せんだいデザインリーグ2016 卒業設計日本一決定戦

せんだいデザインリーグ2016 卒業設計日本一決定戦

名称

せんだいデザインリーグ2016 卒業設計日本一決定戦

日程 展示:2016年3月6日(日)〜13日(日)10:00‐19:00
公開審査:2016年3月6日(日)15:00‐20:00
会場 公開審査:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
作品展示 :せんだいメディアテーク5F・6F
ファイナル審査員

審査員長
西沢 立衛(建築家/SANAA/西沢立衛建築設計事務所/横浜国立大学大学院Y-GSA教授)

審査員
手塚 貴晴(建築家/手塚建築研究所/東京都市大学教授)
田根 剛(建築家/DGT.(DORELL.GHOTMEH.TANE/ARCHITECTS))
倉方 俊輔(建築史家/大阪市立大学大学院准教授)
成瀬 友梨(建築家/成瀬・猪熊建築設計事務所/東京大学大学院助教)
小野田 泰明(建築計画者/東北大学大学院教授)
福屋 粧子(建築家/AL建築設計事務所/東北工業大学准教授)

ファイナル司会 本江 正茂(東北大学大学院准教授)
主催 仙台建築都市学生会議、せんだいメディアテーク
特別協賛 総合資格学院

3月6日(日)、せんだいメディアテークを舞台に「せんだいデザインリーグ2016 卒業設計日本一決定戦」のセミファイナル・ファイナルが行われました。 主催は、仙台建築都市学生会議とせんだいメディアテーク。第14回目の開催となる本年度は、全国より385作品が集まりました。

せんだいデザインリーグ2016卒業設計日本一決定戦
せんだいデザインリーグ2016卒業設計日本一決定戦

今年のテーマは、「境界を解く」。このテーマには、大会での作品と審査員、作品同士、審査員同士がぶつかり合った際に生まれる大きなエネルギーが新たな世界を開き、それが会場全体、ひいては日本、世界に影響を与えることを期待するテーマとなっています。

作品の審査
作品の審査
セミファイナルの模様1
作品の審査
セミファイナルの模様2
作品の審査
セミファイナルの模様3

大会の午前中に行われたセミファイナルでは、前日に385作品から100作品に絞られた作品から10作品が選出され、午後からは、同会場にてファイナルに進出した10作品のプレゼンテーションおよび公開審査が行われました。

作品の審査
作品の審査
選ばれし10人のファイナリスト

10作品の公開審査がスタート

公開審査審査員

西沢 立衛氏(審査員長)
西沢 立衛氏
 (審査員長)
手塚 貴晴氏(審査員)
手塚 貴晴氏
(審査員)
田根 剛氏(審査員)
田根 剛氏
(審査員)
倉方 俊輔氏(審査員)
倉方 俊輔氏
(審査員)
成瀬 友梨氏(審査員)
成瀬 友梨氏
(審査員)
小野田 泰明氏(審査員)
小野田 泰明氏
(審査員)
福屋 粧子氏(審査員)
福屋 粧子氏
(審査員)
本江 正茂氏(ファイナル司会)
本江 正茂氏
(ファイナル司会)

公開審査は、10人の学生のプレゼンテーションと審査員を交えての質疑という構成。1人あたりプレゼンテーション5分、質疑8分、計13分の時間が与えられました。公開審査に残った作品だけあり、どの作品も作りこみなど非常にしっかりしており、コンセプトの面でも目を引く魅力があります。また、学生の発表からは、学生の作品にかける熱い想いがヒシヒシと伝わってきました。質疑では、審査員の視野の広さ、考えの深さについていくのに苦労しながらも、自らで考えを組み立て意見を述べていました。10人のプレゼンテーションの後、さらに、審査員と学生の質疑の時間が設けられ、最終的には各審査員が3票を持ち、日本一〜三を推薦する投票が行われました。

公開審査
公開審査
公開審査
公開審査

<各審査員の投票にあたってのコメント>

福屋氏
私は、投票にあたり地域のことを考えて設計されているかどうかという点を特に重視しました。

小野田氏
自分が作るものにどのくらい責任を持っているかという点を見ました。その姿勢は、作品をちゃんと説明する、モノづくりに執着することなどに現れ、結果的にいいものを作るにはそれらは欠かせないと思います。

倉方氏
今回の作品は、ネガティブな案と、ポジティブな案とに分かれた気がします。ネガティブな案の特徴として、作品がアイロニーになってしまい、自分から何かを変えようという姿勢が見られない点が挙げられます。ネガティブな案について、もっと戦う姿勢が重要。その点で、戦う姿勢が見られるポジティブな案に投票しました。

成瀬氏
今、生きている世界に新しい生き方や、楽しみを見せてくれる案を選びました。

手塚氏
近年の卒系で気になるのは、審査員の批評に合うコンセプトを持った作品が評価されている点。建築は本来、コンセプトのその次にある実際に「モノ」を作るという過程が重要。コンセプトだけでなく、モノづくりという点も見ました。

田根氏
人生をかけているか。未来への想いがあるか。機能やプログラムを超えて建築が残れるかどうかという点を見ました。

西沢氏
まず、その作品が面白いかどうか。また、自分の想いが素直に建築になっている作品に好感を持ちました。

投票の結果、2作品に絞られる

投票の結果、票を集めたのがNo.394『初音こども園』とNo.366『金魚の水荘 -街を彩る金魚屋さん-』でした。

小黒 日香理さん 日本女子大学

394 小黒 日香理さん 日本女子大学

『初音こども園』

保育園でも、幼稚園でもない「こども園」という新しい発想が高い評価を得た作品。敷地は、谷中5丁目の静かな寺町。この土地には、子供や猫しか知らない場所が数多くある。この提案では、それらの場所に小さな建物をつくり、さらにそれらを獣道のような細い通路で円環状につないでいき、町を感じながら過ごすことのできるこども園を提案。子供達は、こども園の通路を走りまわり、時には建物でくつろぎながら、周りの都市と出会っていく。子供達が初めて都市を感じる瞬間にそっと手をさしのべたいという作者の想いがこめられた作品。

『初音こども園』
『初音こども園』

西沢氏
けもの道をテーマにした点が面白い。今の提案から、子供たちがけもの道を広げていけば、建築自体が有機的に成長していくこともできる。その点でも可能性を持っている作品。

田根氏
保育園でも、幼稚園でもない「こども園」という発想から新しい子供の場所が生まれる可能性を感じた。

元村 文春さん 九州産業大学

366 元村 文春さん 九州産業大学

『金魚の水荘 -街を彩る金魚屋さん-』

九州一の金魚の生産量を誇る金魚の郷、熊本県長洲町。この提案では、近年、長洲町が抱える問題点(労働者の減少、生産効率の悪さ、町に対して閉ざされていること)を挙げ、それらを解決するための建築を設計。プランの最大の特徴となるのは、金魚の養魚マスの上にかけられた桟橋。作業の動線となると同時に観賞用の経路も兼ねる。養魚場を町に開き、町の風景とすることで、町を甦らせていく提案。

『金魚の水荘 -街を彩る金魚屋さん-』
『金魚の水荘 -街を彩る金魚屋さん-』

西沢氏
地域の産業をどう育てていくかという問題意識を持っている点はすごく良いと思う。ただし、現段階の提案では、金魚の移動などバックヤードの部分が見えてこず、ショーウィンドウのように見えてしまっている点が惜しい。

小野田氏
実現できそうないいアイデアだと感じる。実際に作るにあたって水質や金魚の移動などロジスティックな部分が掘り下げて考えられていない点が惜しい。

この2作品から日本一を選出することが決まり、残りの作品から投票により日本三と特別賞が選出されました。

倉員 香織さん 九州大学

日本三

037 倉員 香織さん 九州大学

『壁の在る小景』

バックヤードのロジックやコンセプトで評価されるのではなく、モノとして美しいというだけで人の心を打つ建築を目指した作品。20m×20mの平面に対して、厚さや傾きなどが異なる複数の壁を設置し、変化に富んだ空間を生み出す。周囲の声に左右されず、自分が持つ完成のイメージを貫いた作者の意志の強さも評価された。

小野田氏
いいものを生み出すためには、自分の作品に強い思いと執着をもつことが必要で、それが作品のクオリティを上げていく。その点で見ると、この作品は「これをやりたい」という作者の想いが強く感じられた。

手塚氏
この作品では、周囲に何を言われようがやりきる意志力みたいなものを強く感じた。

西沢氏
形に対してのスタディが足りないように感じる。

『壁の在る小景』
『壁の在る小景』
國清 尚之さん 九州大学

特別賞

029 國清 尚之さん 九州大学

『micro Re:construction』

西沢氏
この作品に対しては、模型とプレゼンボードを見た段階では、生と死を超えるようなベナレスのような雰囲気があり、このような墓所があったらすごくいいなと感じた。しかし、プレゼンテーションでは、建築の魅力が伝わってこなかった。

『micro Re:construction』
『micro Re:construction』
平木 かおるさん 東京都市大学

特別賞

350 平木 かおるさん 東京都市大学

『まなざしの在る場所 -『写真の心』から読みとく視空間-』

西沢氏
人がどう思うかとは別に作者の想いが素直に建築になっている、表現されている点を評価した。

『まなざしの在る場所 -『写真の心』から読みとく視空間-』
『まなざしの在る場所 -『写真の心』から読みとく視空間-』

いよいよ日本一が決定!

最終的に、No.394とNo.366で決選投票が行われ、その結果、No.394が日本一に決定しました。

審査風景1
審査風景2

総評で審査員長の西沢氏は、「僕は、今回、すごく楽しかったです。その意味でとてもよかったと思います。僕は、審査にあたり建築的創造性をすごく重視しており、その意味で自分の想いがあって、それが建築につながっていくストレートさを特に気にして見ていました。コンペで競う上で技術、戦略、メッセージなど色々な要素がありどれも大切ですが、建築を創る喜びが建築の精神になるのかなと思っています。建築をつくる上では、様々な複雑な要素がありますが、建築を創る喜びを忘れずにやっていってほしいと思います」と語りました。

授賞式
審査委員長西沢氏の総評
授賞式
日本一の小黒日香理さん
授賞式
日本二の元村文春さん
授賞式
日本三の倉員香織さん
授賞式
梱包日本一は大田悠香さん
(工学院大学)
授賞式
運搬優秀賞は田原健太さん
(九州産業大学)
授賞式
総合資格学院は会場で書籍をプレゼント
授賞式
授賞式

<審査結果>

日本一 394 小黒 日香理さん 日本女子大学
『初音こども園』
日本二 366 元村 文春さん 九州産業大学
『金魚の水荘 -街を彩る金魚屋さん-』
日本三 037 倉員 香織さん 九州大学
『壁の在る小景』
特別賞

029 國清 尚之さん 九州大学
『micro Re:construction』

350 平木 かおるさん 東京都市大学
『まなざしの在る場所 -『写真の心』から読みとく視空間-』

10選

030 持井 英俊さん 東洋大学
『百年地図。 -2つのうつわから始まるとものうらの未来-』

090 高野 哲也さん 名城大学
『そして、自閉症のままおじいさんになればいい -自閉症者と一般の人々が共生する設計手法の提案-』

109 須藤 嘉顕さん 千葉大学
『虚の家』

367 岡部 絢子さん 東京都市大学
『子育ての芽』

452 田中 太樹さん 芝浦工業大学
『劇テキ・サカ場 -北区赤羽1番街を核としたコミュニティ空間の提案-』

<梱包日本一決定戦>

梱包日本一 376 太田 悠香さん 工学院大学
梱包日本二 414 染谷 和真さん 工学院大学
梱包日本三 170 高衣良 陽太さん 東京理科大学
運搬優秀賞 393 田原 健太さん 九州産業大学

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