Diploma×KYOTO'14

Diploma×KYOTO'14

名称

Diploma×KYOTO'14

日程 2014年2月22日(土)〜2月24日(月)
会場 京都市勧業館みやこめっせ
1日目
審査員
  • 栗生 明氏(栗生総合計画事務所代表取締役/千葉大学名誉教授)
  • 前田 紀貞氏(前田紀貞アトリエ主宰/国士舘大学非常勤講師)
  • 山梨 知彦氏(日建設計 執行役員・設計部門代表)
  • 渡辺 真理氏(法政大学デザイン工学部教授/設計組織ADH代表)
2日目
審査員
  • 中坊 壮介氏(プロダクトデザイナー/京都大学経営管理大学院非常勤講師/京都市立芸術大学非常勤講師)
  • 平野 啓一郎氏(小説家/『日蝕』により第120回芥川賞を受賞、他受賞多数)
  • 御厨 貴氏(放送大学教授/東京大学先端科学技術研究センター客員教授)
主催

京都建築学生之会

特別協賛

株式会社総合資格

3部構成となり、評価軸の違いが注目される

京都建築学生之会合同卒業設計・卒業論文展「Diploma×KYOTO’14」は、2月22日(土)〜2月24日(月)の期間、京都市勧業館 みやこめっせで開催されました。
千人単位の人員を収容できるこの施設は、平安神宮や京都市美術館、京都市動物園に近接しており、人の往来が多い賑やかな場所。 また、近年は、みやこめっせが本展の会場になっており、学生の間でも4年間の集大成を発表する場として浸透しつつあります。

今年で23回目を迎えた本展。今年度の応募は、20大学221名となり、過去最大規模となった昨年とほぼ同じ数の作品が出展さました。 今年度のテーマは「祭」。建築学生として過ごした4年間で、それぞれが培ってっきた独自の価値観。これから建築人として歩んでいく中で、自分自身の拠り所となるべきその価値観が一堂に会し、それぞれの決意表明として発表される祝祭の場としたい、と言う願いが込められています。

昨年は2部構成で開催された本展ですが、今年は3部構成で開催され、1日目は建築家による審査、2日目は他分野著名人による審査、3日目は学生同士による審査。絶対的な尺度がないと言われる建築について、それぞれの目線でどのような評価がなされるのかが注目される展示会となりました。

【1日目】〜建築家による講評〜

大会初日となった22日は、その道のプロフェッショナルである建築家による講評・審査が行われました。今年の審査員は以下の通り。

栗生 明氏
 (栗生総合計画事務所代表取締役/千葉大学名誉教授)
前田 紀貞氏
(前田紀貞アトリエ主宰/国士舘大学非常勤講師)
山梨 知彦氏
(日建設計 執行役員・設計部門代表)
渡辺 真理氏
(法政大学デザイン工学部教授/設計組織ADH代表)

午前には一次・二次審査が行われました。
一次審査では、審査員が会場を巡回し全作品から30作品が選出されました。二次審査では、一次審査で選考された30作品から、審査員のディスカッションにより三次審査(講評会)に進む11作品が選出されました。

講評会進出作品

No. 名前 学校名 作品名
031 大形 直也さん 京都建築大学校 「国包の行く末」
047 片岡 睦さん 大阪芸術大学 「ブッキッシュな迷宮あるいは薔薇の名前」
048 加藤 圭介さん 大阪工業大学 「阿倍野ネクロポリス」
069 小林 璃央さん 神戸大学 「北木採石トポフィリア」
100 竹中 賢太さん 立命館大学 「オフィスとがっこう」
122 中谷 瑞穂さん 立命館大学 「時を見つめる場 −食育時代における奈良ドリームランド跡地再計画− 」
124 中原 大貴さん 大阪工業大学 「消息する混沌」
155 藤田 千博さん 関西大学 「子どもの森」
156 藤原 健太さん 京都大学 「堺市中百舌鳥古墳群 ―時代を超えた建築―」
171 三野 春樹さん 京都大学 「生命システムとしての集落」
195 山田 広大さん 大阪工業大学 「吉田山文庫」

三次審査は、まず11名のプレゼンテーションが行われ、それぞれの発表の後に審査員から質疑が行われました。最後まで残った作品だけあって、それぞれが自分自身の思考を堂々と述べていく様からも、学生が建築に打ち込んできた四年間がいかに濃密であったかが伺えました。それに続いて、いよいよ順位が決定する最終質疑が行われ、審査員の投票により各賞が決定しました。
審査結果と各審査員の講評(要約)は以下の通り。

1位 「北木採石トポフィリア」

岡山県の瀬戸内海に浮かぶ北木島にある採石場を舞台にした作品。150年も前から露天掘りで採石されているこの採石場は、最大で120mもの高さになる巨大な穴があります。小林さんは、その巨大なスケールを目の当たりにした時に、ただただ圧倒されると同時に、減産の建築の可能性に気づいたと言います。通常の建築は様々な建築資材を投下して創るものであるのに対し、本作品は、建築資材を使いはすれども、その土地の形態を最大限に生かし、周辺で開催される瀬戸内交際芸術祭と連携することも視野に入れ、ギャラリーを中心とする観光地へと変える提案でした。独自性のある視点や、ダイナミックな造形、緻密なリサーチが評価されての受賞となりました。

No.069
小林 璃央さん
(神戸大学)

2位 「阿倍野ネクロポリス」

大阪市営南霊園を敷地とした墓地の提案。この墓地は140年にわたり存在し続けている墓地で、約13,800基の墓石があるそうです。日常では社会から隠蔽されるように存在することが多い墓地を、恒久的に存在し続ける場所へと昇華させるという加藤さんの思想が込められています。また、建築をタワー型にすることにより、墓地不足を解消するという提案も盛り込まれています。誰しも必ず向き合う“死”について、隠すことではなく、可視化させることを提案した点などが評価されての受賞となりました。

No.048
加藤 圭介さん
(大阪工業大学)

3位 「ブッキッシュな迷宮あるいは薔薇の名前」

古代都市バビロンに図書館を設計するという片岡さんの提案。読書とは、経験や知識、記憶などを掘り起こし再構築することであり、それはあたかも迷宮を彷徨うが如き行為であると捉えたという片岡さん。そこで、迷宮と図書館を取り上げた作品に辿り着いたそうです。また、編集工学を提唱する松岡正剛氏の考えにインスパイアされたことにより、松岡氏に捧げるバビロンの図書館として設計したそうです。その独自の世界観が評価されての受賞となりました。

No.047
片岡 睦さん
(大阪芸術大学)

山梨賞 「オフィスとがっこう」

No.100
竹中 賢太さん
(立命館大学)

前田賞 「生命システムとしての集落」

No.171
三野 春樹さん
(京都大学)

渡辺賞 「堺市中百舌鳥古墳群 ―時代を超えた建築―」

No.156
藤原 健太さん
(京都大学)

栗生賞 「時を見つめる場 −食育時代における
奈良ドリームランド跡地再計画− 」


No.122
中谷 瑞穂さん
(立命館大学)

審査員講評

栗生 明氏:
中途半端な立ち位置で終わってしまっている作品が多いように感じました。可能性があるのに、とりあえずここまでって言う話で終わっているのが多くて、なかなか次の展開まで繋がっていない作品が多いように感じました。それぞれの思いが間違っていても良いと思うんだけれど、その思いにもっと突っ込んでいくような、表現の強度が足りないように思う。嫌いなんだけど、あれには心動かされるな。そんな建築があって良いと思うんです。
それと、人間不在の建築が目につきました。つまり、頭の中だけで形態操作している。もしかしたら、その手法で魅力的な空間ができるかもしれないけど、人間の姿が見えてこないというか、その中に自分が入った時にどう感じるのかであるとか、反応を自分で確認しながら設計を進めていくと言うことが不十分に感じましたね。

前田 紀貞氏:
私は東京で建築塾をやっているんですが、その中に卒業設計コースもあるんです。だから、皆さんが特にこの一ヶ月間ぐらい心身共にどれだけ大変な思いをしてきたのかよく分かります。でも、だからこそ言いたいこともある。卒業設計で一番大事なのは、自分しか出せないオリジナルな世界観が出せたかだと思う。だから、既存の世界観に乗っかって綺麗な模型を創りましたでは意味がないと思う。下手でも論理が破綻していても、オリジナルなキラッと光る物が大事。もう一つは、学んできた今までの建築じゃなく、これからの建築を考えて欲しいと言うこと。その手がかりを探すために、もっと勉強して欲しい。
最後に、一つのことに徹して欲しいと思う。あれもこれもになると薄まっちゃうけど、何かを突き詰めていくと色々なことが見えてくる。ただ、一つに徹するとそこから逃れられなくなるから大変だ。でも、それと向き合う覚悟が「自分の建築」と言える物を創っていくんだと思う。

山梨 知彦氏:
審査するにあたり、まずは模型という「物」を見て、その後に語ってもらうという流れになりますが、「物」というオブジェクトレベルの強さは、建築ではとても重要です。その強さが大きければ大きいほど、それに見合っただけの意義が設定されているかキーになるわけです。つまり、後半の説明・提案部分、社会的な意義をきちっと語ってもらわないと、すごく残念な感じがして評価が急落してしまうんです。今日は正直言うと、「物」で説得されて選んだ時のインパクトと比較して、説明が弱かったので残念に思います。

渡辺 真理 氏:
それぞれの学生が、自分が興味を持つテーマで卒業設計を行ったのはよく分かります。ただ、私の視点から見ると、必ずしも社会と接続していないように見えます。近年は、社会性を持たないと行けないという強迫観念が感じられる作品が多い中、今回見させていただいた皆さんは自由で良いなと思う反面、自分の世界に閉じこもっていて、社会に提案することで何を変えたいのかという自分自身の考えが、伝わって来なかったですね。これから設計をやっていく上で、そう言う視点も意識して取り組んで欲しいと思います。

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【2日目】〜他分野著名人による講評〜

大会二日目は、他分野著名人による講評・審査が行われました。今年の審査員は以下の通り。

中坊 壮介氏
 (プロダクトデザイナー/京都大学経営管理大学院非常勤講師/京都市立芸術大学非常勤講師)
平野 啓一郎氏
(小説家/『日蝕』により第120回芥川賞を受賞、他受賞多数)
御厨 貴氏
(放送大学教授/東京大学先端科学技術研究センター客員教授)

審査方法は初日と同じ形式で行われ、巡回による一次審査、審査員ディスカッションによる二次審査、出展者のプレゼンおよび審査員講評による三次審査(講評会)を経て、以下の作品が受賞作として選出されました。

受賞作品および寸評

中坊賞 「窓を開けなくなった私たちへ」

中坊氏:
他の出展者と異なり、非常に狭い範囲での視点なのが特徴だと思う。自分自身の直感や視点を貫いた姿勢とその成果を評価したい。

No.051
加藤 実悠さん
(神戸大学)

平野賞 「オフィスと学校」

平野氏:
騒音が気になるものの、大人がいる環境であることが、自然とセキュリティの機能を果たしていると思う。現在の小学校が隔離されすぎていると私も感じており、社会を感じて育つという意味でも良いと思う。

No.100
竹中 賢太さん
(立命館大学)

御厨賞 「行き遅れた村」

御厨氏:
棚田と自然に対する思いが伝わってくる。その気持ちの強さだけでなく、農林業再興への取り組みであることも併せて評価したい。

No.81
清水 友基さん
(関西大学)

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