建築新人戦2015

建築界期待の新人を発掘! 建築新人戦2015

2015年10月2日(金)〜10月4日(日)の3日間、今回で7回目を迎える「建築新人戦2015」が梅田スカイビル(大阪市北区)で開催された。本大会は大学1回生〜3回生、専門学生などを対象に、所属する教育機関で取り組んだ設計課題作品を競い合う、言わば今後の活躍が期待される建築学生を発掘する場。本年度は全国から577作品が寄せられた。大会期間中は、8月17日に行われた一次審査で選出された上位100作品を、同ビルのタワーイースト5階特設会場にて展示。3日(土)の二次審査では100作品から16選、8選と絞られ、午後の公開審査にて、最優秀新人賞1作品と優秀新人賞3作品が選出される。

多くの学生で賑わう100選展示会場
公開審査は同ビルのタワーイースト3階ステラホールで行われ、8選選出者によるプレゼンテーション、審査委員との質疑応答を経て、受賞作品を決定。最優秀新人と2位となった優秀新人、さらに100選の中から特別枠1名の計3名が、10月23日からベトナムのホーチミンにて開催される第4回アジア建築新人戦への切符を手にする。

審査委員

遠藤秀平氏(審査委員長)
マニュエル・タルディッツ氏
松本明氏
前田圭介氏
島田陽氏
工藤和美氏

最優秀新人の栄冠は誰の手に!? 公開審査が幕を開ける!

実行委員長 中村勇大氏(京都造形芸術大学教授)による開会宣言

実行委員長の中村勇大氏(京都造形芸術大学教授)によるホイッスルが鳴り響き、公開審査がスタートした。今回16選に選ばれたのは、近年の設計展では珍しく全員男子学生。さらにうち2名が留学生(ともに8選選出)という意外な幕開けとなった。「16選の中から何名かは8選に選ばれていてもおかしくなかった」という審査委員長の遠藤氏の言葉があり、選考は非常に接戦であったことがうかがえる。
公開審査ではまず、8選選出者によるプレゼンテーションが行われ、3分間という短い時間の中で、学生たちは精一杯作品の魅力を伝えた。

しかし、「元気がない、絶対最優秀賞を取るという意気込みを言葉にしてほしい」と、審査委員からは厳しい言葉。「審査委員が質問をするのは、その作品を良いと思ったから」であると、元気な反論が求められた。

質疑応答で最も多くの質問を投げかけられたのは、伊藤高基さん(九州大学)の『筋交い壁のある町家』。斜めの“筋交い壁”を挿入することで、既存の町家を21世紀に求められる町並みに刷新しようという提案で、総合的な完成度の高さに注目が集まった。

質疑応答を終えて、いよいよ受賞作品を決める投票へ。最初の投票では、伊藤さんが審査委員全員の6票、木下慧次郎さん(千葉大学)の『寄り添う壁のみち』が4票を集め4選進出を決めた。『寄り添う壁のみち』は、ベッドタウンにおいて新住民と既住民をつなぐ“みち”の提案。遠藤氏と松本氏から高い評価を得て、トップを走る伊藤さんの後を追った。残りの6作品による2度目の投票では、高尾昴大さん(九州大学)の『とけあう暗がり』が6票、長谷川貴大さん(東京都市大学)の『だからこそ都市には斜めを』が3票で4選へ進出。ベスト4が出揃った。

4作品による決選投票では、タルディッツ氏、前田氏、島田氏、工藤氏の4名が伊藤さんに挙手。遠藤氏、松本氏が木下さんに挙手。伊藤さん優勢の展開は変わらず、この瞬間、伊藤さんの最優秀新人賞と木下さんの2位での優秀新人賞が決定した。この2名がアジア建築新人戦に挑むこととなる。また、4選に残った長谷川さん、高尾さんがともに優秀新人賞を受賞。日本代表最後の1枠となる実行委員長特別賞には、8選にも選ばれた竹村裕人さん(名古屋市立大学)が選出された。

16選は留学生2名を含む全員男子学生となった
投票結果

審査委員による投票で滞りなく各賞が決定したが、票が同数となった際に行われる予定であった来場者(100選選出者)の挙手による投票が、エキシビジョンとして行われた。この来場者投票でも伊藤さんが多数を得票。審査委員の判断と一致する結果となった。

来場者の挙手によるエキシビジョン投票
最優秀新人賞の伊藤高基さん
総合資格学院 岸隆司学院長より副賞を受け取る優秀新人賞の3名
アジア建築新人戦への最後の切符を手にした実行委員長特別賞の竹村裕人さん

遠藤秀平氏(審査委員長)

「日本の学部3年生以下の実力が確実に上がっているのは建築新人戦の成果。建築は自分の価値観が表出されるものであり、建築にとって何が大事なのかを考えることが大切。無意識にではなく、意図的に野心作をつくってほしい」

マニュエル・タルディッツ氏

「受賞作品はなぜ、どういうものが選ばれたのか、公開審査をしっかり聞いた学生にとって大変勉強になったはず。受賞した皆さんも、審査で指摘された問題点を改善していってもらいたい」

松本明氏

「完成度の高い作品が多かった。学部3年生は、建築によって社会・文化に携わることの面白さに気付き始める頃。建築をやっていくことへの意欲・動機付けを感じた作品を評価した」

前田圭介氏

「皆さんきちんとした建築をつくっているが、ちょっと元気がなかった。紙一重の僅差なので質疑応答は逆転のチャンス。飾らず素直に、力強い言葉を出してほしい」

島田陽氏

「応募作品全体的にレベルの差はあまりなかった。選に漏れた人も、評価を得ることを目的とせず今後も精進してもらいたい。審査委員として、結果をひっくり返すような言葉を皆さんから引き出せなかったのが残念」

工藤和美氏

「心を鬼にしなければならない部分もあったが、これからの建築界を背負う皆さんに期待を込めて審査した。皆さん、しっかり時間をかけてレベルアップし、学部3年生以下でここまで到達しているのは素晴らしい」

サプライズの発表に場内が沸く

授賞式の後には、特別協賛の株式会社総合資格より総合資格学院 学院長賞が発表され、西川公貴さん(金沢工業大学)が選ばれた。岸隆司学院長は「選から漏れた中にも優れた作品がたくさんありました。計画・設計・プレゼン力をさらに磨いていってください」と、建築学生たちへエールを贈った。また、同じく特別協賛のアーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社より、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン社長賞が坂本崚さん(東京都市大学)に授与された。同社の丸山社長は「アジアで役割を担う力を国内でどう磨くのか、そういった想いが広がっていく建築新人戦となってほしい」と祝辞を述べた。これら各賞の発表は大きなサプライズとなり、場内は盛大に賑わった。

総合資格学院 岸隆司学院長と学院長賞を受賞した西川公貴さん(金沢工業大学)

アーキテクツ・スタジオ・ジャパン株式会社 丸山雄平社長と社長賞を受賞した坂本崚さん(東京都市大学)

“原点が、ここにある”、建築新人戦2015閉会

学生代表として挨拶する実行委員学生部副代表 尾田大和さん(近畿大学)

閉会を前に、実行委員学生部副代表の尾田大和さん(近畿大学)による挨拶が行われた。「学生代表の田中翔子さん(帝塚山大学)が体調を崩し不在の中、不安になる場面もありました。しかし、“原点が、ここにある”のキャッチコピーのもと、田中さんが帰って来られる場所をつくるべく、スタッフ一同協力して運営してきました。今後も建築新人戦が建築学生にとって、刺激的で有益な場であり続けることを願います」と締めくくった。

8選選出者と審査委員

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