第13回 広島8大学設計展2017
広島8大学卒業設計展 2017
名称 |
広島8大学卒業設計展 2017 |
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日程 | 展 示:2017年3月2日(木)〜3月7日(火)
審査会:2017年3月7日(火) |
会場 | 旧日本銀行広島支店 |
審査員 | 山本 理顕氏 (山本理顕設計工場)
遠藤 秀平氏 (遠藤秀平建築研究所) 藤原 徹平氏 (FUJIWALABO) 末光 弘和氏 (SUEP.) |
主催 | 広島8大学卒業設計展2017実行委員会 |
特別協賛 | 総合資格学院/株式会社総合資格 |
広島8大学卒業設計展、今年も開催
3月7日(火)、旧日本銀行広島支店において、「広島8大学卒業設計展2017」の公開審査会が行われました。本設計展は、「近畿大学、広島工業大学、広島女学院大学、広島大学、福山大学、安田女子大学、山口大学」に加え、招待校である「穴吹デザイン専門学校、岡山理科大学、呉工業高等専門学校、島根大学、福山市立大学、米子工業高等専門学校」の計13校の各建築学科の学生が卒業設計作品を出展し、広島平和祈念卒業設計賞をはじめとする各賞を決定する展示会です。
会場である旧日本銀行広島支店は、現存する被爆建物の一つであり、広島市指定重要文化財。原爆の痕跡を現在に伝える遺構として、常時一般公開され、芸術文化活動拠点としても利用されています。作品展示は1階のロビーに加え、地下の資料室や3階の展示室など複数の室で展示されており、学生作品を鑑賞しながら、この建築物全体も鑑賞できるような構成となっていました。
一次審査は、審査員として招かれた山本 理顕氏、遠藤 秀平氏、藤原 徹平氏、末光 弘和氏による巡回審査が行われ、今年度出展の計76作品の中から二次審査に進む9作品が選出。今年は審査委員長である山本氏の発案で、急遽学生が作品の前に立ち、審査員の前でプレゼンテーションを行う形式に変更に。限られた時間の中で作品に対する鋭い質問や、アドバイスを送る審査員と、真剣に話を聞こうとする学生の様子が印象的でした。
9作品が選出、プレゼンテーションによる二次審査がスタート
一次審査終了後、審査員による協議の末、以下の9作品が選出され、二次審査に進みました。
No. | 名前 | 学校名 | 作品名 |
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13 | 寺口 宜徳さん | 広島工業大学 | FLOAT 造船技術を利用した海上の都市バックアップ建築 |
26 | 長谷 葉月さん | 島根大学 | 誘う小路 –木綿街道における歴史的空間の再編- |
30 | 長原 みずほさん | 穴吹デザイン専門学校 | 垣根のない宿 |
33 | 岡田 直果さん | 広島工業大学 | 緑と人のシェアハウス |
40 | 西山 菜月さん | 山口大学 | 生業がつなぐ くらしの森 –職住一体×戸建てコーポラティブハウス×団地- |
44 | 森山 智弘さん | 岡山理科大学 | 「連なる屋根、繋がる古道」 |
77 | 長木 奈々さん | 広島大学 | 再起の宿 |
78 | 藤原 陽平さん | 広島工業大学 | アートの拠点 |
80 | 奥野 和希さん | 近畿大学 | 自然形態に巣くうコミュニティ –これからの人間の新しい働き方の提案- |
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- 山本 理顕氏
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- 遠藤 秀平氏
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- 藤原 徹平氏
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- 末光 弘和氏
二次審査に際して、本設計展の発起人であり、広島大学顧問の岡河貢氏より開会のご挨拶がありました。「4大学の同窓会からスタートした設計展だったが、広島平和祈念卒業設計賞を贈ることができるようになってからは、毎年日本中のあらゆる世代の建築家を審査員として呼び、今年も無事に開催できている。今回、選ばれた学生の皆さんは、リラックスしながらも真剣勝負で取り組んでほしい。」と述べられていました。
二次審査は、5分のプレゼンテーションと3分の質疑応答の計8分で行われました。学生は、それぞれの課題選定の背景や、綿密なリサーチに基づく新しい建築計画を提案。5分を過ぎた場合、強制的にプレゼンテーションが終了する形式であったため、途中で打ち切られる学生も多く、悔しい表情を浮かべていたのが印象的でした。
続く質疑応答では、審査員から模型を確認しながら計画に関して鋭い質問が飛び交う場面や、よりよい発表にするためのアドバイスを送る場面があり、学生は審査員の発言に対して真剣な眼差しで耳を傾けていました。
選出者9名のプレゼンテーション終了後、審査員4名による公開投票が実施され、広島平和祈念卒業設計賞1作品、優秀賞3作品、各審査員賞4作品が決定しました。結果は下記の通りです。
広島平和祈念卒業設計賞・藤原 徹平賞 |
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No.40 山口大学 西山 菜月さん 生業がつなぐ くらしの森 −職住一体×戸建てコーポラティブハウス×団地− 近代以前は生業と暮らしが同じ場所にあったが、産業革命以降はその関係性が希薄になってしまった。そこで、山口県の山に囲まれた地域の交通インフラを整備、そこに生業の場を持った住宅団地の形成を提案。「自らが望む暮らし方と働き方を実現する住宅が欲しい人」と、「農と生業がある暮らしをしたい人」にターゲットを絞り、住宅と住宅、住宅と地域の薄れつつある関係性に広がりを持たせる。
山本氏コメント:
藤原氏コメント:
末光氏コメント:
受賞者コメント:
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優秀賞 |
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No.26 長谷 葉月さん 島根大学 誘う小路 −木綿街道における歴史的空間の再編− 島根県出雲市平田町には木綿街道と呼ばれる場所が存在する。木綿の市場町として栄え、切妻入り塗り壁造りの民家が並び、当時の面影を今に伝えているものの、空き家の増加や観光客の集客など様々な問題が発生している。そこで、街の内部にイベント会場を設営することに加え、川沿いや空き家をゲストハウスや集会場に改修するなど、景観を活かした魅力ある空間づくりを提案。限られた空間から広い空間へと、人々の活動域を広げていく。
藤原氏コメント:
受賞者コメント:
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優秀賞 |
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No.30 長原 みずほさん 穴吹デザイン専門学校 垣根のない宿 観光都市「広島」に訪れる目的として、ショッピングや観光などが中心であり、地元の人との交流が少ないことを問題提起。地元の人と観光客との交流だけでなく、年齢・性別・国籍などの「グループによる垣根のない宿泊施設」を提案。部屋や階層ごとの垣根をなくした設計、および宿泊客同士で交流ができる施設をつくることで、新しい知識や経験を得ることを可能にする。
遠藤氏コメント:
受賞者コメント:
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優秀賞・山本 理顕賞 |
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No.78 藤原 陽平さん 広島工業大学 アートの拠点 「アート」は社会的な力を持っており、人々に豊かな影響を与える。広島には現代美術館をはじめ、100数ヶ所のギャラリーなどがあるものの、人々が「アート」に触れる機会が少なく、意識が希薄化している。そこで、カフェや販売店などの商業施設に「アート」を複合させた施設を提案。人々が気軽に立ち寄ってアートに触れることができる空間を創出する。
山本氏コメント:
受賞者コメント:
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遠藤 秀平賞 |
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No.77 長木 奈々さん 広島大学 再起の宿 日本では自殺が深刻な問題として取り上げられており、その要因の多くは精神病とされているが、明確な予防策が確立されていないのが現状である。そこで、自殺を防ぐために客観的に自らを見つめ直すことを目的とした宿泊施設を、仏教文化の残る国東半島にて観光促進も兼ねて提案。
遠藤氏コメント:
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末光 弘和賞 |
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No.80 奥野 和希さん 近畿大学 自然形態に巣くうコミュニティ −これからの人間の新しい働き方の提案− 性別問わず、どこでも働けるようになった日本のワークスタイルに着目し、気軽に情報交換を行いながら仕事ができる、コミュニティ性を備えたオフィス空間をつくることを提案。IESO法という解析ツールを用いて全く新しい空間を創出し、その中に入った複数の企業間での新しい出会いやアイデアが生みだす。
末光氏コメント:
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市民賞 |
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No.13 寺口 宜徳さん 広島工業大学 FLOAT 造船技術を利用した海上の都市バックアップ建築 No.18 藤本有芽子さん 広島女学院大学 広島における空白 |
審査会終了後、受賞者、観客、審査委員、関係者の懇親会が行われました。懇親会は建築や、建築にかける熱い思いについて、世代を超えて語らう姿が見られる素晴らしい場となりました。

集合写真