日本デンマーク外交関係樹立150周年記念建築イベント「Communication Beyond Words」

日本デンマーク外交関係樹立150周年記念建築イベント
「Communication Beyond Words」

名称

日本デンマーク外交関係樹立150周年記念建築イベント
「Communication Beyond Words」

日程 [コンペティション]
・募集期間2017年8月15日〜9月30日
[エキシビジョン]
・日本会場:2017年11月30日〜12月5日/デンマーク会場:11月中旬
[トークイベント]
・日本会場:2017年12月2日/デンマーク会場:11月中旬
会場(日本) 新宿パークタワーリビングデザインセンターOZONE
若手招待建築家 【コンペ出題者 / 審査員】
PERSIMMON HILLS architects(日本)、ツバメアーキテクツ(日本)、
tomito architecture(日本)、 NORRON(デンマーク)、
STED(デンマーク)、lenschow&pihlmann(デンマーク) 以上6組
コーディネーター 矢野拓洋(代表)
主催
  • 日本デンマーク建築交流実行委員会
協賛 株式会社 総合資格、日経アーキテクチュア
日経BP総研 社会インフラ研究所、 日経ホームビルダー
日刊建設工業新聞、日刊建設通信新聞
Arkitektforeningen 、Forbundet Arkitekter og Designere
後援 在デンマーク日本大使館、在日本デンマーク大使館
一般社団法人 日本建築設計学会

外交関係樹立150周年に祝福の意を込め、建築イベントを開催

2017年、日本とデンマークは外交関係樹立150周年を迎えました。この記念すべき年を祝福する意を込めて、2国間建築アイデアコンペ、2国巡回エキシビジョン、フォーラム3種のイベントを複合したプロジェクト「Communication Beyond Words」が、半年間に渡って開催されました。
デンマーク会場
東京会場
プロジェクトが本格的に始動したのは2017年5月中旬。それぞれの国の歴史、空気感の中で積み重ねられてきた議論を前進させるべく、これからの建築界を背負おうとしている若手の建築家を招待することから始まりました。日本からは、ツバメアーキテクツ、PERSIMMON HILLS architects、tomito architectureの3組を、デンマークからはlenschow&pihlmann、STED、NORRONの3組を招待しました。これら6組の建築家が2国混合の3つのペアを編成し、2ヶ月間に渡ってオンライン上でどんなことをテーマに建築設計をしているか、解決すべき課題は何かなどを議論。各ペアが審査員となり、議論をもとに建築アイデアコンペ課題を作成し、8月から9月末にかけて2国間アイデアコンペを開催しました。コンペ対象者は建築学生や就業3年以内の若手の建築家に絞られました。こうすることで、日本、デンマーク中の同世代の建築家のなかに漂っている空気感や世代論が抽出されるのではないかと期待されました。
同時に公開された3つのコンペ課題には、両国から合計で50の応募案が提出されました。応募作品から優秀賞、最優秀賞を決めるための議論が再び各ペアによって実施され、10月にすべてのコンペの受賞者が決定しました。
東京会場の展示
東京会場での表彰式

コンペを軸として展開された2国間のディスカッションは、2国巡回エキシビジョンとして可視化されました。まず11月中旬にデンマークの建築家協会展示スペースで開催、その後12月1週目に新宿パークタワーリビングデザインセンターOZONEにて開催されました。展示物は、コンペ審査員となった6組の建築家のポートフォリオや事務所内で大切にしているアイテム、各ペアが交わしたEメールの履歴、各コンペに提出された50の応募案、優秀賞、最優秀賞受賞作品のプレゼンテーションシート、そして最優秀賞受賞作品の模型です。

また、エキシビジョン期間中、デンマークには日本の建築家3組を、日本にはデンマークの建築家3組を招待しました。エキシビジョン会場で合計4回のフォーラムを実施し、Eメールやビデオチャットだけでは伝えきれなかったより深い議論を実現しました。

議論を通して、建築だけでなく、建築を設計する環境や、その環境を作り出す社会背景など、広範囲に渡った意見交換をすることができました。この一連の議論を経ることで建築家たちの今後の作品に変化が生まれることを望みます。それは議論の暫定的な結論として、また社会的価値のあるアウトプットとして社会の一部となり、それがまた新たな議論を誘発することで社会は更新されていくでしょう。

岡河氏が「まとまりはないが、だからこそ建築的探求に満ちたシンポジウムであった」と述べたように、四国建築の現状の紹介や、地域愛と情熱をもって瀬戸内海で地域性のある建築活動を行ってきた山本忠司や浦辺鎮太郎などの建築家による作品の紹介、高知工科大学准教授の渡辺 菊眞氏によるタイでの孤児院建造や高知での神社の再建といった活動報告など、多彩な発表が行われました。
ライター = 矢野 拓洋
写真1

1988年生まれ。2013年イギリスのバース大学大学院修了後、3年間デンマークにて建築事務所、研究機関勤務を経て2017年から日本在住。首都大学東京に特任研究員として勤務しながら、本稿で紹介するエキシビジョンを主催した「日本デンマーク建築交流実行委員会」、短期建築留学ワークショップ「JaDAS」、デンマークの教育機関フォルケホイスコーレを軸に新たな教育の場を創出する「IFAS」などを通じて、日本とデンマークを繋ぐ活動をしている。

デンマークと日本、両国で開催されたエキシビジョン・トークイベントには、たくさんの人が来場しました。