2012年(第12回)「住宅課題賞」入賞作品展示会 レポート

2012年(第12回)「住宅課題賞」入賞作品展示会

2012年(第12回)「住宅課題賞」入賞作品展示会 概要

名称

2012年(第12回)「住宅課題賞」入賞作品展示会

会場 展覧会:(株)竹中工務店東京本店 1階 Gallery A4(ギャラリーエークワッド)
公開審査会:(株)竹中工務店東京本店 2階 Gallery A4ホール
日程 展覧会:2012年10月9日(火)〜11月9日(日)
公開審査会:2012年10月27日(土)
審査委員長
  • 植田実(審査委員長/編集者・建築評論家)
司会
  • 木下庸子(工学院大学建築学部教授/設計組織ADH)
委員
  • 大西麻貴(大西麻貴+百田有希/ o+h)
  • 平瀬有人(佐賀大学大学院准教授/yHa architects)
  • 藤原徹平(横浜国立大学院Y-GSA准教授/フジワラテッペイアーキテクツラボ)
  • 松岡恭子(東京電機大学未来科学部准教授/スピングラス・アーキテクツ)
主催・問合わせ: (社)東京建築士会
オフィシャルサイト 2012年(第12回)「住宅課題賞」入賞作品展示会

普遍的な「住宅」をテーマに学部生を対象とした設計展

2000年に始まった、東京建築士会が主催する学部生を対象にした設計展「住宅課題賞 入選作品展」。
12回目を迎える今回は、2012年10月9日から11月9日までの1カ月間、竹中工務店東京本社1階にあるギャラリーエークワッドで開催された

竹中工務店東京本社ビル
(第17回CFT構造賞など多数受賞)

エントランスのオブジェ。
のこぎりをモチーフにしている

首都圏の34大学44学部より、建築系学部の設計講義で課される「住宅」をテーマにした課題の最優秀作品を募り、本設計展で展示。さらにそれら44点の中から公開審査を行い、優秀賞を選出した。
審査は若手建築家をはじめとする人気の建築家たち4名と審査委員長を含めた5名が行った。

大西麻貴氏
(大西麻貴+百田有希/o+h)
 
 
 

平瀬有人氏
(佐賀大学大学院准教授/yHa architects)
 
 

藤原徹平氏
(横浜国立大学大学院Y-GSA准教授/フジワラテッペイアーキテクツラボ)

松岡恭子氏
(東京電機大学未来科学部准教授/スピングラス・アーキテクツ)
 

植田実氏
(編集者/建築評論家)
 
 
 

本設計展に出品される課題テーマの「住宅」は全ての学生が取り組む普遍的なテーマの1つである。テーマは同じ「住宅」であっても、課題内容は各大学・学部によって異なるため、課題の多様さや独自性などに触れる機会も本設計展の魅力の1つとなっている。

展示会場で、活発なプレゼン・質疑応答が見られた巡回審査

公開審査会は2012年10月27日(土)に開催された。各大学・学部の代表として選出された学生は午前9時に会場入りし、審査に備えて模型や作品紹介パネルの最終確認を行った。9時半には設計展運営担当より1日の流れの説明を受けた。

他の作品を見る出展者

巡回審査前の全体ミーティング

審査員は事前に出展作品の資料を確認し、午前10時に巡回審査を開始。
1作品2分と短い持ち時間を目安に、模型や作品紹介のパネルを見て回った。審査員は、限られた時間で作品のポイントを探ろうと多くの質問を、作品の前で待機している学生に投げかけた。学生たちは緊張し、たどたどしくなりつつも、模型の内部を指し示したり資料を用いたりして作品の見所を伝えた。加えて、審査員からのアドバイスをする場面も見られ、内容の濃い巡回審査となった。

模型を見ながら疑問点を尋ねる大西氏
 

この日のために九州から上京した平瀬氏。
パネルの内容の説明を受ける。

模型の細部まで確認する藤原氏

評価を行いつつ出展者にアドバイスをする松岡氏

審査委員長の植田氏は公開審査以外の日も、会場に足を運び作品を見て回った。

予定外のプレゼンが行われるなど審査は難航

午後13時、会場を移し本審査が開始された。
本審査の司会は工学院大学教授の木下庸子氏。まず、審査委員長の植田氏が総評を行い、その後、審査員4名で全作品を割振り、1作品ずつ講評した。1作品30秒と限られた時間ではあったが、濃密な講評が行われ、先の巡回審査の充実度の高さが感じられた。

司会の木下庸子氏
(工学院大学建築学部教授/設計組織ADH)

プロジェクターで作品を紹介しながら講評が行われた
 

巡回審査による票を獲得した作品は44作品中、半数の22作品。そのうち北条みどりさん(東京藝術大学美術学部建築科)、前波可菜子さん(法政大学デザイン工学部建築学科)は5名中4名から票を得た。しかし、1、2票の作品が多数を占めたため、2票以上を獲得した8出品者に対し、予定にはなかった1分間のプレゼンテーションおよび質疑応答が執り行われた。

作品の要点を説明する北条さん

審査員と質疑応答をする小出さん

鋭い視点からの質問が各審査員からなされた。

巡回審査で気になった箇所を質問した

心構えをする間もなく、プレゼンテーションをすることになったにも関わらず、堂々と審査員に自分の作品をアピールした8名。

  • ・北条みどりさん(東京藝術大学美術学部建築科)
  • ・前波可菜子さん(法政大学デザイン工学部建築学科)
  • ・渡辺智代さん(昭和女子大学生活科学部環境デザイン学科)
  • ・相原ふたみさん(女子美術大学芸術学部デザイン学科)
  • ・小出杏さん(日本大学生産工学部建築工学科)
  • ・川崎将さん(日本大学理工学部海洋建築工学科)
  • ・田中裕大さん(武蔵野美術大学環境学部環境学科)
  • ・佐野優さん(早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科)

パネルや模型では分からなかった作品の魅力を十分に伝えた学生や、審査員からの質問で、作品の魅力を引き出された学生もいた。まだまだ荒削りではあったが、大勢の聴衆者の前でプレゼンテーションを行い、第一線で活躍する審査員とやり取りしたことは、学生にとって未来に繋がる経験となったことだろう。

プレゼンテーションも加味した上で、票が入った22作品全てを再度検討し、審査員は1人5作品を選んだ。
いずれもレベルが高く、選出は難航したが14作品に絞られ、ようやく各賞の候補作品が出揃った。審査員がその作品に投票した理由や作品の持ち味を説明しあった後、ポイントを付与して再投票し、獲得ポイント数が高い順に授賞することとなった。一方、審査委員賞は審査員独自の審査ポイントから決定された。

結果は以下の通り

  • ・1位 北条みどりさん(東京藝術大学美術学部建築科)
  • ・2位 仲尾梓さん  (東京理科大学工学部第一部建築学科)
  • ・3位 小出杏さん  (日本大学生産工学部建築工学科)

北条みどりさん

仲尾梓さん

小出杏さん

1位を獲得した北条さんの作品「自然と生活、そしてリズム」は、風の流れを取り込む住宅であり、神社の敷地内にある常時風が吹きぬける場所に建てることで、心地のよい空間を作り出した。
集合住宅をはじめ、スケールの大きな作品が多い中、北条さんの作品は、ヒューマンスケールであり、環境に応じた空間操作が素晴らしいと、文句なしの1位に輝いた。

トロフィーの贈与

受賞した作品の模型

各審査員が推す、審査員賞は以下の通り

  • ・植田賞 鈴木陸さん (筑波大学芸術専門学群)
  • ・大西賞 袴田千晶さん(武蔵野大学環境学部環境学科)
  • ・平瀬賞 田中裕太さん(武蔵野美術大学環境学部環境学科)
  • ・藤原賞 嶋田恵さん (東京電機大学未来科学部建築学科)
  • ・松岡賞 渡辺知代さん(昭和女子大学生活科学部環境デザイン学科)

鈴木陸さん

袴田千晶さん

田中裕太さん

嶋田恵さん
(審査会欠席)

渡辺知代さん

各賞の受賞者と審査員の集合写真

審査会を終えた総評

「2000年に始まって以来、どんどんレベルが向上しており、審査する側も難しくなっている」(植田審査員長)との声が出たほど、本年も見応えのある力作ばかり。そのため審査委員の意見が割れ、予定外に授賞候補者からのプレゼンテーションが行われるなど、各賞の決定は困難を極めた。
各大学・学部による独自の課題や、集合住宅と戸建住宅の種類の違いから「住宅課題賞」としてひとくくりにし、審査するのは困難だったといえよう。しかし、「住まう」ということに主眼を置き、周辺の環境を含めた提案かどうかを軸に評価するということは、全ての作品に共通している。
「一生懸命に取り組んだ課題を、模型や文章にしてアピールするだけでなく、自分の言葉で説明できることが、必ず必要になってくる」との審査員からのアドバイスがあったが、プレゼンテーションや、審査員とのやり取りも貴重な経験となったのではないか。さらに、最後の感想で審査員が口々に、本設計展の審査員を務めることができたことについて、感謝の意を述べたことからも、学生・審査員両者にとって意義ある設計展となっただろう。

※ 本設計展(住宅課題賞2012−入選作品賞−)の作品集が発売決定!

【コンテンツ】

  • ・全出展作品のパネル・模型写真
  • ・課題内容
  • ・各大学・学部の代表選出理由
  • ・出題した教員と選出した教員両者からのインタビュー
  • ・審査員の評価コメント

pagetop

カテゴリトップに戻る 前のページに戻る pagetop