2014年日本建築学会賞[作品] 受賞記念講演会(Day3)

11月12日(水)、(株)竹中工務店 東京本店 で「2014年日本建築学会賞[作品] 受賞記念講演会」が行われました。本イベントは、2014年日本建築学会賞[作品] を受賞した3名の設計者を招き、受賞作品について講演を行っていただくもの。今回は、3日目として菅 順二氏の講演が行われました。

今回の講演は、2014年日本建築学会賞[作品]を受賞した「明治安田生命新東陽町ビル」について。 冒頭、受賞作品の詳細な説明に先立ち、過去から、現代までの「オフィスビル」の変遷と共に、現代の「オフィスビル」の問題点および、これからの形が語られました。

菅氏は、現在の「オフィスビル」の特徴として建物の中心部にエレベーターなどの設備が集中する「センターコア」であること、また「ワークスペース」が均質化していることを挙げ、この形態は1950年頃から変わらず現在まで続いている様式であると語りました。

講演を行う菅 順二氏
真剣な表情で講演に聞き入る来場者

現在の「オフィスビル」では、「照度」「空調」などが場所ごとに「均質」であることが求められることから、外的な影響を遮断し「外部に閉じていく」形にならざる得ないとした上で、「明治安田生命新東陽町ビル」では、人々の活動をより活性化させるために、自然の環境を利用し「5感」を刺激すること、また「より多くのコミュニケーション」を生み出すことを意図した設計となっていることが語られました。

「明治安田生命新東陽町ビル」では、前述のコンセプトを実現するために様々な設計の工夫がされています。
外周部に面する窓やダクトから、中心の吹き抜けまで自然の風を採りこみ、ドラフト効果で吹き抜け上部の換気口から外部へと風を抜く換気システムや、建物の中心部に屋上からガラスの箱を1階まで釣り下げ、建物の中側からも自然光を各階に届けられる採光システム。吹き抜けの周りを螺旋状にあがっていくスロープが人々のストレスを緩和することや、吹き抜けに架かるブリッジがコミュニケーションを生む場となることなどが紹介されました。
また、実際にこの建物で仕事をしている人々のアクティビティが向上している様子などが映像や写真も交えて紹介されました。

講演後、菅氏に多くの質問が寄せられた。

講演後半には質疑の時間が設けられ、来場者からの質問に対して、身振りも交え熱心に回答されている菅氏の姿が印象的でした。
講演全体を通して「人間らしさ」「人間の感性」を大切にすることが人々の活動を活性化させるというメッセージが強く伝わる講演となりました。公演後は、来場者も交えての懇親会が開かれ、建築や様々な事柄について楽しい語らいの場が広がりました。

懇親会の様子。菅氏との語らいの場が広がる。
受付の様子。総合資格学院は書籍をプレゼント!
名称

2014年日本建築学会賞[作品] 受賞記念講演会(Day3)

開催日 11月12日(水)
会場

(株)竹中工務店 東京本店

講演者 菅 順二氏((株)竹中工務店)
主催

(株)総合資格

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