第3回 「瀬戸内海文明圏 これからの建築と新たな地域性創造・研究会」シンポジウム

第3回 「瀬戸内海文明圏
これからの建築と新たな地域性創造・研究会」シンポジウム

名称

第3回 「瀬戸内海文明圏 これからの建築と新たな地域性創造・研究会」シンポジウム

日程 2017年6月13日(火)
会場 香川県立ミュージアム 講堂
基調講演 藤森 照信氏(東京大学名誉教授/東京都江戸東京博物館館長)
講演 松隈 洋氏(京都工芸繊維大学 教授)
パネリスト
  • 大平 達也氏(香川県総務部営繕課)
  • 平野 祐一氏(平野地域計画)
  • 和田 耕一氏(和田建築設計工房)
  • 渡辺 菊眞氏(高知工科大学 准教授)
特別顧問 岸 隆司(総合資格学院 学院長)
司会 岡河 貢氏(広島大学工学研究院 准教授)
主催
  • 瀬戸内海文明圏「これからの建築と新たな地域性」創造・研究会
  • AISU(Architectual Institute of Setouchi Union)
  • 代表幹事 岡河 貢氏
後援 総合資格学院

第3回瀬戸内海文明圏シンポジウムが四国・高松で開催

平成29年6月13日、「瀬戸内海文明圏シンポジウム」が、香川県高松市で開催されました。当学院学院長 岸 隆司が特別顧問を務める同シンポジウムは、瀬戸内海文明圏「これからの建築と新たな地域性」創造・研究会が主催し、総合資格学院が後援する形で3回目を迎え、会場となった香川県立ミュージアムとの共催により今回初めて四国で開催されました。 本シンポジウムでは、建築家、そして建築史家として活動されている藤森 照信氏による、丹下健三と瀬戸内海のつながりをテーマとした基調講演と、四国の建築についての発表や活動紹介が行われました。
会場の香川県立ミュージアム
開催主旨を述べる岡河 貢氏
『瀬戸内海文明圏「これからの建築とあらたな地域性」創造・研究会(AISU Architecture Institute of Setouchi Union)』は近畿・中国・四国・北九州など、瀬戸内に面する地域で活動を行う若い建築設計者や学生に向けて、瀬戸内建築が持つ魅力を共有・発信するため、2015年9月に、広島大学 岡河 貢准教授が幹事となり、組織されました。開催に先立ち、本シンポジウムの司会も務められた岡河氏から、「丹下健三先生の作品が多く残っている四国は、丹下先生にとって20世紀の大傑作を生み出す前に多くの建築的な実験を行ってきた場所だと思います。そんな四国という場所は、我々が21世紀の新しい建築を考えるためにとても適した場所です。今日はこれからの建築について皆さんと考えていきたいと思います」と四国開催への期待が述べられ、シンポジウムは開会しました。
(株)総合資格 藤吉 博利 部長
基調講演の前に、特別顧問である総合資格学院学院長 岸 隆司の代理として、総合資格学院の藤吉 博利部長からは、「総合資格学院では、学生や若者を中心に建築の魅力や重要性を啓蒙するための支援活動を行っており、建設業の発展と建築文化振興の基盤作りで社会に貢献していきたいと考えております。
2015年に尾道でスタートした瀬戸内海文明圏は、幹事の岡河先生の熱い思いに共感した学院長の岸が特別顧問として委員会に加わって、同じく顧問の伊東 豊雄先生や、本日登壇する松隈 洋先生をはじめ、多くの先生方と作り上げてきた研究会です。本日の皆さまとの出会いが、ともにこれからの建築を盛り上げていく実りのある機会となりますよう祈念いたします」と挨拶がありました。

藤森 照信氏の基調講演

基調講演を行う 藤森 照信氏
藤森氏の講演の模様

 「丹下健三」をテーマに行われた藤森氏の基調講演では、大東亜建設記念営造計画や広島ピースセンターなど丹下健三の著名な建築や計画の紹介を行いながら、シンボルとなる目標や海に向かって軸を通して、左右には一方に平坦なもの、もう一方に高さのあるものという形の違うものを配置するという丹下健三の建築計画の基本について解説されました。

 藤森氏は、こうした丹下健三の計画の基本について、丹下が様々な計画を通じて気づき、確立していった、建築家としてのものの見方、いわば網膜のようなものであると語り、さらに、こうしたものの捉え方のルーツとなったのは幼少期に今治の海岸から眺めていた、瀬戸内海の風景だったのではないかと考えを述べられました。

 実際に丹下健三にインタビューをした際のことを振り返り、その人間性についても触れながら行われた講演は非常に興味深く、時にユーモアもまじえ、独特の視点から丹下健三のルーツを紐解いていく内容に、会場は熱心に聞き入っていました。

松隈 洋氏の講演と4名のパネリストによる発表

基調講演の後は、京都工芸繊維大学教授の松隈 洋氏による「山本忠司と地域に根付くモダニズム建築」と題した講演が行われたほか、4名のパネリストから四国の建築や、それぞれの活動についての発表が行われました。
岡河氏が「まとまりはないが、だからこそ建築的探求に満ちたシンポジウムであった」と述べたように、四国建築の現状の紹介や、地域愛と情熱をもって瀬戸内海で地域性のある建築活動を行ってきた山本忠司や浦辺鎮太郎などの建築家による作品の紹介、高知工科大学准教授の渡辺 菊眞氏によるタイでの孤児院建造や高知での神社の再建といった活動報告など、多彩な発表が行われました。
松隈 洋氏
写真1

講演 「山本忠司と地域に根付くモダニズム建築」

大平 達也氏
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「香川建築のポテンシャル」

  • 香川県庁舎の現在と将来
  • 地元の建材や建築家について 等
平野 祐一氏
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「香川の建築活動」

  • 坂出人工土地について
  • 香川県立体育館について
和田 耕一氏
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「愛媛の建築活動」

  • 浦辺鎮太郎の木造モダニズム建築の調査報告
渡辺 菊眞氏
写真1

「渡辺菊眞 高知の建築活動」

  • タイの孤児院建設の事例紹介
  • 高知 金峯神社再建の事例紹介 等
本シンポジウムのまとめとして、司会の岡河氏は「シンポジウムとして勉強するだけでなく、これからの建築を考えるためのエネルギーと成りうるような何かを感じられる、非常に良い回になりました」と語り、第3回「瀬戸内海文明圏 これからの建築と新たな地域性創造・研究会」シンポジウムは幕を閉じました。
また、シンポジウム後には登壇された先生方や、共催いただいた香川県立ミュージアムの方々、香川県庁の方々を招いて懇親会が催され、会の中で語り切れなかった瀬戸内建築やその魅力についての話題に花が咲きました。