千葉大学卒業設計展2015
千葉大学卒業設計展2015
名称 |
千葉大学卒業設計展2015 |
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日程 |
開催日:2015年2月23〜24日 公開審査 :2015年2月23日 |
会場 | 千葉大学アカデミックリンク 1F |
審査員 |
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主催 |
千葉大学工学部建築学科建築展2015実行委員会 |
特別協賛 |
株式会社総合資格 |
千葉大学卒業設計展2015が、2月23〜24日、千葉大学内にあるアカデミックリンク(千葉県千葉市)にて開催された。
同設計展では、建築が好きすぎるあまり、晩から朝までそれに没頭し設計活動をする様である「アーキテクツ・ハイ」をテーマに据え、まさにその状況下から学生たちが生み出した28作品を展示した。
23日の公開審査では、同大学の図書館「アカデミックリンク」の1階ホール部において、今回の展示作品の中からさらに選出された12作品の担当学生がプレゼンテーションを実施。4分という限られた説明時間の中で、各々の作品の概要から狙い、そして作品に対する熱い想いまでを、審査員をつとめる5人の建築家にぶつけた。各プレゼンテーション後には、審査員から作品に対するコメントをもらう時間が設けられており、建築家として、そして社会人の先輩として、暖かくも厳しい意見や鼓舞激励の言葉が学生たちに投げられた。
公開審査の総括
学生たちのプレゼンテーションがひと通り終了した後、それぞれの審査員から公開審査の総括が述べられた。
まずはじめに百田氏がマイクを取り、「卒業設計にかけた熱い気持ちをこれからも忘れずにがんばっていってください」という激励の言葉を述べた。次いで大西氏は「千葉大ならではのカラーが出ていて、そういった案が出てくる校風やみなさんを取り巻く環境のポテンシャルについて、考えさせられました」とコメントした。
西倉氏は「先生方の指摘に対しては、それをネタに話すのがプレゼンの本懐であって、もっと粘って話せるようにしていきましょう」と学生たちを鼓舞。山梨氏からは「こういった場では、徹底的に反論すべきです。まだ作品は完成しておらず、残りの卒業までの時間で、反省し、やり直し、作り上げるのが卒業設計だと思います。全体的に見て、社会問題の根底にあるようなテーマが多く、いい意味で泥臭さを感じましたし、非常に楽しませてもらいました」という感想が述べられた。
最後に栗生氏が「限られた時間中でうまく説明する方法を勉強するといいでしょう。バラエティに富んでいて、それぞれの卒業研究を土台に、それを卒業設計で建築に表現している部分は好ましいと感じました。今後も人間にとって建築はどういったことができるのかを、常に頭だけではなく、体で考えながら設計行為にあたっていってもらいたいと思います」と結び、公開審査を締めくくった。
審査結果は、公開審査終了後すぐに取りまとめられ、千葉大学卒業設計展2015における最優秀賞ならびに各審査員賞が決定した。
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- 栗生 明 氏
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- 山梨 知彦 氏
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- 西倉 美祝 氏
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- 大西 麻貴 氏
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- 百田 有希 氏
受賞作品と受賞者のコメント
最優秀賞 | 「駅と街のあいだ」 ■得意のスケッチを強みとして出せた 私の地元である葛飾区立石は、再開発の計画が進んでいます。そんな折、私なりに「こうなったらいいな」という構想が浮かび、今回それを卒業設計で形にしました。
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和田 紫穂さん |
栗生明賞 | 「smallimages」 ■形になった小さな絵の集積 私自身は、ビルや駅など、かっちりとした設計が好きで、当初はまったく方向性の異なる卒業設計を進めていました。ところが今回の審査員でもある西倉先生の指摘を受け、継続が難しいと判断し、その制作を中断しました。そんな中、子供が大好きな私が、保育園についての研究に取り組み、実際に保育園で子供たちと一緒に遊ぶ中で、なんとなく作りたいと思いはじめたものがあり、残された時間は少なかったのですが、「一発やってやろう!」と奮起し、夢のある作品にあえてチャレンジしました。かねて小さい絵を描き続けており、その創造の集積でものが作れるのではないかと考えて形にしていった結果が、今回の作品です。
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青木 友里音さん |
山梨知彦賞 | 「未亡人の家」 ■小さなものの中の大きな気づき
卒業設計は、現実的に手の届く範囲の小さな対象、それこそ「ひとりのため」のようなものをテーマに取り組みたいと考えていました。そんなとき、夫を亡くしひとり暮らしをする祖母を客観的に見てみると、実は社会的な問題の渦中にいるということに気づきました。祖母ひとりのための家というのは決してスケールが大きな設計ではありませんが、それでも今回受賞できたのは、テーマにぶれがない切実さが評価されたのだと捉えています。
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清水 襟子さん |
西倉美祝賞 | 「潮待ちの港のふるまい」 ■将来への大きな収穫に
私の卒業設計は、地元である「鞆の浦」という町をどうこうしたいというより、まずシンボルとしての舞台装置をそれに相応しい舞台につくりたいという想いが先でした。とはいえ、自身の目指すところまでやりきることができず、入賞はないと思っていただけに、賞をいただけて非常にうれしく思っています。模型には特に力が入っており、金属は錆びた塗装にするなど、手間と時間がかかっています。お手伝いの学生のがんばりにも報うことができた受賞となりました。
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上池 大樹さん |
大西麻貴賞 | 「よりみち招添街」 ■心から楽しむことが結果につながった
私は、都市計画系の研究室に所属しており、そこで先輩が取り組む「商店街の再生」の研究に感銘を受け、私なりの視点で「空間」をテーマに形にしたのが今回の卒業設計です。
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臼井 花野さん |
百田有希賞 | 「AKI-BA-ZAAR」 ■大好きな街が教えてくれたこと
魅力あふれる秋葉原という街が大好きで、卒業設計に取り組むにあたり、「やっぱり敷地は秋葉原にしたい」と考えていました。ところが、検討を進める中で、いざ課題をみつけるとなると、それはそれでけっこう大変で、さらに私が提示する解決策や回答が本当に正しいのかで、かなり悩みました。そして悩んで捻り出した答えが、結果、賞という形になって本当によかったと思っています。
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金子 眞央さん |
公開審査終了後、参加学生および審査員などが同大学の食堂に介し、授賞式および懇親会が催された。プレゼンテーションの反省や今後の進路報告をし合う学生、審査員の先生方から作品について、より詳細な講評をもらう学生の姿が見られ、会場は終始、建築トークで盛り上がりを見せた。