6月14日に行われた平成27年度の「1級建築施工管理技士学科試験」の全国合格率は43.6％となり、昨年と比較すると2.0％高い結果となりました。 また、近年減少傾向にあった受験者数もプラスに転じ、昨年から4,872人増加し、合格者数も約2,541人増加しました。

近年の合格者属性の傾向として、年齢別合格者比率において、30代の減少傾向、40代の増加傾向が顕著です。平成22年（5年前）と比較すると、30代は48.1％から38.4％で9.7％の減少、40代は20.9％から30.4％で9.5％の増加となっています。この背景には、建設業界において長らく課題となっている資格者不足があると考えられます。特に管理的な立場が求められる40代以上の社員に対して、監理技術者資格となる1級建築士・1級建築施工管理技士の取得が求められる傾向が続いているものと推察されます。

男女別・最終学歴別・勤務先別の合格者比率は例年とほぼ同様となり、男女別では「男性が96.0％」、最終学歴別では「大学卒が41.8％」、勤務先別では「建設業が96.1％」と最も多い結果となりました。

平成27年度の試験の特徴として、各種構造、建築材料、法規で新規出題が増加し難化傾向がみられました。また、過去に出題された内容であっても、一部文言を変えて出題することで、判断を迷わせるものが目立ちました。このように、単なる暗記では対応できない出題が散見され、理解を伴った学習と出題傾向に対応した解答トレーニングが必要となってきています。
過去に本試験に出題された問題を闇雲に解くだけでは、「今」の試験傾向には不十分な対策であるだけでなく、出題範囲が非常に広い本試験に置いては非効率的であり、時間がいくらあっても足りません。
しっかりとした分析に基づき、今後、出題が予想される内容や最新の傾向について、理解を中心とした効率の良い学習を行うことが合格への最短ルートであると言えます。
また、学科試験の高得点合格者は、実地試験においても高い合格率をマークしています。学科試験を8割以上の得点で合格する知識を身に付けることが、確実な実地試験合格につながる事も念頭に置き、学科試験対策を行うことが重要です。

本年度の学科試験の合格者数は11,103人。昨年と比較して2,541人増加していますが、近年では前年より合格者が約3,000人増加した平成24年が今年と類似した合格者推移でした。
その平成24年の実地試験は、合格率34.4％と近年では最も低い数値となっており、今年は厳しい試験となる可能性もことも想定した上で、実地試験対策をしっかり行い、ぜひとも今年度の実施試験合格を勝ち取ってください。