JIA全国学生卒業設計コンクール2012

JIA全国学生卒業設計コンクール2012

日本全国から選抜された51作品を一堂に展示

2012年6月23日(土)〜6月24日(日)、新宿アイランドのアクアプラザにて「JIA全国学生卒業設計コンクール2012」が開催されました。

この大会は、今年の春に全国各地で開催されたJIA各支部・地域会による卒業設計コンクールの全国大会。全国で合計600以上の参加作品の中から、各地の大会を勝ち抜いた51作品を一堂に集め、全国ナンバーワンの卒業設計作品を決定します。 さすがに各地の大会を勝ち抜いただけに、当日集まったのは、いずれ劣らぬハイレベルな作品ばかり。審査当日は、朝から会場全体が熱気に包まれました。

3段階の審査を経て受賞作品を決定

審査方式は3段階。まずは巡回方式による1次審査で、5人の審査委員がそれぞれ気に入った10作品を選出します(結果的に合計20作品ほどが選出されます)。
続く2次審査では、審査委員たちによる公開討論により、1次を通過した作品を10作品程度に絞ります。
3次審査では、2次を通過した人々によるプレゼンテーションおよび質疑応答が行われ、さらに審査委員たちによる公開討論を経た後、金賞、銀賞、銅賞、および各審査委員の個人賞が決定します。

○2次審査通過者

  • 沼田祐子さん(東京藝術大学)
  • 島田潤さん(東京大学)
  • 東出優子さん(芝浦工業大学)
  • 福井亜啓さん(千葉大学)
  • 中島康一朗さん(千葉工業大学)
  • 鎌田源内さん(慶應義塾大学)
  • 川村千絵さん(長岡造形大学)
  • 市川雅也さん(豊田工業高等専門学校)
  • 佐々木惇子さん(立命館大学)
  • 西原将さん(京都大学)
  • 森本悠義さん(琉球大学)

3次審査では、会場中央の大テーブルに2次審査を通過したすべての模型が並べられ、参加者が各自の作品の前で、テーマやコンセプト、工夫した点などを熱くアピール。また、審査委員たちによる議論も白熱し、結果的に予定時間を2時間もオーバーするという、文字通り熱い大会となりました。

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受賞作品発表

金賞 「MATERIALITY ENGINE」

西原将さん(京都大学)

「誰かのためにつくられた空間はうさんくさいと思った」「プログラムをかたちの理由にしたくないと思った」という感情から構想をスタートした本作品。オブジェとしての純粋性・芸術性を追求した「なにものでもないただの建築」という、非常に難しいテーマからのチャレンジであるこの作品は、コンピュータを駆使した「くり抜き」の操作により、かつてない内部空間の立体構成に挑戦している。それと同時に「物質の在り方を追求したオブジェに少しだけ人間的な尺度を与えることによって、『建築』を生み出すことができないか」と考え、石、木、金属などの物質の性質や印象から、建築を構成する部材を検討し、さらに唯一「階段」を人間的な尺度の指標とし、物質と空間の間隙に階段を加える操作を行うことにより、オブジェを超えた「建築」を完成させている。

「純粋芸術としての建築」というテーマは、学生の間では人気がありながらも、設計展などではあまり評価されないことが多いが、この作品が高い評価を受けたのは、内部空間の造形性が非常にハイレベルなものであったから。審査委員長の北川原氏は「彼の魂が作り上げた空間、精神的なレベルがすごい」と絶賛した。



銀賞 「Indian Sky Railway Bazaar」

鎌田源内さん(慶應義塾大学)

人口過密の問題を抱えるインドのニューデリーにおいて、規格化された集合住宅の大量投入により、廉価でスピーディーに住宅不足を解消しようとするプロジェクト。立地場所が、ニューデリー駅に隣接する線路と線路の間のスキマの土地であるという点がユニーク。屋上にバザール(市場)を形成し、橋を渡して人の往来する動線を作り、低層階に住民が暮らす。社会的な問題提起および、その解決法の独自性が評価された作品。審査委員の小嶋氏から「インドらしい明るさがある。一緒に卒業設計をした気分になれた」と評価された。



銅賞 「鉱場巡景 -recurrence-」

川村千絵さん(長岡造形大学)

現在、日本各地で工場跡地を再利用した公園や博物館などが注目を集めているが、「それは建築の延命措置でしかないのではないか」という疑問を抱いた川村さん。50年後にガス鉱床が枯渇し、役目を終えることが想定されている「南長岡ガス田越路原プラント」に着目し、「このプラントはどのような最期を迎えるべきか」というテーマで、「理想的な荒廃の過程」のプランニングを行った。2060年のプラント閉鎖から、人工構造物が朽ち果てて消滅する2110年までを、丹念にドローイングした作品。審査委員の平田氏から「建築というよりも、人類学的な視点で非常に興味深い作品。何よりもドローイングが素晴らしい」という評価を受けた。



○北川原温賞

「海上の煙突島」
松川真友子さん(九州大学)
※2次審査を通過しなかったが、北川原氏の要望により受賞

○今川憲英賞

「ひなのさと〜座敷雛のための複合コミュニティ施設〜」
佐々木惇子さん(立命館大学)

○野口秀世賞

「区役所_還元」
島田潤さん(東京大学)

○小嶋一浩賞

「想像する丘 ―生きる放課後は地域をつなぐ―」
市川雅也さん(豊田工業高等専門学校)

○平田晃久賞

「衰退する風景のためのスタディ」
福井亜啓さん(千葉大学)

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JIA全国学生卒業設計コンクール2012

名称

JIA全国学生卒業設計コンクール2012

開催日

展示会:2012年6月23日(土)〜6月24日(日)

公開審査会:2012年6月23日(土)

会場

社団法人 日本建築家協会

全国学生卒業設計コンクール実行委員会

主催

社団法人 日本建築家協会 JIA神奈川

特別協賛

総合資格学院

FORUM8

協力

新宿アイランド

後援
  • 国土交通省
  • 環境省
  • 社団法人 日本建築学会
  • 香港建築家協会
  • 新建築社
  • 日経アーキテクチュア
  • 建築ジャーナル
  • 近代建築社
  • 日刊建設工業新聞社
  • 日刊建設通信新聞社
審査委員
  • 北川原 温
    (審査委員長:北川原温建築都市研究所/東京藝術大学教授)
  • 今川 憲英(TIS & PARTNERS/東京電機大学教授)
  • 野口 秀世(久米設計)
  • 小嶋 一浩(CAt/横浜国立大学大学院Y-GSA教授)
  • 平田 晃久(平田晃久建築設計事務所)
審査員:北川原 温
審査委員長:北川原 温
審査員:今川 憲英
審査委員:今川 憲英
審査員:野口 秀世
審査委員:野口 秀世
審査員:小嶋 一浩
審査委員:小嶋 一浩
審査員:平田 晃久
審査委員:平田 晃久