令和元年度 一級建築士設計製図試験(10月13日実施) 合格速報

令和元年度 1級建築士設計製図試験 合格実績

令和元年12月19日(木)に、令和元年度 一級建築士 設計製図の試験(10月13日実施)の合格発表がありました。概要は下記の通りです。

設計製図の試験
(10月13日に試験を実施した29道府県の実受験者のみ)
実受験者数 4,214人
合格者数 1,541人
合格率 36.6%
採点結果の区分 ○採点結果については、ランクI、II、III、IVの4段階区分とする。
○採点結果における「ランクI」を合格とする。

ランクI (36.6%):「知識及び技能」※を有するもの
ランクII (3.0%):「知識及び技能」が不足しているもの
ランクIII (29.2%):「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクIV (31.3%):設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

  • ※「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

合格発表を受けて

令和元年12月19日に、令和元年度1級建築士設計製図試験(10月13日実施)の合格発表がありました。
今回の発表は令和元年10月13日に試験を実施した29道府県の結果となり、台風19号の影響を受けて12月8日に実施された再試験については、令和2年2月5日頃に合格発表が行われる予定です。

10月13日実施の試験の実受験者数は4,214人、合格者数は1,541人となり、合格率は36.6%でした。合格率は平成30年度の41.4%から4.8%低下しており、近年でもっとも低い結果となりました。

● 採点結果の区分割合の推移

  ランクI ランクII ランクIII ランクIV
令和元年(※1) 36.6% 3.0% 29.2% 31.3%
平成30年 41.4% 16.3% 16.5% 25.9%
平成29年 37.7% 21.2% 29.9% 11.2%
平成28年 42.4% 27.1% 20.7% 9.7%
平成27年 40.5% 25.2% 23.3% 11.0%
平成26年(※2) 40.4% 32.8% 20.5% 6.3%
  • ※1: 10月13日実施試験の結果
  • ※2: 沖縄県会場を除く

採点結果の区分については、ランクI:36.6%、ランクII:3.0%、ランクIII:29.2%、ランクIV:31.3%となりました。
近年の結果と比較すると、ランクIIの割合が極端に低くなっています。また、「知識及び技能」が著しく不足している「ランクIII」と設計条件・要求図書に対する重大な不適合に該当する「ランクIV」の合計は60.5%と6割を超えました。近年この2つのランクの割合はあわせて4割程度であり、今回の試験では約20%も高い割合になっています。

このように、ランクI(合格者)とそれ以外がはっきりとわけられる結果となったことからは、建築士として求められる知識・技能の水準が、より厳格なものとなってきていることがうかがえます。

『受験者の答案の解答状況』に見る今回の試験の特徴

今回の試験において、「ランクIII」「ランクIV」に該当したものの具体例として、以下の内容が発表されました。

  • ・設計条件に関する基礎的な不適合:「要求されている室の欠落」や「要求されている主要な室等の床面積の不適合」
  • ・法令への重大な不適合:「延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置」、「防火区画(特に吹抜け部の1階部分の区画)」や「直通階段に至る重複区間の長さ」等
  • その他建築計画に基本的な問題があるもの:「吹抜けの計画(吹抜けとなっていないもの)」等

今回の試験では、平成30年度の試験で主な不合格要因として発表された『法令への重大な不適合』に加え、『その他建築計画に基本的な問題があるもの』という内容が新たに挙げられました。
試験において、法令を遵守することは当たり前としたうえで、「建築計画」についても高い知識・技能が求められていると考えられます。

『採点のポイント』に見る本年度試験の特徴

今回の試験の採点のポイントとして、以下の内容が発表されました。

(1)空間構成

@建築物の配置計画、Aゾーニング・動線計画、B要求室等の計画、C建築物の立体構成等

(2)建築計画

@自然光の取入れ方の工夫、A日射負荷の抑制、B要求室の機能性等、C図面、計画の要点等の表現・伝達

(3)構造計画

@建築物の構造種別・架構形式・スパン割り等、A多目的展示室の構造計画、B屋上庭園の構造計画

(4)設備計画

@多目的展示室の設備計画

(5)設計条件・要求図面等に対する重大な不適合

@「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「計画の要点等が完成されていないもの」又は「面積表が完成されていないもの」
A地上3階建てでないもの
B図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
C建築面積が 921.6 uを超えているもの
D床面積の合計が 2,000 u以上、2,400 u以下でないもの
E次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの

多目的展示室、展示室A、展示室B、展示室C、ホワイエ、創作アトリエ、アトリエA、アトリエB、アトリエC、アトリエD、吹抜け、エントランスホール 、カフェ、多機能トイレ、便所、事務室、荷解き室、PS・ DS・ EPS、屋上庭園、屋外テラス

F法令の重大な不適合等、その他設計条件を著しく逸脱しているもの

また、例年発表される、「欠落(=失格)」となる要求室群に初めて『PS・DS・EPS』が含まれていました。わずか1〜2u程度の小さな設備シャフトスペースの図面表現欠落が失格要件に挙がったことや、設備計画の設問でイメージ図の描画が必須となったことから、単なる知識ではなく、実務レベルの『使える知識』が求められていることがうかがえます。

『標準解答例』に見る今回の試験の特徴

(1)アプローチについて(主要な出入口)

発表された「標準解答例@・A」では、どちらも主要な出入口は本館のある東側に計画されていました。「美術館の分館」という今年の課題に対し、「東側の本館との来館者の動線に配慮する」ために、アプローチ(主要な出入口)を適切に計画する建築士としてあるべき実務レベルの力が求められたと言えます。

(2)大空間の立体構成について

発表された「標準解答例@・A」において、「多目的展示室」はどちらも1階に計画されていました。今回の課題では、留意事項として問われた「展示関連諸室とアトリエ関連諸室の利用形態に応じたゾーニング」を意識した計画がポイントとなったと考えられます。特に、計画に大きな影響を与える大空間である「多目的展示室」をゾーニング決定のプロセスの中でどの階に計画するかは多くの受験生にとって難しいポイントであったと考えられます。
上記のポイントは、それぞれ計画の要点等の設問でも問われた内容であり、出題者の意図を正しく読み取り、図面・要点記述で正しく答えることが重要であるとわかります。

(3)構造計画について

「構造計画」については、発表された「採点のポイント」と「計画の要点等」の設問がほぼ同様であり、例年出題される「構造種別・架構形式・スパン割り等」に加え、今回のサブテーマでもある「屋上庭園の構造計画」が挙げられていました。
特に、屋上庭園や多目的展示室(大空間)の構造計画については、標準解答例@の断面図表現からもわかるように、より専門的な知識を有した具体的な記述や図示が求められました。

来年度合格に向けて

令和2年度は、建築士法改正後、初の試験となります。 これまで受験要件とされていた実務経験が免許登録要件になるなど、受験資格の緩和によって受験者数が増えることが見込まれます。
こうした状況からも、来年度1級建築士設計製図試験の合格をめざす方は、より早期から、今の試験に正しく対応した内容で対策を進める必要があります。

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一級建築士として登録した後、建築士事務所に所属する建築士は3年度ごとに建築士定期講習の受講が義務付けられています。これは、建築士事務所に所属する建築士については、「業」として設計・工事監理等の業務を行うことが可能であることから、業務の実施に当たり必要となる能力を確実に身に付けておく必要があるため、3年度ごとに最新の建築関係法規等について、習得していただく趣旨のものです。

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