京都工芸繊維大学造形工学課程・卒業制作展2013「工繊万博」

京都工芸繊維大学造形工学課程・卒業制作展2013「工繊万博」

名称

京都工芸繊維大学造形工学課程・卒業制作展2013「工繊万博」

開催日

2013年2月13日〜2月17日

会場

京都府京都文化博物館

主催

京都工芸繊維大学 工芸科学部 造形工学課程

特別協賛

株式会社総合資格

「京都」という街の文化が感じられる制作展

京都工芸繊維大学造形工学課程・卒業制作展2013「工繊万博」は、2月13日(水)〜2月17日(日)の期間、京都府京都文化博物館で公開された。
この博物館は、「生活の中から芽生え、自発的で自由な発想のもとで育まれてきた京都文化を紹介し、優れた伝統文化に触れるとともに、新しい文化の創造力を呼び起こすために作られた総合的な文化施設」という理念の基、平安建都1200年記念事業の一貫として1988年に開館。修士の講評会が行われた別館は旧日本銀行京都支店であり重要文化財に指定されている。このような歴史的価値のある建築物で学生発表の場が設けられるのも、戦火を免れた都市ならではと言えよう。

モダンな趣を残すホール内部
ホール天井の見事な細工
昔の佇まいを今に残す京町家
今年のテーマは「工繊万博」。本卒業制作展は、造形工学課程だけあって、建築だけでなく意匠・文化などのジャンルの展示も同時に行われ、模型以外の論文やプロダクトデザインの作品も多く、まさに「工繊万博」の名の示す通りの展示となった。
本制作展は、その点で多くの大学の卒業設計展とは一線を画しているが、京都は長年に亘り受け継がれた伝統の技が現代に息づく街。街中を少し歩くと匠の技をそこかしこで見る事ができる。
来場者には通りすがりの方もとても多く、「創造」や「創作」が日常にとけ込んでいる街であることを感じる。

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〈学部 制作展〉建築・論文・意匠 それぞれの分野から審査員賞を選出

2月15日(金)にはゲストによるトークと作品講評が行われ、分野ごとに審査員賞が選出された。

模型を指して質問する手塚氏
会場は立ち見が出るほどの盛況

●手塚 貴晴 氏
(建築家、手塚建築研究所代表)

「良くできた作品と言うよりも、社会に対して強いインパクトを与えられそうな作品を選出しました。細かい部分は全然まだ考え足りていなくて、全く話にならない部分もある。けれどもこの建築には100年単位で社会を変える力があると思う。年間4万台に上る大阪の放置自転車に着眼した点も、社会的問題を内包しながら解決策を提案しており、その点が良いと思う。荒削りだが可能性を秘めた提案だと思うので、これで終わりにせず、ライフワークとして継続的にもっと前のめりにこの課題に取り組んでほしいと思う。」

手塚賞〔建築〕
「By:cycle」

今里 悠

敷地として設定した遊園地跡地と多くの人が利用するサイクリングコースの起点が近いこと、さらに大阪府の放置自転車数が日本で最も多いことに着目した今里さんの提案。
放置自転車を活用することによる運営コストと放置自転車管理のコスト削減。さらには市民の健康増進と遊園地跡地の有効利用をテーマにプレゼンテーションを行った。

●藤崎 圭一郎 氏
(デザインジャーナリスト、編集者)

藤崎賞〔論文〕
「シャルロット・ペリアンが追求した住まいの芸術(Art de vivre) −「収納」設備 ランジュモン(Rangement)からの考察」

河野 友里

・全体総評:論文は自らの創造よりもリサーチ(探索)する力がまず重要です。ここで成否が大きく左右されると行っても決して言い過ぎではありません。特に古い文献などを探す作業は、独自のリサーチ力が必要になる場合も多く、どのようなコネクションを持っているかなども力量の一つとして数えられます。そして探求にかける熱意。学生の皆さんは、ぜひこれからの活動でこれらを念頭にがんばっていただきたい。

●ムラタ・チアキ郎 氏
(ハーズ実験デザイン研究所/METAPHYS 代表取締役)

ムラタ賞〔意匠〕
「非公式日本語辞典」

宮澤 槙

・全体総評:今日この会場にも沢山の作品がレイアウトされていますが、本当にこれで良いのでしょうか。壁の色、証明、隣の作品との展示間隔。そう決められているのかもしれませんが、本来はそこまで突き詰めて考えるのが当然のことなのです。なぜなら、誰かがその作品を見た瞬間から皆さんのプレゼンテーションは始まっているからです。人前に立ちスライドを使って説明することだけがプレゼンテーションではありません。「プレゼンテーション」=「人に伝えること」であり、皆さんが居ない場所でもそれは常に行われているのです。そしてプレゼンテーションはデザインの一部なのです。
創作・創造を通じて何かを伝えるということはそういう側面も有していると言うことを忘れないで欲しいですね。

後列左より、手塚貴晴氏 藤崎圭一郎氏 ムラタチアキ氏、前列左より、今里悠さん 河野友里さん 宮澤槙さん

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〈修士 制作展〉プレゼンテーションや講評もすべて英語

翌日の2月16日(土)には大学院生の建築卒業設計講評会がおこなわれた。
さすが大学院生と言ったところだろうか、この日の講評会はすべて英語。
ゲストもノルウェーから気鋭の建築家 アンドレア・G・ゲールセン氏を招聘。他にも東京芸術大教授のトム・ヘネガン氏、建築家 青木淳氏が参加した国際色豊かな講評会となった。
学生は緊張の面持ちながらも、熱の入った語り口調で時には身振り手振りを交えながら、自身の考えや主張を何とか伝えようとしていく。翻訳のサポートが入ることもあったが、お互いの伝えたいことや確認したいことは不思議としっかりと伝わっていく。美辞麗句を並べたスマートなプレゼンテーションもそれはそれで良いが、伝えたい強い気持ちを前面に出して立ち向かう学生の姿に、国境を越えた「人と人」の根源的な向き合い方を見た気がする。

英語でプレゼンテーションに臨む出展者 
模型で細部を確認するゲスト陣
修士制作の一部は畳敷きの会場で展示
外国人とご老人、こんな風景も京都ならでは

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