2019(令和元)年度 一級建築士設計製図試験 課題発表!
2019(令和元)年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題

(注1)

  • 既存の美術館(本館)の隣地に、美術、工芸等の教育・普及活動として、市民の創作活動の支援や展示等を行うための「分館」を計画する。

(注2)

  • 屋上庭園のある建築物の計画

(注3)

  • 建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地条件(方位等)や周辺環境に配慮して計画するとともに、空調負荷の抑制や自然光の利用を図る。
  • バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を配置する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
  • 注意事項

    「試験問題」及び上記の「要求図書」、「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにして下さい。
    なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

7月26日(金)、1級建築士の設計製図試験課題が発表になりました。
本年度課題の特徴や攻略のポイントなどの分析を本日、当ページにて公開予定です。

〔更新日:2019年7月26日 10:00〕

2019(令和元)年度 1級建築士設計製図「課題攻略ガイダンス」
ダイジェスト動画

2019(令和元)年度 1級建築士設計製図試験の課題 「美術館の分館」から読み取れる本年度設計製図試験の特徴や難易度、対策を行う上で注意すべきポイントを解説する2019(令和元)年度 1級建築士設計製図「課題攻略ガイダンス」の映像をダイジェストでご覧いただけます。

当年度課題の出題背景

「美術館の分館」という用途について、過去(1989(平成元)年〜)の出題事例を遡ると「美術館」という用途では、1994(平成6)年の「地方都市に建つ美術館」(2階建)と2010(平成22 )年の「小都市に建つ美術館」(2階建)が挙げられ、「美術館」関連の出題としては9年ぶりとなります。

ただし、今回の条件は建物規模が【3階建】と明記されており、過去に出題された【2階建】とは、別格の難度(高難度)になると考えて準備する必要があります。

また、本年度課題の出題背景については、文化芸術振興基本法改正(※1)も一つの要因と考えられます。
これは、2001(平成13)年に立法してから16年を経過した後の改正となり、このことからも近年、少子高齢化・グローバル化の進展など社会の状況が著しく変化する中で、観光やまちづくり、国際交流等、幅広い関連分野との連携を視野に入れた総合的な文化芸術政策の展開が、より一層求められるようになっていることがわかります。

さらに、2020(令和2)年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、我が国の文化芸術の価値を世界へ発信する大きな機会であるとともに、文化芸術による新たな価値の創出を広く示していく好機としていることも、この改正を後押しした要因の一つであり、芸術文化に対する国の強い取り組みの姿勢がうかがえます。

加えて、これに足並みを揃えるように文化庁では「多様なニーズに対応した美術館・博物館のマネジメント改革のためのガイドライン」を設け、美術館・博物館事業への支援活動を積極的に行っています。

そのガイドラインの中では、主に下記の取組みについて示されており、課題対策においては、前述のような取り組みを念頭に置いた学習が必要になると考えられます。

  • @ 多言語対応
  • A 開館時間の延長
  • B ユニークベニューの取り組み
  • C バリアフリー化の促進
  • D 学校教育との積極的な連携
  • E 先端技術を活用した新たな文化財や美術品等の魅力発信
  • F 関係機関との連携による新たなまちづくりや観光に関する取組の推進

※1:2017(平成29年)6月23日施行・公布

課題発表の内容から見える出題のポイント

ポイント@:(注1)美術館の『分館』

美術館の『分館』という位置付けには、多くの要素・条件が包括されていると考えられます。

例えば、その主要な用途について挙げるとすれば、以下のような例が挙げられます。

  • ・本館の機能を拡張するような美術館要素の多い建物
  • 本館にはない機能を補完する要素の多い建物 等

また、本館との位置関係についても、過去には以下のような出題がされています。

  • ・別の敷地に計画→1973(昭和48)年 : 図書室分館として別敷地に出題の事例あり
  • ・同一敷地内に別棟として計画→1986(昭和61)年 : 郷土資料館は既存建築物に接続条件あり
  • ・同一敷地内で相互利用を考慮して計画→2018(平成30)年 : スポーツ施設で主出入口を自由に計画

このように、その条件が変われば、建物の配置計画やアプローチなど、試験において必ず問われる空間構成に大きく影響します。
そのため、規模や条件の建物について設計経験が少ない受験生が、短期間で試験への対応力を身に付けるためには、試験に対する指導経験豊富な講師陣による具体的かつ効果的な指導が合格への近道であることは言うまでもありません。

ポイントA:(注2)屋上庭園の要求

屋上庭園の事前告知は、課題発表時に課題名に加え要求図書等の諸条件が明示されるようになった2009(平成21)年以降で初となります。屋上庭園は、設計(エスキス)においてその計画位置により建物の形状や内部のプランに大きな影響を与える(難度を上げる)要素となります。
また、課題条件により、その対象者・利用目的・大きさ・形状等、様々な設定が想定されるため、出題条件を想定したバリエーションに富んだ多くの課題を用いたトレーニングが不可欠となります。

ポイントB:(注3および注意書き)建築基準法遵守の要求


建築基準法違反となる答案を作成した受験生の多くが不合格となった2018(平成30)年の本試験において、合格発表時に試験元より公表文書で発表された内容(※1)からも、図面の適合性についてなど、2019(令和元)年はより一層厳しい採点基準になることが予想され、求められる知識・技能のレベルはさらに上がると考えられます。

※1(試験元の公表文書抜粋)
なお、設計条件のうち今回の試験において不十分な回答が多かった「延焼のおそれのある部分」「防火区画」等の一つの考え方をこの標準解答例に示していますので参考として下さい。

さらに、従来の延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設の法令遵守要求に、初の事前告知 となる「建蔽率、容積率、高さの制限」が追加されたことからも、確認申請ができるレベルの実践的知識と対応力が試されると考えられます。

対策にあたっては、自身が設計した建物が確実に法令を遵守した設計となっているか、不足点があれば、どのように修正すればよいかなどを客観的かつ的確にアドバイスしてくれる環境のもとで学習を行うことが効果的です。

ポイントC:「建築物の計画に当たっての留意事項」

2018(平成30)年から明記されるようになった「建築物の計画に当たっての留意事項」の中で、敷地周辺環境についての表現が2018(平成30)年と異なっていました。

・2018(平成30)年度の表現
敷地の周辺環境に配慮して計画する。

・2019(令和元)年度の表現
敷地条件(方位等)や周辺環境に配慮して計画するとともに、空調負荷の抑制や自然光の利用を図る

2018(平成30)年の表現よりも、さらに一歩踏み込んだ具体的な表現となっています。
これは、一見ヒントが多くなり、対策が立てやすくなったと考えがちですが、むしろ、対策が必要な分野をより深く(専門的に)、学習する必要が生じると考えるべきでしょう。

このような特殊な用途の設計経験がない多くの受験生にとって、多岐に渡る学習範囲を網羅することは、大きな負担となります。
学習においては、いかに効果的な教材を使用し、合理的な指導のもとで学習できるかが合否を分けると言えるでしょう。

ポイントD:「注意事項」

ポイントC「建築物の計画に当たっての留意事項」と同様に、2018(平成30)年より新たに明記された注意書きでは、今回、より具体的な表現が追記されました。

・2018(平成30)年度の表現
なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

・2019(令和元)年度の表現
なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

ポイントBで前述した法令遵守だけでなく、「要求図書、主要な要求室等」についても、重大な不適合=失格と明言されたことに加え、年々増加している課題文の情報量を踏まえると、それら多くの情報(条件)に適切に対応する情報処理能力が合否を分ける要因の一つになると考えられます。

これらは、単に課題をこなすだけの学習では習得することが難しく、本試験同様の6.5 時間という限られた時間の中でのトレーニングが必要となるでしょう。

『美術館』の位置づけ

美術館は、広義では博物館に含まれ、その中でも主に美術品を専門に扱う博物館を指します。我が国の博物館は「社会教育法」のもとで社会教育機関として位置づけられており、さらに社会教育法の下位となる「博物館法」にて、博物館における具体的な規定が設けられています。

2015(平成27)年10月時点では、登録博物館が895館、博物館相当施設が361館、博物館と類似の事業を行う施設が4,434館、合計で5,690館の博物館があります。
また、博物館には、歴史や科学博物館をはじめ、美術館、動物園、水族館などを含む多種多様な施設がありますが、そのうちの美術館は、博物館全体に占める割合が歴史博物館に次いで多い施設です。

建物の機能と構成

全体構成

美術館の分館では、美術館としての機能のほかに、市民の創作活動の支援や展示等の教育・普及活動を行うための部門や、その他、共用部門、管理部門等を含んだ構成が想定されます。
あわせて外部環境(隣地の本館からのアクセスや屋上庭園との関係)も考慮する必要があると考えられます。

各部計画

1.展示室

展示室は、展示の内容に応じた計画が求められると考えられます。美術館の展示の種類には、下表のものがあります。
展示室は、順路を明確にするなど、来館者にとって展示物が見やすいようにする必要があります。また、一般的には人工照明または天窓等からの自然採光によるため、通常壁面には窓を設けないことが多い傾向があります。加えて、展示品の入れ替えがあるため、美術品の搬出入動線を考慮した計画とする必要があります。天井高は、展示物にもよりますが一般的に4〜5m程度、小室では3m程度必要とされます。

2.ワークショップ

美術館に親しみ、美術館の活動に参加するため、一般に開放された創作活動及び学習の場(作業場等)をさす。

3.ミュージアムショップ(売店)

エントランスホールから分かりやすい位置に設け、展示会のカタログ、ポスター、書籍等ミュージアムグッズを販売する店舗をさす。

4.収蔵庫

収蔵庫は、美術品の永久保存と、企画展示のための作品の一時保管等に使用されます。作品の搬出入や移動などの動線を考えて、展示室や荷解室、学芸員室等から近い位置に計画する必要があります。

5.燻蒸室(くんじょうしつ)

美術品を虫、菌から守るため、気体となる薬剤を用いて殺虫、殺菌、塵埃等の除去を行う室で、高い気密性を確保するほか、荷解室の近くに独立して設けるようにします。また、操作盤・ガス警報器・排気装置などを設置した前室を設ける場合もあり、有毒ガスが漏洩したときの緩衝地帯等となります。

6.学芸員室・研究室

学芸員を中心とする研究者の調査・研究する室で、展示部門、収蔵部門、管理部門等の他の部門との連携を考慮して配置する必要があります。

7.図書資料室

学芸員の研究用に設けられるもので、美術品関連資料や文献等の閲覧・保管のための室です。なお、写真撮影室や暗室等も付属させる場合もあります。

8.荷解き室(サービスヤード)

車両(トラック等)により展示物・作品の荷下ろしや積込みが行われるスペースであり、展示物・作品の日射や雨つゆ等による汚染防止やセキュリティを考慮して、建物内部に設ける場合が多い。

構造計画

1.構造上の特徴

2019(令和)年度の用途においては、展示室等の天井が高い大空間や、管理諸室等の小さな面積の室が、低層の建築物内に組み込まれると考えられるため、平面構成、断面構成とも不均等な空間が生じやすくなる可能性があります。
構造計画を行う場合は、柱、梁、壁、床等で安全性に十分配慮して計画を行うことが重要です。
また、展示室等、天井の高い無柱空間を計画する場合には、構造種別や架構形式、部材断面寸法等にも配慮を要するので、注意が必要です。

2.構造上の特徴

公共的な低層の建築物には、耐久性、耐火性に優れ、遮音や断熱の性能も高いRC造が一般的に採用されています。
また、天井の高い無柱空間の展示室には、プレストレストコンクリート造の梁を採用する場合もあります。

3.架構形式

RC造の代表的な架構形式では、ラーメン構造が一般的に採用されています。 また、過去試験で出題のある柱、大梁の架構内に耐力壁を組み込んだ「耐力壁付きラーメン構造」も学習しておくとよいでしょう。

4.スパン計画・階高計画

RC造における柱のスパンは、標準的な柱、梁の部材断面を用いる場合、6〜8m程度として計画します。
階高は一般的な用途の室では、天井高、梁せい等を考慮し、4m程度で計画しますが、展示室や収蔵庫は、展示物の大きさや展示効果を高めるため、天井高を4〜5m程度、階高を5〜6m程度とする場合も多くありす。 なお、一部に無柱大空間を計画する場合、柱の最大スパンは16m程度を目安とします。

設備計画

1.空調設備

2019(令和)年度の用途においては、建物に要求される所要室によって、適切に選択する必要があります。
美術品や作品等は大変貴重なものであり、その展示や保存が必要な室があれば、温度に加え、特に湿度の管理が重要となってきます。その場合は、安定した温湿度調整に優れた単一ダクト方式の採用が望ましいでしょう。

また、教育・普及活動が主たる用途であり、使われ方がそれぞれ異なるような所要室が多く混在するような用途であれば、個々の温湿度管理が行いやすい個別分散熱源方式の選択が考えられるでしょう。
なお、収蔵庫などの特殊な空調環境が求められるような室については、別途配慮が必要となるでしょう。

2.照明設備

照明設備は美術館の計画で重要な設備の一つで、展示計画と密接に関係します。
展示物の色と形を本来の姿で鑑賞できるようにするのが基本であり、同時に資料保護に対する配慮も必要となります。

3.その他の設備計画

消防用設備(屋内消火栓、連結散水設備等)や防災設備(自家発電設備、蓄電設備等)、防犯設備(利用者の入退館管理も含む)等、計画上配慮すべき各種設備の知識が必要となるでしょう。

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