せんだいデザインリーグ2013 卒業設計日本一決定戦 レポート

せんだいデザインリーグ2013 卒業設計日本一決定戦

「せんだいデザインリーグ2013 卒業設計日本一決定戦」概要

名称

せんだいデザインリーグ2013 卒業設計日本一決定戦

テーマ

すべてを巻き込め

会場 展覧会:せんだいメディアテーク6F・7F
公開審査会:東北大学百周年記念会館川内萩ホール
日程 展覧会:2012年3月10日(日)〜3月17(日)
公開審査会:3月10日(日)
審査委員

公開審査(ファイナル)審査委員

  • 高松伸(審査委員長/建築家、京都大学大学院工学研究科教授)
  • 内藤廣(建築家、東京大学名誉教授)
  • 宮本佳明(建築家、大阪市立大学大学院工学研究科兼都市研究プラザ教授)
  • 手塚由比(建築家、手塚建築研究所共同主催)
  • 五十嵐太郎(建築評論家、東北大学大学院教授)
司会・コメンテーター

公開審査(ファイナル)コメンテーター

  • 中田千彦(建築家、宮城大学准教授)
  • 竹内昌義(建築家、東北芸術工科大学教授)
  • 堀口徹(建築評論家、立命館大学理工学部都市デザイン学科準教授)

公開審査(ファイナル)司会

  • 小野田泰明(建築計画者/東北大学工学部 建築・社会環境工学科学科長・教授)
特別協賛

特別協賛

  • 株式会社総合資格
主催: せんだいデザインリーグ2013卒業設計日本一決定戦実行委員会
オフィシャルサイト せんだいデザインリーグ2013卒業設計日本一決定戦

今年で11回目を迎えたせんだいデザインリーグ

「せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦」は、全国から応募された卒業設計を一堂に集め、公開審査によって日本一を決める大会。「公平性」「公開性」「求心性」を理念に掲げ、応募した学生誰もが平等に立てる舞台、誰もが見ることの出来る公開の場での審査、シンボルとなる会場を用意する。2003年の初開催から今年で11回目を迎え、全国で最大級の設計展へと成長した。

予選・セミファイナルの会場となったせんだいメディアテークは、伊東豊雄氏の設計。構造体である13本の太いチューブが7層分の床を不規則に貫通している。チューブは、地上から屋根まで到達することで、光を取り入れると同時に、エレベーターや階段などを通すパイプとしても機能する。多機能なチューブが全く新しい空間を作り出している。

チューブは構造体であると同時に光と人々の通り道。

10:00の会場前から建物の周りには長蛇の列。

海外からも16作品が出展

作品の展示はせんだいメディアテークの6・7階全フロアーを使い行われ、開場前から多くの来場者が訪れた。

大会コンセプトに「応募した学生の誰もが平等に立てる大きなプラットフォーム(舞台)を用意すること」とあるように、この設計展・コンペは、学校の枠や師弟の影響を超え、誰もが自分の実力を観客に問うことができる。それがこの設計展・コンペの大きな特徴であり、魅力であるとも言える。今年も600点を超える多くの作品が集まった。

前日の予選で100選に選ばれた作品は花がつけられており、多くの来場者が足を止め、熱心に見入っている。また、午前中には、セミファイナルの審査をする審査委員の姿をまぢかで見ることができ、いろいろな意味で垣根のない雰囲気が会場に広がっている。

開場直後から多くの来場者が訪れた

誰に対しても開かれている設計展

審査を行う審査委員に遭遇するのもこの大会ならでは

いよいよ日本一を決めるプレゼンテーション

午前中にせんだいメディアテークで行われたセミファイナルで10選が選ばれ、午後は、東北大学百周年記念会館川内萩ホールへと場所を移し、いよいよ日本一を決めるファイナルとなる。

川内萩ホールは、落ち着きのある朱色の内装など一見、クラシックな建物であるように見えるが、実は、世界水準の音響を備えた最新型のホール。老朽化した東北大学記念講堂を最新の計画技術でリニューアルした建物だ。

新しく生まれ変わったかつての記念講堂は2階まで観客で埋め尽くされた。

600を超える応募から選ばれし10組のファイナリスト。

観客が固唾を飲んで見守る中、学生が映像と言葉と模型で自分の設計の意図や目的・意義を説明していく。全国からTOP10に選ばれただけあって 、どの提案も一度目にしたら簡単には忘れられない、インパクトのあるプレゼン内容。会場に笑いがおきる楽しい提案から、会場が静まりかえるシリアスなものまで、バライエティーに富んだプレゼンテーションが観客を魅了する。

10組のプレゼンテーションが終了した後、審査員が各作品について、疑問に思ったこと、興味があるポイントなどを質問し作品と作者の意図をより詳しく確認していく。

審査委員は以下の5氏

高松伸氏

内藤廣氏

宮本佳明氏

手塚由比氏

五十嵐太郎氏

いよいよ日本一を決めるプレゼンテーション

いよいよ審査は日本一を決める投票を交えたディスカッションへ。 この段階では、各審査委員が3票を持ち、自分が思う日本一から日本三までに投票していく。
宮本氏は「私的な住宅を徹底して突き詰めている」という理由で柳田 里穂子さんの『遺言の家』 を日本一に推薦。五十嵐氏と内藤氏は、高砂充希子さんの『工業の童話/パブリンとファクタロー』を日本一に推薦。手塚氏は、落合萌史さんの『落合米店』を推薦。審査委員長の高松氏は、渡辺育さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を強く推薦。
票がはっきりと分かれた。

いよいよ公開審査会!まずは海外招待作品のプレゼンから

日本一となった高砂さんの作品。建築としての造形・存在感が高い評価を得た。

コメンテーターも巻き込みながら白熱した議論は続き、高砂さんと渡辺さんの2作品に絞られた。

その2作品について、より掘り下げた議論が交わされる。審査会最終盤では、内藤氏・宮本氏・手塚氏・五十嵐氏が高砂さんを、高松氏が渡辺さんを推す形に。2つの作品にはそれぞれに強い魅力があり、票はまとまる気配はない。その時、高松氏がこう切り出した。

「私は、パンフレット冒頭の審査員長挨拶で“若者達本来の膂力の発言”と書きました。」
「どうでしょうか。会場にいる皆さんに日本一を決めてもらうというのは。ちょうど設計展のコンセプトも“すべてを巻き込め”ということですし!」

予想だにしない発言に会場がざわめく。反論を唱える審査委員はいない。
「渡辺さんが日本一だと思う人立ってください!」
「高砂さんが日本一だと思う人立ってください!」
司会の小野田氏が会場に呼びかける。わずかな差で高砂さんの支持票が多く、“会場全体を巻き込んだ”審査会の末、高砂さんが日本一の栄冠を手にした。
日本二には圧倒的な空間の迫力が評価された渡辺さんの作品。日本三には、深い考察で建築と向き合った柳田さんの作品。特別賞には、明快なコンセプトに基づいた落合さんの作品に加え、1/1スケールの作品を持ち込み会場を沸かせた田中 良典さん(武蔵野大学)の作品「 票築寄 旅する建築 四国八十八箇所編」が選ばれた。

■日本一

  • 高砂充希子さん(東京芸術大学)
    「工業の童話/パブリンとファクタロー」

■日本二

  • 渡辺育さん(京都大学)
    「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」

■日本三

  • 柳田里穂子さん(多摩美術大学)
    「遺言の家」

■特別賞

  • 落合萌史さん(東京都市大学)
    「落合米店」
  • 田中良典さん(武蔵野大学)
    「 票築寄 旅する建築 四国八十八箇所編」

■「10選」

  • 小畑裕樹さん(東京大学)
    「Surviving Village within the city」
  • 竹中祐人さん(千葉大学)
    「水の振る舞いのもとに -2つの水系モデルの提案-」
  • 長谷川 駿/森田 龍平/新井 有紀さん(早稲田大学)
    「サーカスがつむぐ小さな日常/医療と居住を結ぶ生活基盤の再編」
  • 石川真吾さん(東京都市大学)
    「島に刻む記憶」
  • 本田佳奈子さん(東京理科大学)
    「痕跡と堆積/都市の自然が織りなす風景」

「工業の童話-パブリンとファクタロー」
高砂充希子さん(東京芸術大学)

震災で被災した八戸の工業地帯に『希望の塔』としてランドマーク的な建物を建て、周辺地域の活性化を図る計画。工場を縦方向に積み重ねる独特の形態操作で、独創的な外観を実現している。作者は「建築の3次元的特性を最大限に活かしたかった。こだわったのは造形美です」と語った。各ボリュームに『パブリン』『ファクタロー』などキャラクターとネーミングがある。

五十嵐氏:「造形的な魅力があることに加えて、建築的にも良く考えられている。八戸の工業地帯の風景をよく考えて作られていることが伝わってくる」

手塚氏:「形態として見たときに物としての力強さがある。」

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
渡辺 育さん(京都大学)

万博公園の跡地を敷地に設定。万博公園とエキスポランドの歴史と村上龍氏の小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のパラレルに展開するストーリーに類似性を見いだした作品。『万博』は光の空間として、『エキスポランド』は闇と音の空間として、それぞれに巨大な空間を計画。光と音で人間の根源的な記憶を呼び覚ますことを意図した作品。

高松氏:「この作品の圧倒的な空間の力は魅力的だ。私は、建築を「メタボリカルな表現を喚起する力がある」という視点で見ている。そのような視点で見ると、この作品にはパワーがある」

内藤氏:「中身がカラッポというコンセプトの建築はあるが、そのような建築には相当の批評的な背景が求められる。この作品に、はたしてそのような背景があるのか疑問に思った。その背景がない場合、この空間は虚無に繋がってしまう怖さがある」

『遺言の家』
柳田 里穂子さん(多摩美術大学)

住宅を使っていた人や、その時代に生きていた人々が年月と共に過ぎ去り、住宅だけが残った場合、住宅は建築として純粋さを獲得するのではないかという提案。私が死んだ後も、私の家は、私のお墓となり、私の生きていた痕跡を残す。

宮本氏:「“私”と建物を徹底して考えている点が良い。思い詰めたような姿勢がよい」

高松氏:「ある意味で建築の究極の形。感服しました」

「落合米店」
落合萌史さん(東京都市大学)

原宿のキャットストリートに米工場を設置する計画。作者の実家がお米屋さんであり、「実家で販売するお米をもっと社会に広く知って欲しい」というストレートな動機が審査員の好評を得た。

手塚氏:「実家のお米屋さんのお米をもっと食べてほしいというコンセプトが明快。パーソナルな体験が作品を強くしている」

「 票築寄 旅する建築 四国八十八箇所編」
田中良典さん(武蔵野大学)

組み立て式の家を引きながら、四国八十八箇所を旅する作品。旅先での人々との交流、ユニークな設置場所の様子をスクリーンで紹介。会場を大いに沸かせた。

梱包日本一は星 衛さん!

日本三の柳田さん

日本二の渡辺さん

日本一に輝いた高砂さんが高松氏と握手をかわす

閉会のスピーチを行う審査委員長の高松氏

総合資格は会場で書籍をプレゼント(せんだいメディアテーク)

開場前に打ち合わせを行うスタッフ(せんだいメディアテーク)

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