建築新人戦 2012 レポート

建築新人戦 2012

「建築新人戦 2012」概要

名称

建築新人戦 2012

コンセプト

とびこめ、新たなフィールドへ

会場 展覧会:梅田スカイビル ファンファンプラザ5階展示場
公開審査会:梅田スカイビル タワーウエスト3階 ステラホール
日程 展覧会:2012年10月5日(金)〜10月7日(日)
公開審査会:2012年10月6日(土)
審査委員

二次予選・決勝審査委員

  • 遠藤秀平(審査委員長/遠藤秀平建築研究所、神戸大学教授)
  • 五十嵐太郎(東北大学教授、せんだいスクールオブデザイン教員)
  • キドサキナギサ(城戸崎和佐建築設計事務所、神戸大学客員教授)
  • 手塚貴晴(手塚建築研究所、東京都市大学教授)
  • 長坂大(Mega、京都工芸繊維大学教授)

海外作品審査委員

  • 竹山聖(審査委員長/設計組織アモルフ、京都大学准教授)
  • 李暎一(アトリエ・ビコーズ・リー、宝塚大学教授)
  • 米田明(アーキテクトン、京都工芸繊維大学准教授)
司会・コメンテーター

司会・コメンテーター

  • 槻橋修(ティーハウス建築設計事務所、神戸大学准教授)
  • 宗本晋作(宗本晋作建築設計事務所、立命館大学准教授)
  • 倉方俊輔(大阪市立大学准教授)
特別協賛

特別協賛

  • 株式会社総合資格
  • 積水ハウス株式会社
  • グラフィソフトジャパン株式会社
主催: 建築新人戦2012実行委員会
オフィシャルサイト 建築新人戦2012

出展作品のレベルアップが感じられた大会

会場となった梅田スカイビル

「建築新人戦」は、日本全国の大学の3回生までの中から、その頂点を決める設計コンテスト。4年目を迎えた今年は、新たに短大、専門学校、高専の学生たちの作品も応募対象に加わり、さらに規模の大きな大会となりました。応募登録数1,009、応募作品数570と、名実ともに日本最大級の設計イベントに成長したといえるでしょう。

会場となった梅田スカイビルは、原広司が設計した大阪を代表するランドマークタワー。10月5日から行われた展覧会には、一次予選を通過した100作品が展示されました。また、梅田スカイビル屋上の観光名所「空中庭園」にも作品が展示され、多くの観光客の注目を集めていました。

会場となった梅田スカイビルは原広司の設計。大阪・梅田のランドマークタワー。

作品の展示は屋上の空中庭園展望台ギャラリーでも行われた。

海外からも16作品が出展

展覧会場は多くの来場者が詰めかける盛況ぶり。

展覧会の主会場となったのは、梅田スカイビル・タワーイースト5階のファンファンプラザ。10月6日の午前中に行われた二次予選では、5人の審査委員たちによる巡回審査により、展示された100作品の中から、上位16作品が選出されました。

この日は早くから、建築学生や一般の建築ファンなど、多くの人々が会場に詰めかけ、大変な盛況となりました。全国の建築新人たちの力作を一堂に展示したイベントだけに、多くの方々が熱心に鑑賞していました。

審査委員は以下の5氏

遠藤秀平氏

五十嵐太郎氏

キドサキナギサ氏

手塚貴晴氏

長坂大氏

 

■「16選」作品一覧

  • 岡田翔太郎さん(九州大学3回生)
    「人をのみこむ10戸のアーチ」
  • 佐々木良介さん(京都大学3回生)
    「やきもの工房 - forest stand」
  • 松宮景佑さん(滋賀県立大学3回生)
    「たぶんこういう世界は美しいと思う。」
  • 遠田拓也さん(日本大学3回生)
    「トシナカ集落」
  • 奥田祐大さん(九州大学3回生)
    「まちのなかのこどものすみか「NEST」」
  • 向井ひなのさん(早稲田大学3回生)
    「風景を隔てる」
  • 齋藤弦さん(千葉大学3回生)
    「6mの記憶」
  • 柳圭祐さん(京都工芸繊維大学2回生)
    「黒と白の空間」
  • 福留裕香さん(近畿大学3回生)
    「Osaka Museum」
  • 横田麻由さん(東北大学3回生)
    「SEKITEI」
  • 鈴木翔大さん(名古屋大学3回生)
    「大きくて小さな屋根の小学校」
  • 田熊隆樹さん(早稲田大学3回生)
    「場所を織り込む小学校」
  • 中川寛之さん(神戸大学3回生)
    「詩的世界 - 田村隆一をたどる - 」
  • 田代晶子さん(早稲田大学3回生)
    「ある時間、ある風景」
  • 小島千明さん(東京都市大学3回生)
    「屋上のある家」
  • 山中健裕さん(東海大学3回生)
    「Link」

審査委員らによる巡回審査。

100作品から16作品を選出。

いよいよ公開審査会!まずは海外招待作品のプレゼンから

海外招待作品の受賞者たちによるプレゼンテーション。会場へのアナウンスは、同時通訳により行われた。

公開審査会は場所を移し、梅田スカイビル・タワーウェスト3階のステラホールが会場。次代の建築界を担うゴールデンルーキーが発掘されるかもしれないイベントだけに、この会場にも多くの来場者が詰めかけました。

審査に先立ち、総合資格学院・関西本部長の石川より挨拶をさせていただきました。 「当学院は学生設計展の協賛などを通じ、全国の学生の皆様、先生の皆様の支援をさせていただいております。全国1,000社あまりの企業と提携する当学院は、今後も学生から社会人にかけて、資格の取得支援という形で、多くの学生の皆様のご協力させていただきます」

公開審査会は、まず海外招待作品のプレゼンテーションから。本大会では、中国、韓国、タイ、ベトナムの4ヶ国からも招待作品が出品されており、午前に行われた審査ですでに受賞作品が決定しています。中国の受賞者には青龍賞、韓国には白虎賞、タイ・ベトナムには朱雀賞が用意され、本大会ではそれぞれの受賞者たちによるプレゼンが行われました。

アジア各国の学生たちによる作品は、それぞれ自国の文化、風俗、環境、宗教などに立脚したものであり、それぞれ自国の状況を反映した個性的な特色がうかがえました。

大勢の来場者が詰めかけたステラホール

審査に先立ち、総合資格学院・関西本部長の石川よりご挨拶

大会実行委員長である中村勇大氏(京都造形芸術大学教授)からは、本大会の開催に協力してくれたすべての方々に感謝の言葉が述べられた。

■海外招待作品 受賞者一覧
【青龍賞(中国出展者)】
LI RUICHAOさん(重慶大学)「Inside out, youth hostel design」
ZHANG ZHIZHEさん(天津大学)「Stich the City Wall」
XU HAOTIANさん(東南大学)「The Thin Architecture」
【白虎賞(韓国出展者)】
KO JU YEONさん(梨花女子大学校)「Walking in the Cloud」
LEE KYONG SOOさん(漢陽大学校)「Road to Martyrium」
【朱雀賞(タイ・ベトナム出展者)】
Trinh Phuong Quan(ホーチミン市建築大学)「Open and Linked Spaces…」

8選通過者によるプレゼン!白熱する審査会!

最優秀新人賞を受賞した田代晶子さんのプレゼンテーション。

海外招待作品の授賞式の後は、8選に残った学生によるプレゼンが行われました(午前に行われた巡回審査で、16選と同時に8選の選出もすでに終えている)。3分の持ち時間の間に、作品のコンセプトや、敷地条件、周辺環境、この作品の形状へと至った理由などが説明されていきます。新人の大会だけに、プレゼン経験の少なさのためか、所々説明にたどたどしさが感じられましたが、自分の考えを何とか言葉にしようと努力する姿が印象的でした。

審査は最後まで難航し、最終的に、田代さん(早稲田大学)、横田さん(東北大学)、岡田さん(九州大学)、佐々木さん(京都大学)の4作品で、審査委員たちの票が分かれました。長時間にわたる討議でも結論がつかず、最終的には多数決により、早稲田大学の田代さんがナンバーワンに決まりました。

8選通過者たちによるプレゼンテーションの模様。

■最優秀新人賞

作品名:「ある時間、ある風景」
受賞者:田代晶子さん(早稲田大学

大学の講義での課題だった「小学校」の設計。自らの出身小学校と同じ敷地条件で、新たな小学校を設計する。工場と山に囲まれた小学校だったと語る田代さん。子どもの頃は、煙突から出る煙が雲になると信じていた。小学生時代の視点に立ち戻り、自分の中にあった心象風景から建築的なデザインを決め、さらに木登りなど、子どもの遊びをスケッチするスタディを重ね、子どものアクティビティから空間構成を決めた。様々な要素を最終的に建築としての形に落とし込むことができたと語る田代さん。ドローイングの華麗さも含め、オリジナリティに溢れた世界観が高く評価された作品。

■優秀新人賞

作品名:「SEKITEI」
受賞者:横田麻由さん(東北大学3回生)

最優秀新人賞の田代さんの作品と最後まで競い合った作品。巨大な岩石を中心に据えた地下住宅という、大胆なデザインの作品。岩と建築の隙間に居住スペースを作り、人間は岩と寄り添うように生活する。巨大な岩石が自ずから持っている、宗教性、芸術性、永劫性など、様々な要素の全体を、そのまま生活の中に取り込もうとするコンセプト。審査委員の五十嵐氏からは、「他の建築がすべて無くなっても、この岩だけは残るだろう」と、岩本来が持つ素材としての力強さを活かしたアイデアが高く評価された。

作品名:「人をのみこむ10戸のアーチ」
岡田翔太郎さん(九州大学3回生)

博多の柳橋連合市場の再開発プロジェクト。内部は活気にあふれる市場だが、外部からはその光景がわかりにくいこの市場を、外部に対して開いた場所にしようという試み。市場と外部の境界線上に、開口部を大きく開いた10戸の住宅を設けることにより、既存の市場構造を解体し、市場の客と住人たちの出会いのシーンを描き出す。それぞれの住宅は、読書好き、花好き、ペット好き等、意図を持たせた建築とし、それぞれの趣味を持った人々が触れ合う、「たまり」の空間を演出する。

作品名:「やきもの工房 - forest stand」
佐々木良介さん(京都大学3回生)

陶器を中心とした「やきもの」の製作、展示、鑑賞を行う、やきものの里を作るプロジェクト。陶器の豊かな触感を模した、ザラザラとした土壁の建築物を、京都の山中に作る。やきものの製作には、あえて時間のかかる原始的な穴窯を用い、製作のペースに合わせた、非日常的なゆったりとした時間を楽しむための場所とする。

■「8選」

  • 向井ひなのさん(早稲田大学3回生)
    「風景を隔てる」
  • 齋藤弦さん(千葉大学3回生)
    「6mの記憶」
  • 鈴木翔大さん(名古屋大学3回生)
    「大きくて小さな屋根の小学校」
  • 小島千明さん(東京都市大学3回生)
    「屋上のある家」

■「16選」

  • 松宮景佑さん(滋賀県立大学3回生)
    「たぶんこういう世界は美しいと思う。」
  • 遠田拓也さん(日本大学3回生)
    「トシナカ集落」
  • 奥田祐大さん(九州大学3回生)
    「まちのなかのこどものすみか「NEST」」
  • 柳圭祐さん(京都工芸繊維大学2回生)
    「黒と白の空間」
  • 福留裕香さん(近畿大学3回生)
    「Osaka Museum」
  • 田熊隆樹さん(早稲田大学3回生)
    「場所を織り込む小学校」
  • 中川寛之さん(神戸大学3回生)
    「詩的世界 - 田村隆一をたどる - 」
  • 山中健裕さん(東海大学3回生)
    「Link」

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