「Diploma x KYOTO'13」

「Diploma x KYOTO'13」

名称

「Diploma x KYOTO'13」

開催日 展覧会:2013年2月23日(土)〜2月25日(月)
講評会:「学生 x 学生」 2013年2月23日(土)
講評会:「学生 x 審査員」 2013年2月24日(日)
会場

京都市勧業館みやこめっせ

審査員・司会

審査委員

  • 石上純也氏(石上純也建築設計事務所)
  • 金田充弘氏(Arupシニア・アソシエイト、東京藝術大学准教授)
  • 迫慶一郎氏(SAKO建築設計工社)
  • 内藤廣氏(内藤廣建築設計事務所、東京大学名誉教授)

司会・進行

  • 藤村龍至氏(藤村龍至建築設計事務所)
主催

京都建築学生之会

特別協賛

株式会社総合資格

今年の Diploma x KYOTO は2部構成
1日目は学生、2日目はゲストによる講評会

関西最大の卒業設計展「Diploma x KYOTO」が、今年も京都市勧業館みやこめっせを舞台に、2月23日(土)〜25日(月)の3日間にわたり開催されました。今年で22回目となるこの設計展は、京都の建築学生の有志により結成された「京都建築学生之会」が主催する卒業設計展。今年は関西の20の大学が参加し、出展者数237名という、過去最多となる出展数となりました。
今年のテーマは『Cross □』。『Cross □』とは、建築と「何か」が交差する場所という意味で、絶対的な評価基準のない建築において、「領域」と「世代」を横断した議論の場を作り、様々な価値観が交錯するイベントにしようという、主催者側の意図が込められています。
このテーマを踏まえ、今回の「Diploma x KYOTO」は2部構成。1日目は学生たちが自らの手で審査を行い、2日目はゲストクリティックによる審査が行われます。学生とプロの建築家の評価基準の違いが、賞の選定にどう影響を及ぼすのかが見どころとなる大会となりました。

【day1】1日目は学生たちによる講評会
まずは学生全員による投票で8選を決定

1日目の司会を務めた藤村龍至氏。

大会の初日となった2月23日(土)は、学生たち自身による講評会の開催となりました。まずは、学生たちによる巡回審査。出展者全員がみやこめっせ3階の大ホールに展示された200を超える作品を見て回り、各自の推薦作品をピックアップ。さらに、その後、12の小グループに分かれ、討議を行い、各グループが推薦する6作品を決定。最終的に全グループが推薦する作品を集計した結果、投票の多かった以下の8作品が選出されました。

【day1】 8選

No. 名前 学校名 作品名
029 太田裕通さん 京都大学 「京都高想」
034 大藪陽さん 立命館大学 「紙の渓谷」
035 岡田梨愛さん 立命館大学 「オカダホテル 〜トシノウラガワニ〜」
059 北村拓也さん 京都大学 「時空の交差点」
086 猪部開さん 神戸大学 「超都市型パサージュ」
099 天木美菜見さん 大阪芸術大学 「幼稚園という恩物 ―フレーベルの21番目の贈り物にむけて―」
140 西田吉伸さん 大阪工業大学 「そして、家を想う。」
163 布江田望月さん 京都大学 「UBUNTO 〜遥か彼方、もう消えてしまった世界へ〜」

【day1】学生全員による2度の議論を経て 1日目の1位を決定!

お昼の休憩を挟んだ後、本格的な講評会がスタート。まずは、午前の審査で選ばれた上位8人によるプレゼンが行われ、各作品のテーマやコンセプト、計画の概要などが語られました。
このプレゼンを受けて、再び参加者全員が小グループに分かれ、ディスカッションをスタート。さらに8人に対する質疑応答などを経た後、2度目のディスカッションへ。
最終的に、北村拓也さん(京都大学)と西田吉伸さん(大阪工業大学)の2作品に絞られましたが、最終的な討議の結果、廃墟化した巨大な既存建築物の再利用という、北村さんの作品が有する社会的な問題提起、およびそれに対する建築的な解答の真摯な姿勢に、高い評価が下りました。

【day1】 1位 「時空の交差点」

滋賀県米原市にあるセメント工場跡地のリノベーションプロジェクト。10年前まで稼働していた工場だが、現在は停止し、解体もままならず、どうしようもできないまま放置された状態にあるという。コンクリート製の巨大な炉がむき出しとなっているこの工場跡地の建築群に対し、研修会議棟、宿泊棟、美術棟という3棟の建築物を新たに挿入し、結合させることにより、全体として「研修センター」としての新しい価値を持つ建築として生まれ変わらせようという計画。取り壊しのできない巨大な「廃墟」という問題に対し、あくまでも建築的に真摯に向き合おうとした北村さんの姿勢に、多くの学生たちから支持の声が上がりました。

北村拓也さん
(京都大学)

【day1】 2位 「そして、家を想う。」

昨年の夏、突然他界した姉の死をきっかけに、「家」という建築に対する想いを深めていったという西田さん。過去の記憶を係留する「記憶の器」としての「家」に対し、過去と未来の家族関係の様々なシチュエーションの変化をシミュレートすることにより、その根源的な価値を引き出そうとしたプロジェクト。西田さんの祖父母が建てた六畳二間の家が、家族の成長とともに増改築を繰り返し、さらに姉の死別、子供たちの独立を経て、西田さんの両親が二人で暮らす形態へと変容し、ふたたび西田さん自身の未来における結婚を機に家族として再結合することによりリフォームが施され、さらに西田さん自身の死により建築そのものも完結するまでを物語風に展開した作品。無理に通常の建築空間的な表現は用いず、独自のポエティックなプレゼンテーションで表現した手法が、学生たちに高く評価されました。

西田吉伸さん
(大阪工業大学)

【day3】 3位 「オカダホテル 〜トシノウラガワニ〜」

現在主流となっている都市型のホテルの集積型空間システムを解体し、細分化し、都市にばらまくことで、新しい都市型のホテルを計画した岡田さん。大阪のキタとミナミの2つのエリアの、ビルとビルとの隙間、高架下、ビルの屋上など、普段利用されていないような場所にオーダーメイドの個室を設け、「寄生」という形態に近づけることで、より深く都市の魅力を堪能できるホテルを提案する。予約・宿泊機能などをインターネットで管理することにより、ホテルのフロントという概念を解体し、さらにロビーなどは都市の路地や公園などのパブリックスペースが代替する。唯一、個室の扉のデザインだけは共通にし、ホテルの存在感をアピールする。建築単体としてだけではなく、都市に対して広がりを持つ新しい空間を提案したことが高く評価されました。

岡田梨愛さん
(立命館大学)

【day2】2日目はゲストクリティックによる講評会
建築家によるプロの視点から審査が行われた

2日目となる24日(日)は、前日とはうって変わり、現在第一線で活躍する建築家を招き、プロの視点からの審査が行われました。
石上純也氏、金田充弘氏、迫慶一郎氏、内藤廣氏という4人の建築家が巡回審査で選出した8作品は、昨日とは大きく変わったラインナップとなり、主催者側が企図したように、建築には絶対的な評価基準がなく、「領域」や「世代」などの立場の変化により、評価のポイントがまったく異なることが表れた結果となりました。

石上純也氏
金田充弘氏
迫慶一郎氏
内藤廣氏
司会は1日めに引き続き、藤村龍至氏が務める。

【day2】 8選

No. 名前 学校名 作品名
018 岩瀬功樹さん 立命館大学 「都市のつくりかた2.9」
035 岡田梨愛さん 立命館大学 「オカダホテル 〜トシノウラガワニ〜」
062 木下淳史さん 立命館大学 「京の道具箱」
091 蒋夢予さん 立命館大学 「風雨巷屋」
102 高野香織さん 京都大学 「NTN宝塚製作所跡地計画」
117 玉田祥太さん 滋賀県立大学 「木と人」
140 西田吉伸さん 大阪工業大学 「そして、家を想う。」
219 渡辺育さん 京都大学 「〈世界の終わり〉のあと」

【day2】鋭い質問が飛び交う審査の末に 2日目の1位が決定!

本格的な講評会は、午後からのスタート。まずは1次審査を通過した8人によるプレゼンテーションから。
それに引き続き、4人の審査員が順に、自分が気になった作品を、重複のないように各自2作品ずつピックアップし、8人全員に対する質疑応答へ。各作品の思想の根底を問いただすような、鋭い質問が次々に投げかけられ、参加者の表情には一様に緊張の色が。結果として最終選考に勝ち残ったのは、木下さん(立命館大学)、蒋さん(立命館大学)、西田さん(大阪工業大学)、渡辺さん(京都大学)の4作品。  その後、さらに4人による最終プレゼンテーションが行われた結果、思想的なテーマを建築という形態にうまく落としこむことに成功したという理由から、渡辺さん(京都大学)の作品が1位に輝きました。

【day2】 1位 「〈世界の終わり〉のあと」

1960年代の後半から1970年代にかけて理想主義が終わり、世界が変わってしまったと語る渡辺さん。そのことをテーマに扱った村上春樹の小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を題材に、その小説世界を建築として具現化した作品。時代の熱狂を記憶する場所「万博公園」を敷地とし、「光」の世界を演出する「THE END OF THE WORLD」と、時代の残滓となったエキスポランド跡地地下に、「音」の世界を演出する「HARD-BOILD WONDERLAND」の、2つの建築を計画。プレゼンではCGを用いたムービーを流すなど、凝った演出が目を引いた本作。最終的に西田さんの作品との戦いになりましたが、小説を空間化し、「光」と「音」の世界に還元しきったことの評価により、見事1位に輝きました。

渡辺育さん
(京都大学)

【day2】 2位 「そして、家を想う。」

前日の学生講評会での2位に続き、2日目も2位となった本作。家の廃材を利用したという不思議な模型は、引き出しを開けると、各シチュエーションごとにリフォームされた「家」の模型が収められている。審査員の内藤廣氏から、その詩的な世界観を高く評価されました。

西田吉伸さん
(大阪工業大学)

【day2】 3位 「風雨巷屋」

中国からの留学生である蒋さんの作品は、彼の故郷から90キロほど離れた場所にある「水郷集落」の再開発プロジェクト。近年、伝統的な建築の破壊が相次いでいる中国では、地域のコンテクストに合わない西洋的な建築が立ち並び、この古い水郷集落もそのような建築に囲まれ、時代村のようにテーマパーク化しつつある。この古い建築をそのまま保存しようとしても上手くいかないだろうと判断した蒋さんは、古いデザインを活かしつつ、この地域の特性に合った新しい建築を提案する。舞台、美術館、貸レジデンス、喫茶店などの建築は、川の流れと融合するように配置。水路と隣接させることにより、船による交通を可能とし、伝統的な祝祭・舞台などを、船上から楽しむことを可能とする。ランドスケープデザインには山水画の意匠を取り入れ、文人の理想郷をめざす。自身も現在、中国で活躍する迫氏から高く評価された作品。

蒋夢予さん
(立命館大学)

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