21世紀アジアの地域に向けた新しい建築『伊東豊雄氏 講演会』

名称

『21世紀アジアの地域に向けた新しい建築』

日程 2017年9月22日(金)
会場 大連市都市計画展示センター
基調講演 伊東 豊雄氏(建築家/伊東豊雄建築設計事務所)
対談パネリスト
  • 岸 隆司(株式会社総合資格/総合資格学院 代表取締役社長)
  • 岡河 貢(広島大学 大学院工学研究院 准教授)
  • 胡越(全国実地調査設計巨匠、北京市建築設計研究院有限公司総建築師、胡越設計事務所総括建築師)
  • 範悦(大連理工大学建築・芸術学院 学院長、教授、中国建築学会建築師支部理事、建築教育評価支部常務理事)
  • 陸偉(大連理工大学建築・芸術学院 学術委員会主任、大連理工大環境設計研究所所長、教授、中国環境対策学会会長、大連都市計画専門家委員会主任)
  • 王洪礼(中国建築東北設計研究院有限公司総建築師、中国建築学会常務理事、遼寧省土木建築学会建築師支部理事長)
  • 崔岩(大連市建築設計研究院有限公司総建築師、遼寧省設計巨匠)
  • 曹輝(遼寧省建築設計研究院総建築師、中国建築学会建築師支部理事、遼寧省土木建築学会建築師支部副理事長)
  • 金華(大連民族大学設計学院 教授)
主催 大連理工大学建築・芸術学院、大連民族大学設計学院、広島大学工学研究院建築学専攻、総合資格学院
共催 遼寧省建築師学会、大連市都市計画展示センター、大連市建築設計研究院

当学院が主催に名を連ねる『21世紀アジアの地域に向けた新しい建築』が大連(中国)で開催

平成29年9月22日。当学院が主催に名を連ねる「21世紀アジアの地域に向けた新しい建築」と題したイベントが中国の大連で開催されました。 このシンポジウムでは、当学院が長年にわたり活動を支援している伊東 豊雄氏の基調講演をはじめ、中国の著名建築家や大学教授の方々をゲストに迎えたトークイベントなどが行なわれました。

偶然から実現した『日中の架け橋となる「国際的な講演会」』

広島大学の岡河 貢准教授が幹事を務め、総合資格学院 学院長岸と建築家 伊東 豊雄氏が特別顧問を務める『瀬戸内海文明圏「これからの建築と新たな地域性」創造・研究会』。
平成28年11月5日、九州大学 箱崎キャンパスで『第二回瀬戸内海文明圏シンポジウム「明日の建築を考える」・九州』が開催されました。
当夜の慰労会で、岡河 貢准教授より、大連理工大学と合同ワークショップを行なったことが語られました。同大学は2014年に総合資格が支援する、「第3回アジア建築新人戦」が開催された場所であり、岡河准教授と学院長 岸は、同大学の陸教授や範教授等が共通の知人であることが解りました。
大連の美しい街並みや建築について語り合う中、伊東 豊雄氏から「僕は中国の仕事も多いけど大連には行ったことがないな」との話がありました。 「それでは是非来年は3人で大連に行きましょう。大連で「伊東豊雄講演会」を実現しましょう」その場で合意に至り大いに盛上りました。
本年春より実現に向けた打合せが進み、講演会は大連理工大学、大連民族大学、広島大学、総合資格学院の主催事業として開催されることになりました。

600名が集う、伊東 豊雄氏の基調講演

冒頭、学院長岸から本公演の開催経緯となったエピソードを挨拶と共に紹介
会場となったのは、近年完成したばかりの「大連市都市計画展示センター」。
当日は会場に600名余の学生、若者、建築関係者が集まり、伊東 豊雄氏の入場を心待ちにしていました。
冒頭に学院長岸から本公演の開催経緯となったエピソードが挨拶と共に紹介されました。
基調講演が開始して直ぐに、伊東 豊雄氏は語りました。


「20世紀の建築は、建築と自然との関係が切れていた。建築が自然から自立することがテーマだった」
「自然はいつも渦を巻いて動いている。なのに建築はいつも静止している。僕に取っては矛盾なんです」
「建築を自然界から独立した存在と考えるのではなく、もっと自然に近づけるために「幾何学」を変える必要があるはずです。」

観客を魅了する伊東 豊雄氏のプレゼンテーション

「せんだいメディアテーク」、「多摩美術大学図書館」、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、「台中国家歌劇院」、「寧波華易国際教育図書館」等。
誰もが魅了される美しい建築と、創造の過程を紐解いていく緻密なCG映像。
次々と紹介される伊東 豊雄の作品群と、それらの施工方法の紹介。
着想と制作の秘密が惜しげもなく展開されていき、誰もが伊東 豊雄氏の創りだす、見たことのない世界に引込まれて行きました。
映像の中で「台中国家歌劇院」の複雑な造形の「曲面RC躯体」が組みあがった瞬間に、会場では大きな拍手が巻き起こりました。

中国の著名建築家や大学教授をゲストに迎えたトークイベント

対談では、北京から招かれた建築家の胡越氏が司会を担当して、感想や意見交換を交えた積極的な討議が行われました。
広島大の岡河准教授は「日本・中国・アジアの文明は、元々自然と人間の良い関係を作り続けようとした。」「伊東さんは、建築と自然と人間を結びつける可能性のきっかけをつかんでおられるのではないか。」と語りました。

学院長岸からは、伊東豊雄氏との出会いや活動支援を始めたきっかけ、7年間に渡り若者や学生への建築啓蒙や教育など一緒にやってきた関係が紹介されました。
中国から「伊東 豊雄さんが素晴らしい建築を実現させるのに、公共建築でどのように施主に理解をさせていくのか」との問いかけに、伊東豊雄氏は「自分の考えを押し付けるのではなく、利用者と一緒に考えて行くことが大切。自治体との交渉が主体でも、出来る限り一般利用者と直接話す機会を設けて、案が決まってからではなく、利用者と一緒に作っていく」「アジアの技術者は、当初は難しい施工に難色を示しても、技術が付いて来ると、興味を持ち、一生懸命に一丸で取り組んでくれる。」と語りました。

こうして「21世紀の建築と新たな地域性」をテーマに、日中合同で実現した有意義なイベントは大きな反響と共に終焉を迎えました。

私たちは、長きにわたり伊東 豊雄さんと様々な支援活動を続けて参りましたが、このイベントは、今夏、UIAゴールドメダルを受賞された伊東 豊雄さんと、私たちが初めて実現した「国際的な講演会」となりました。