「トニカ北九州合同講評会2014」

「トニカ北九州合同講評会2014」

名称

「トニカ北九州合同講評会2014」

日程 作品展示:2014年2月14日(金)〜2月16日(日)
・一般・学生審査 :2月14日(金)
・講評会 :2月15日(土)
会場

西日本工業大学 小倉キャンパス3F・6F

クリティーク
  • 赤坂真一郎氏(アカサカシンイチロウアトリエ)
  • 内田貴久氏(内田貴久建築設計事務所)
  • 吉村靖孝氏(吉村靖孝建築設計事務所/明治大学特任教授)
コーディネーター
  • 倉方俊輔氏(大阪市立大学大学院准教授)
主催

北九州建築デザインコミュニティtonica

特別協賛

株式会社総合資格

今年で4回目を迎えた北九州建築学生の合同設計展

今年で4回目を迎えた北九州の建築学生たちによる合同設計展「トニカ北九州合同講評会」。この設計展は、北九州の3大学(北九州市立大学、九州工業大学、西日本工業大学)が主体となり、「北九州に建築議論の場を」のスローガンのもと、2010年に設立された「北九州建築デザインコミュニティtonica」による主催。
会場となった西日本工業大学の小倉キャンパスは、北九州のシンボル小倉城のほど近く、巨大複合施設「リバーウォーク北九州」に直結し、普段から観光客や買物客などでにぎわう、大変アクセスの良い場所にあります。
今回は、上記の3大学に加え、九州産業大学と福岡大学からも参加。5つの大学から、合計36作品が出展されました。

トニカがこだわる「一対一対話システム」

この設計展の特徴は、初開催以来ずっと続けられてきた「一対一対話システム」。通常の設計展の場合、巡回審査を通過した者のみにプレゼンテーションの機会が与えられますが、本設計展では、出展者全員がクリティークに対し、直接プレゼンの機会が与えられます。持ち時間は、出展者によるプレゼンが1分、質疑応答が1分30秒、その後、クリティークから30秒のアドバイスの計3分。「建築学教育において歴史の浅い北九州で、学生のレベルアップのためにtonicaができることとは何か」という自らの問いに対し、その回答として受け継がれてきた審査システムです。
今回、ゲストとして参加したのは、倉方俊輔氏(大阪市立大学大学院准教授)、赤坂真一郎氏(アカサカシンイチロウアトリエ)、内田貴久氏(内田貴久建築設計事務所)、吉村靖孝氏(吉村靖孝建築設計事務所/明治大学特任教授)の4人。この日はあいにく東京が大雪に見まわれ、吉村氏の飛行機が飛ばないというアクシデントがありましたが、急遽、新幹線にて小倉に駆けつけ、ギリギリのタイミングで無事に審査が開催されました。

倉方俊輔氏
赤坂真一郎氏
内田貴久氏
吉村靖孝氏
審査に先立ち、クリティークらによる自らの活動紹介が行われた。
司会を務める倉方氏からは新刊の紹介。

出展者全員による熱いプレゼンテーションの末に上位5作品を選出

前述のとおり、本設計展では各クリティークが出展者全員の作品を巡回指導するため、かなりの時間と労力が必要となります。しかし、参加した学生にとっては、第一線の建築家の方々と直接会話ができる数少ない機会。完成までのこれまでの思いを込めて、随所で自らの作品を熱くアピールする光景が見られました。
およそ3時間近くに渡る巡回審査の結果、最終審査に進む上位5作品が決定。選ばれたのはいずれも女性という、近年の女子力の強さを反映した結果となりました。

名前 学校名 作品名
森詩央里さん 九州産業大学 「ナガサキナガヤ ―世紀をまたいで生活の場をひろげてゆく建築の条件―」
石蔵未浦さん 北九州市立大学 「団地だんらん」
吉田智尋さん 九州産業大学 「人と建築がとけあう時。」
山口史さん 九州産業大学 「奏でる風景」
崎間美紀さん 西日本工業大学 「スージ(道)とチナ(綱)とマチャ(商店)と」

熱い議論の末、九州産業大学の3人が上位を独占!

最終審査は上位5人によるプレゼンテーション。持ち時間は各自5分。その後、クリティークらによる質疑応答が5分。そこからさらに様々な議論を経て、最優秀賞が決定されます。
今回の特徴は上位5人がすべて女性で、いずれも堂々たるプレゼンテーションを披露していたということ。内田氏からは「女子たちの熱量の高さ、熱い思いが伝わった」、倉方氏からは「女子が強いのは周知の通りなので、これからは逆に男子を応援したい」と述べられるなど、文字通り、女性が主役の大会となりました。
長時間に渡る議論の末、最終的に森さんの作品が最優秀賞に決定。さらに山口さんと吉田さんの作品が優秀賞に決まり、上位すべてを九州産業大学が独占するという結果となりました。

最優秀賞 「ナガサキナガヤ ―世紀をまたいで生活の場をひろげてゆく建築の条件―」

森さんが敷地に選定したのは、古くから切妻屋根の住宅が密集して存続する、長崎の傾斜地。車も通れない不便さのため、近年、道路整備計画が浮上しているという。しかし、行政による従来の手法では、どこにでもある普通の造成地に成り下がってしまうことを危惧したという森さん。従来のコンテクストを保持しつつ、道路整備計画との折り合いをつけながら、この場所に根付いてきた斜面地ならではの人々の生き方を次世代につなげる建築的な方法を提案する。パタン・ランゲージの手法を用い、この土地に土着的に受け継がれてきた人々の生活様式を抽出。それをもとに、斜面地ならではの高低差を利用した、新たな住宅地のあり方を提案する。実際に長崎に何度も足を運び、この地域の人々の暮らしを研究したという森さん。数十枚に渡る丁寧なスケッチからは圧倒的な熱量が伝わり、すべてのクリティークから高く評価された作品。

森詩央里さん
(九州産業大学)

優秀賞 「奏でる風景」

最後まで森さんの作品と競いあった作品。敷地は熊本県宇城市不知火町の農村地帯。近年、徐々に新興住宅地が増え始めているというこの地域だが、今の田園風景がこれからもずっとあり続けて欲しいと願った山口さんは、新興住宅地の住民と、農業従事者たちとがめぐりあい、ふれあうことのできる、たまりの場を提案する。現在、子どもたちの通学路となっている、農村地帯を貫く一本の農道を中心線とし、その周囲に数種類の簡素な小屋、東屋、足場などを設置。川のせせらぎ、美しい夕日、田園風景などを直接感じられる建築を計画。簡易な建築的操作により、最大限の効果を引き出す手法が高く評価された作品。赤坂氏から「どこにでもある風景を、建築を介していかに維持していけるかという良い提案」と評された。

山口史さん
(九州産業大学)

優秀賞 「人と建築がとけあう時。」

「建築とは何なのか? 用途や機能がなければ、それはアートなのか?」という問いに端を発し、人間の感性的な部分に目を向け、精神につながる建築を目指したという吉田さん。「精神がこわれる前に、建築は何ができるのだろうか」と自らに問いかけ、自らの感性が志向する様々な空間を形態化し、ブラッシュアップしたすえに、自らの魂が安らげる4つの空間に行き着いたという、詩的な語り口のプレゼンテーションが印象的だった作品。倉方氏から「それは建築がやることなのかと言われかねない領域へ一歩踏み込んでいるが、それは建築の可能性を信じているからこそできること」と評された。

吉田智尋さん
(九州産業大学)

上位5選 「団地だんらん」

北九州市門司区に存在する、既存の団地の再生計画。この団地は、門司の住宅立地の特徴でもある傾斜地に立ち並んでいるが、建物の老朽化とともに住民の高齢化が進み、傾斜や階段が身体的に大きな負担となっている。今回の作品では、この土地の弱点である傾斜を利用し、地盤面や建物の高低差を利用して、各棟に橋を渡し、さらに棟の屋上を菜園にするなどして、お年寄りが気軽にふれあえる新たな生活空間を提案している。

石蔵未浦さん
(北九州市立大学)

上位5選 「スージ(道)とチナ(綱)とマチャ(商店)と」

崎間さんが敷地に選んだのは、郷里である沖縄県宜野湾市大山。沖縄特有の区画割りである細い路地(スージ)が特徴的な住宅地だが、近年は空き家が多くなり、寂れつつあるという。崎間さんの作品は、かつての住民たちのつながりを復元し、さらに観光客も訪れる、新たなまちづくりの提案。古くから大山に伝わる綱引き(チナヒキ)や、住民たちの憩いの場となる商店(マチャ)、さらに観光案内所、空き家、空き地などのリノベーションを組み込んだレイヤーの重なりにより、町を活性化させる計画。

崎間美紀さん
(西日本工業大学)

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