第14回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016

第14回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016

名称

第14回 JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016

日程 作品展示:3月10日(木)〜3月12日(土)
公開審査・講評会:3月11日(金)
会場 芝浦工業大学 芝浦キャンパス8階
審査員 富永 譲(富永譲+フォルムシステム設計研究所主宰/法政大学名誉教授)
主催 公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部
大学院修士設計展実行委員会
協賛 株式会社総合資格/総合資格学院

各大学推薦のハイレベルな作品がエントリー

日本建築家協会 関東甲信越支部が主催する「JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016」が、2016年3月10〜12日までの3日間、芝浦工業大学 芝浦キャンパスで行われた。

同設計展は、関東甲信越地方の各大学から推薦された、日本屈指のハイレベルな作品を展示。膨大なリサーチにより導かれた緻密な計画、それに沿って制作された模型、プレゼンテーションボードは、学生の作品の域を超えた完成度で、毎年話題となる。とりわけ関東圏において注目度が高い設計展であり、年々出展作品数を拡大している。14回目を迎えた今回は46作品がエントリーした(12回:37作品、13回:43作品)。

JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016
JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016
JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016
JIA関東甲信越支部 大学院修士設計展2016

46名のプレゼンテーション

富永 譲氏
富永 譲氏
(審査員)

3月11日に展示作品の中から審査員の単独審査により優秀作品を選出する、公開審査が開催された。

当日11:00には審査員の富永氏が会場に到着。すぐさま事前審査に入った。富永氏は巡回中、気になった作品の模型やプレゼンテーションボードへ顔を近づけるなど、真剣な眼差しで審査をしていた。

13:10からは一次審査が開始。出展者46名全員による、持ち時間2分のプレゼンテーションが行われた。事前審査とプレゼンテーションを参考に、2次審査に進む作品が決まるだけに、限られた時間の中で、作品の概要を説明し、少しでも分かりやすく伝えるよう、出展者による精一杯の発表が続いた。

プレゼンテーション終了後、例年であれば、別室で審査員が実行委員の意見を参考にしながら作品を選定するが、今回は審査員がプレゼンテーションと同時並行で審査を進めており、離席することなく、終了後すぐに二次審査進出作品が発表された。結果は以下の通り。

作品名 名前 学校名
都市のもう一つのファブリック
-無垢の創造性を解放する場所-
野口この実さん 神奈川大学
空間文体練習 石原愛美さん 東京藝術大学
幅15センチメートルの白線に纏わる物語 齋藤拓麿さん 東京電機大学
音源堂
-女川町照源寺から始まる、寺院に人が集う場の提案-
高野夏実さん 東京都市大学
眼差しの写実
-町を歩いて見つけた場所とその観察によって考えられる建築のあり方-
齋藤直紀さん 東京理科大学
経路の編集 関里佳人さん 武蔵野美術大学
都市と自然の再構築
-アズマヒキガエルを指標とした善福寺川流域モデル-
佐野優さん 早稲田大学
辺境にいる 田代晶子さん 早稲田大学

粒揃いの8作品から受賞作品が決定!

二次審査では、一次審査で選出された学生たちに、一人あたりの時間としてプレゼンテーション8分、審査員・実行委員からの質疑応答4分の計12分が与えられる。修士設計展だけあり、鋭い着眼点での問題提起、綿密な調査を基に練りこまれた計画案など、決して十分ではない時間の中で、卒業設計とはひと味もふた味も違う内容のプレゼンテーションが展開された。自身が信じて作り上げた作品に対して、しっかりとした考えや意見を持っており、質疑応答も大変白熱したものとなった。

これらのプレゼンテーション、ディスカッションの内容を踏まえ、富永氏は、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、奨励賞2作品を選出。表彰式兼懇親会会場となる場外すぐの広間へと場所を移し、各賞を発表した。結果は以下の通り。

最優秀賞

都市のもう一つファブリック
-無垢の創造性を解放する場所-
野口この実さん(神奈川大学)

神奈川大学周辺エリアを舞台に、支配的な都市のファブリックに埋没している、無垢の創造性に溢れるもう一つのファブリックを追求した作品。自身のアイデアに素直で、ワイルドに突き進む、建築に対する気持ちが高く評価され、受賞となった。

優秀賞

空間文体練習
石原愛美さん(東京藝術大学)

台東区旧山谷地区におけるホームレスと周辺住民のための施設の提案として、一つのストーリーが読み、書き換えによって異なってくる、フランスの小説家レーモン・クノーの「文体練習」をヒントに、新たな方向性を探った作品。完成度が高く、繊細さ、表現のセンスが出展作品の中でも群を抜いている点が評価につながった。

眼差しの写実-町を歩いて見つけた場所とその観察によって考えられる建築のあり方-
齋藤直紀さん(東京理科大学)

敷地は自身の出生地である群馬県高崎市の住宅地。そこに埋もれた、道の中に点在する「見ようとしないと見えてこないもの」に着目し、人々の生活に寄り添った公共空間を計画した。制作にあたり、緻密な調査、観察により、空間をしっかり捉え、解釈している点が評価された。

奨励賞

経路の編集
関里佳人さん(武蔵野美術大学)

洞窟を抜けた先の海が、従来見ていたものとまったく違った美しい表情だった幼少期のころの体験を基に、建築というフィルターを通した先に見える風景を計画した作品。自身で考えたものが2次元の図面の中でしっかり表現できていることが高く評価され、入賞となった。

都市と自然の再構築
-アズマヒキガエルを指標とした善福寺川流域モデル-
佐野優さん(早稲田大学)

生態系の連鎖が成り立っている東京都杉並区の善福寺緑地を敷地に選定し、ヒキガエルを環境指標として据え、そこから七つの手法を駆使して、都市において自然と共存する住宅モデルを提案した作品。洗練された優れたデザイン性が受賞の決め手となった。

大学院修士設計展2016総評

審査員 富永譲氏

最近の学生は、建築は制度化したものとしてあって、それを操作して、見てくれの良い作品をもっとも簡単な手続きでつくっていく、という傾向が見られます。それだけに自分の計画や設計が、他の人間に対して「どのような働きかけができるのか」をもっと考えていってほしいと思いました。

また、昔の学生に比べて、図面に対する能力が落ちているようにも感じます。2次元で、3次元のものを想像する力こそが、建築家の最大の能力です。今後、専門家としてやっていくのならば、図面の中にいろんなことをイメージしていく力が必要となってくるでしょう。CADやCGには限界や問題点があることを理解し、基礎となるペンシル&ドローイングをしっかりと訓練していってほしいです。

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