学習のポイントを知ろう

各科目の特長や合格基準など、試験合格のための学習ポイントをご紹介します。

学科の試験は4科目、5肢択一のマークシート方式

学科試験は、5肢択一式のマークシート方式です。5肢択一式のマークシート方式とは、1つ問題に対し答の選択肢が5つあり、「最も不適当なものはどれか」、「最も適当な数値を選びなさい」などという問題に対し、「正解」と思われる選択肢を選び、答案用紙の所定欄にマークする方法です。
出題数は各科目とも25問。午前中の3時間で学科I(建築計画)と学科II(建築法規)、午後の3時間で学科III(建築構造)と学科IV(建築施工)の試験を行います。1問あたりの解答時間は単純計算で4分弱。設問自体に難易度があり、これより短い時間で解答できる問題もあれば、倍以上の時間が必要な計算問題もあります。
問題の一つ一つの内容は、比較的広く、かつ浅くなるでしょうが、五つの選択肢の中から一つの正解を選び出すのですから、設問の内容を正確に知らなければ、正答肢がなかなか判別できません。このような択一式の試験では、多くの場合、正解とまぎらわしいものが混ざっています。このまぎらわしいものと、正解とを短い時間に見分けるだけの正確な知識や経験が必要だということです。

pagetop

学科には、総得点と科目別得点の2つの合格基準がある

学科の試験では、次の両方の基準点をクリアした人が合格となります。

  • 総得点の基準点については、100点満点中60点を基本的な水準とする
  • 科目別得点の基準点については、各科目とも25点満点中13点を基本的な水準とする

では、例えば次の得点状況の場合、合格する人は誰でしょうか?

  学科I 学科II 学科III 学科IV 総得点
Aさん 24点 23点 12点 22点 81点
Bさん 13点 15点 14点 16点 58点
Cさん 18点 14点 15点 15点 62点

Aさんは、総得点81という高得点を獲得しました。しかし不合格です。学科IIIで基準点をクリアできませんでした。
Bさんは、科目別の基準点はすべてクリアしました。しかし不合格です。総得点が基準点をクリアできませんでした。
Cさんは、科目別も総得点も基準点をクリアしました。よって合格というわけです。

このように、4科目それぞれをバランス良く学習する必要があり、苦手科目の存在は命取りになります。一般的に「構造力学」を苦手とする受験生が多く、「建築構造」については基礎からしっかり学習しなければなりません。

なお、難易度が著しく変動したと認められる場合には、補正を行う場合があります。
下表は平成14年から平成22年までの試験データですが、例えば平成16年年度試験においては、学科IIが15点、学科IVが14点、総得点が63点に補正されました。例年の合格基準点をクリアしたからといって安心していると、足をすくわれることもありますので注意が必要です。

合格基準点

年度 科目基準点 合格
基準点
合格率
学科I 学科II 学科III 学科IV
平成14年 12 13 13 13 60 32.0%
平成15年 13 13 13 13 63 42.2%
平成16年 13 15 13 14 63 43.9%
平成17年 13 12 13 13 60 33.2%
平成18年 13 13 13 13 60 37.3%
平成19年 13 13 13 13 60 31.9%
平成20年 13 13 13 13 60 37.5%
平成21年 13 13 13 13 60 32.9%
平成22年 13 13 13 13 60 39.4%

pagetop

「建築法規」は法令集を持ち込める唯一の科目

「建築法規」に関しては試験元が許可している「法令集」だけが試験会場持ち込み可能であり、試験中に閲覧が可能です。ですから、一般的に「建築法規」を得点源とする受験生が多く、そのためには、「法令集」を引きやすくするための見出し(インデックス)と、アンダーラインに工夫が必要です。もちろん、法令集自体が見やすく引きやすいことは絶対条件です。
さらに、建築基準法は毎年改正されているため、古い法令集は命取りであり、受験年度に合った最新の法令集が必要となります。

pagetop

設計製図の試験は要求図面を4時間半でまとめる

設計製図試験は、学科の試験に合格した者のみが受験することができます。ただし、その年の学科の試験に合格し、製図の試験に不合格だった者または受験しなかった者は、翌年と翌々年に限り学科の試験が免除されるという"敗者復活"があるのが、製図試験の特徴です。

試験は、あらかじめ発表される設計製図課題(例年6月中旬頃に公告)に基づいた図面を描き上げるというもので、設計条件の詳細等は当日まで確認できないため、課題から想定されるさまざまなパターンを準備しておくことが必要になります。

試験時間は4時間30分で、この時間内に要求される条件を満たす図面を描き上げなければなりません。例年、平面図、矩計図、立面図、伏図、面積表等の図面から4〜5種類の図面が要求されます。実務の設計とは異なり、独創的なデザインや特殊な技術を駆使した設計を要求されるものではなく、限られた時間の中で課題で要求された諸条件をいかに的確にまとめ上げられるかどうかがポイントになります。

過去10年間の課題一覧

年度 出題地域 設計課題 要求図面
平成13年度 近畿除く全ブロック 英会話教室併用住宅 平面図、立面図、矩計図、面積表
近畿ブロック ルーフガーデンのある親子二世帯住宅 平面図、立面図、断面図、仕上表、面積表
平成14年度 北海道、東北、関東、近畿、中国四国ブロック 工房のある工芸品店併用住宅 平面図、立面図、矩計図、面積表
東海、北陸、九州ブロック 商店街に建つコミュニティ施設 平面図、立面図、断面図、仕上表、面積表
平成15年度 近畿除く全ブロック 吹抜けのある居間をもつ専用住宅 平面図、立面図、矩計図、面積表
近畿ブロック 住宅地に建つ動物病院併用住宅 平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表
平成16年度 全国 趣味(フラワーアレンジメント)室のある専用住宅(木造2階建) 平面図、伏図、矩計図、面積表
平成17年度 全国 近隣の街並みに配慮した車庫付二世帯住宅(木造2階建) 平面図、伏図、矩計図、面積表、立面図
平成18年度 全国 地域に開かれた絵本作家の記念館〔鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)2階建〕 平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表、主要構造部材表
平成19年度 全国 住宅地に建つ喫茶店併用住宅(木造2階建) 平面図、伏図、立面図、矩計図、面積表
平成20年度 全国 高齢者の集う趣味(絵手紙)室のある二世帯住宅(木造2階建) 平面図、伏図、立面図、矩計図、面積表
平成21年度 全国 商店街に建つ陶芸作家のための工房のある店舗併用住宅 平面図、立面図、断面図、面積表、仕上表、主要構造部材表
平成22年度 全国 兄弟の二世帯と母が暮らす専用住宅(木造2階建) 平面図、伏図、立面図、矩計図、面積表

pagetop

製図試験は“減点方式”で採点され、結果は4段階に判定される

設計製図の試験は、コンペではないのでアイデアやオリジナリティ性は不要です。どんなにすばらしい設計であっても、課題の要求を満たしていなければ、検討以前で落とされてしまうのが製図の試験です。
よって、日常業務で設計をしている人が必ずしも有利とは言えず、設計とは無縁の人でも、試験の内容をよく理解していれば合格できます。むしろ、日常業務で設計をしている人のほうが試験と割り切れず、計画内容にこだわり、納得できるまでエスキスを繰り返し、結局は時間切れで不合格になるケースが多く見られます。

合否の判定も学科の試験とは大きく異なります。「学科の試験」は正答数を加算し、その合計点をもとに合否を決定する"加点方式"の試験ですが、「製図の試験」は、不適切な部分を減点し、最終的に残った点数で合否を判定する"減点方式"の試験です。採点結果については、ランクI、II、III、IVの4段階に区分されます。

ランクI : 「知識及び技能」を有するもの
ランクII : 「知識及び技能」が不足しているもの
ランクIII : 「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクIV : 設計条件・要求図面等に対する重大な不適合に該当するもの

ランクIが合格です。なお、「知識及び技能」とは、二級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいいます。

pagetop

総合資格学院でめざす二級建築士 総合資格学院が、皆様の二級建築士合格を応援します!

二級建築士受験に関する疑問や不安を、総合資格学院が解決します。当学院のライセンスアドバイザーが、数多くの合格実例に基づき的確にアドバイスいたしますので、ぜひ、私たちと一緒に二級建築士合格をめざしましょう!

関連リンク

合格体験記

二級建築士合格者の学習ノウハウをまとめて掲載。学科から製図、各合格者のタイムスケジュールまで、学習に役立つ情報を掲載しております。