赤レンガ卒業設計展 2011

赤レンガ卒業設計展 2011

震災の影響受けるも、熱意により開催実現

2011年5月13日(金)〜16日(月)の4日間、横浜みなとみらいの赤レンガ倉庫一号館において、「赤レンガ卒業設計展2011」が開催された。

本設計展は当初、2011年3月に開催を予定していたが、東北地方大震災を受け、安全性などの問題から無期限の延期となっていた。震災後の会議では、大会を中止とする意見が出たものの、「7年間続いてきた伝統を途切れさせたくない」「こんな時こそ力を合わせて希望をもって展示会を成功させよう」という、実行委員らの強い気持ちから、5月の開催へとこぎ着けた。

通常の卒業設計展から開催時期が大きくずれてしまい、出展作品も当初の予定より大きく減ってしまったが、期間中は多くの人々が会場に足を運んだ。特に、審査会が行われた15日の日曜日は、赤レンガ倉庫という場所柄、建築学生だけでなく、多くの観光客が来場し、学生たちの作品に真剣なまなざしを注いでいた。出展作品は151作品。震災のため模型がなかったり、一部模型が破損したものもある一方、卒業時の3月から改良を重ねた作品もあり、ハイレベルな設計展となった。

会場となった横浜赤レンガ倉庫1号館

関東13大学から集まった実行委員の面々

会場は建築学生から一般の人まで多くの人で賑わった

これからの建築の方向性にも言及した審査会

審査会の審査委員は、ヨコミゾマコト氏(aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所、東京藝術大学美術学部建築科準教授)、五十嵐太郎氏(東北大学大学院工学研究科教授、せんだいスクール・オブ・デザイン教員)、谷尻誠氏(穴吹デザイン専門学校非常勤講師、建築設計事務所Suppose design office)、藤村龍至氏(東洋大学理工学部建築学科専任講師、藤村龍至建築設計事務所)、中山英之氏(hideyuki nakayama architecture)の5人。巡回審査により選出されたファイナリスト10人のプレゼンテーションと質疑応答、審議を経て、グランプリが選ばれる。

今後の人口減少による縮小時代を見据えた作品や、アルゴリズムによって未来の都市の姿を描いた作品など、本設計展のテーマである「directions.」にふさわしく、これからの建築の方向性を示した作品のプレゼンが行われ、審査員の議論も熱を帯びた。

グランプリに選ばれたのは、「都市の型枠」(東京都市大学・矢野健太)。常にスクラップ&ビルドが繰り返される渋谷で、ビルの隙間に壁(型枠)を作り、そこにたとえ建物がなくなってしまっても、型枠により記録を残すという本作品は、オリジナリティ、リアリティの両面で評価された。その他、各審査員の選出による審査員賞5作品が選ばれた。各賞は以下の通り。

クオリティの高い10選を前に、白熱した議論をくり広げる審査委員

審査会場に並んだ10選の模型

模型を使いながら審査員の質問に答える矢野健太さん(グランプリ受賞)

■グランプリ
タイトル:「都市の型枠」
受賞者:矢野 健太 (東京都市大学)
■ヨコミゾマコト賞
タイトル:La marche merveille
受賞者:中村 義人 (東京工業大学)
■五十嵐太郎賞
タイトル:タネの図書館
受賞者:稲垣 志聞 (東京都市大学)
■藤村龍至賞
タイトル:NETWORK VILLAGE
受賞者:藤代 健介 (東京理科大学)
■谷尻誠賞
タイトル:「はだかの建築」
受賞者:鈴木 智也 (法政大学)
■中山英之賞
タイトル:溝の口 にぎわいべると-新旧の商業バランスの復活-
受賞者:佐藤 慎平 (首都大学東京)

3.11を中心に議論が展開されたシンポジウム

シンポジウムで、これからの建築について語るパネリスト

審査会の後は、五十嵐太郎氏、ヨコミゾマコト氏、谷尻誠氏、中山英之氏によるシンポジウムが開かれた。テーマは先の震災も踏まえ、「建築にかかわる人間はどのような方向性を示すことができるのか――」。パネリストの震災当時の状況や、そのとき感じたこと、そして今後、建築家として社会に対して何ができるかといったことが、学生たちを巻き込み熱く語られた。

シンポジウムでは、来年の設計展において「3.11に影響を受けた作品が必然的に多く出てくるだろう」というコメントが出た。今回、設計展に参加した学生たちの中にも、津波に飲み込まれていく建物、瓦礫と化した町など、震災の映像を目の当たりにし、建築に対する考えを変えた人も少なくないだろう。ただ、そのような中でも、本設計展で多くの仲間たちと協働し、腕を競い、意見をぶつけ合うことで、それぞれの「directions」が浮かび上がってきただろう。

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「赤レンガ卒業設計展2011」概要

名称

赤レンガ卒業設計展2011

日程

平成23年5月13日(金)〜16日(月)

会場

横浜赤レンガ倉庫

審査員

■ヨコミゾマコト氏
(aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所主宰、東京藝術大学美術学部建築科准教授)

■五十嵐太郎氏
(東北大学大学院工学研究科教授、せんだいスクール・オブ・デザイン教員)

■谷尻誠氏
(穴吹デザイン専門学校非常勤講師、建築設計事務所Suppose design office)

■藤村龍至氏
(東洋大学理工学部建築学科専任講師、藤村龍至建築設計事務所)

■中山英之氏
(hideyuki nakayama architecture)

主催

赤レンガ卒業設計展実行委員会

特別協賛

株式会社総合資格

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