懇親会が行われました。懇親会は建築や、建築にかける熱い思いについて、世代を超えて語らう姿が見られる素晴らしい場となりました。

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