第18回 住宅課題賞2018 建築系大学住宅課題優秀作品展
第18回 住宅課題賞2018 建築系大学住宅課題優秀作品展
名称 |
第18回 住宅課題賞2018 建築系大学住宅課題優秀作品展 |
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日程 | 作品展示:2018年11月2日(金)〜11月20日(火)
公開審査:2018年11月10日(土) |
会場 | 作品展示:ギャラリー エー クワッド(竹中工務店東京本店内1階)
公開審査:竹中工務店東京本店 2階Aホール |
審査員 |
【審査員長】
【審査員】
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司会進行 | 城戸崎 和佐氏(城戸崎和佐建築設計事務所/京都造形芸術大学芸術学部環境デザイン学科教授) |
主催 | 一般社団法人 東京建築士会 |
企画 | 東京建築士会 事業委員会 |
特別協賛 | 株式会社 総合資格 |
各大学・学科から住宅課題の優秀作品を展示
東京建築士会が主催する「第18回 住宅課題賞2018 建築系大学住宅課題優秀作品展」が、11月2日から11月20日までの会期で、ギャラリー エー クワッド(竹中工務店東京本店内1階)にて開催されました。
「住宅課題賞」は、建築の基本である住宅の設計を通して、建築を学ぶ学生に、その楽しさと社会的な意義への認識を深めてもらうことと同時に、第一線で活躍する建築士と大学間での建築教育に対する情報交換、学生間の交流を目的としています。当日は、首都圏39大学51学科から、各大学で行われている住宅課題の優秀作品として推薦された51作品が並びました。各大学から選ばれた時点で、その作品は入選となります。
建築の基本ということで、学部2年生当時の作品も多くありますが、卒業設計展に負けないくらい力強い模型、つくり込まれた図面が会場では目につきました。
建築家と学生、1対1のやりとり
11月10日の公開審査当日、まずは事前巡回審査として審査員が全作品を見て回りました。出展者は自分の作品が展示されている場所に立ち、ひとりずつ順番にやって来る審査員の質疑に答えていきます。審査員とのやりとりに対し、他の出展者や来場者も真剣に耳を傾けていました。この事前巡回審査を受けて、審査員はひとり7作品程度を次の審査に進む候補として選出します。
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- 植田 実氏(審査員長)
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- 高橋 堅氏
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- 長田 直之氏
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- 能作 文徳氏
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- 米田 明氏
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- 事前巡回審査の様子(1)
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- 事前巡回審査の様子(2)
本審査にて作品を絞り込んでいく
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- 本審査に臨む出展者たち
午後の本審査は、展示会場から場所を移して、竹中工務店東京本店2階のホールで行われました。冒頭、司会進行を務める城戸崎氏が「東京建築士会ではプロ向けの『住宅建築賞』も実施していますが、この『住宅課題賞』から、将来『住宅建築賞』に応募してくれる学生を生み出したいと思っています」とコメントしました。続いて、51作品全てについて1作品につき審査員1人が評価を述べていきました。その後、事前巡回審査での投票結果を発表。票の入った24作品は2次投票でさらに絞り込まれ、10作品が残りました。
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- 司会進行を務める城戸崎氏
最終審査進出の10作品
作品名 | 名前 | 大学名 | 学年
(課題出題時) |
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『50人が暮らし、50人が泊まれる、この先の暮らしの場』 | 佐塚 将太さん | 神奈川大学 | 4年
(3年) |
『外のある家』 | 森下 かん奈さん | 工学院大学 | 2年
(2年) |
『MAD City House』 | 藤原 裕子さん | 千葉大学 | 3年
(2年) |
『住み継げる家』 | 染谷 美也子さん | 筑波大学 | 3年
(3年) |
『百草団地 職員住宅改築計画』 | 西田 静さん | 東京大学 | 3年
(3年) |
『4世代住宅を作れ』 | 寺島 瑞季さん | 東京都市大学 | 3年
(2年) |
『根津に住む』 | 八木 このみさん | 東京理科大学 | 2年
(2年) |
『8mCUBE‐8m立方の、ある一つの秩序を持った住宅空間を設計する』 | 光樂 瑶子さん | 日本大学 | 3年
(2年) |
『働きながら住む10世帯の空間』 | 太田 寛子さん | 武蔵野大学 | 3年
(3年) |
『東長崎プロジェクト‐住宅+αの新しい可能性を提案する‐』 | 矢舗 礼子さん | 武蔵野美術大学 | 4年
(3年) |
いよいよ受賞作品が決定!
最終審査の前に、10作品の出展者に作品をアピールする場が設けられました。ここでの発言が、最終審査にどう影響してくるのか。緊張感とともに、自身の作品に対する想いも伝わってきます。3次投票の結果、1等に輝いたのは武蔵野美術大学の矢舗 礼子さん「東長崎プロジェクト‐住宅+αの新しい可能性を提案する‐」でした。受賞作品は以下の通り。
審査総評(審査員長:植田氏)
全体的に、やはりプライバシーとコミュニティ、もしくは私的空間と公共的空間という組み合わせが見られました。一方で、現代は多くの人がケータイを使っていますが、皆さんの提案の中にはケータイを手にしている人は登場していません。読書ひとつとっても、ケータイで読むか文庫本で読むかで見え方は異なります。人と人との関係が薄れているとも言われますが、新しい気配が感じられます。建築においても、そうした問題を取り扱う人が出てきてほしいと思っています。歴史の上に住宅設計は成り立っています。そこを検証していくと、興味深い話題がもっと見つかるでしょう。
審査員・司会講評
高橋氏
僕らの時代は設計展が今より少なく、皆さんにこういった貴重な機会があることをうらやましく思います。そのように多くの卒業設計展が開催されているということで、年々、質も上がっていると感じられます。面白い作品が多かったです。
長田氏
きょう僕らは、皆さんの建築が持つ可能性をどこまで引き上げられるかということに純粋に取り組んできたつもりです。建築の可能性は世代やいろいろなものを超えて語ることができます。これからも建築と楽しい関係をつくってもらいたいと思っています。
能作氏
僕もかつて住宅課題賞に参加しましたが、得票数はゼロでした。しかし生意気にも「1等より自分の作品の方がいい」と思っていました。その7年後、僕は「住宅建築賞」で入賞しました。信念を貫けば道は拓けます。厳しいコメントは皆さんへの最大の敬意です。
米田氏
今回の作品を見て、皆さん設計がうまいと思いました。特殊なまちや、さまざまな住み方がある日本の状況はとても珍しいです。その場所でしかできないものを生み出す力が建築にはあります。必然性や固有性のある建築をつくっていきましょう。
城戸崎氏
大学の講義だけでは、建築の本質を語る機会はなかなかありません。今日は面白い話がたくさん出てきましたが、その面白さを引き出したのは皆さんの作品です。誇りを持っていい作品をつくり、世界で活躍する人になってもらいたいです。
各賞のご紹介
1等 | |
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西武池袋線沿いにある敷地は簡素な住宅街であり、また商業地域としての顔を持つ。小さな商店街には近隣住民と商いをする人々がより密接に関わっていく。この住宅は住宅とカフェの機能を併せ持つ。住宅エリアとカフェエリアを並べるのではなく螺旋状に空間を絡ませることで境界をなくし街の関係性に寄り添った空間体験を作り出す。 |
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矢舗 礼子さん |
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2等 | |
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壁で仕切られた住宅では、家族間の個々のつながりは薄れると感じる。薄い壁と隙間をストライプ状に配置して、いろいろな距離感をつくり、軽やかに連続する空間を生み出す。変化する音・光・風によって壁の表や裏に異なる場所ができ、家族の互いの姿が垣間見られることで、個々のつながりをつくる。自然と共に家族の存在を感じながら、ゆるやかにつながる暮らしが始まる。 |
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光樂 瑶子さん |
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3等 | |
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集合住宅には多くの人が集まって暮らしている。言わば「小さな街」である。その街らしさは外観だけから作り出されるものではないはずだ。その時にもし、住人一人一人がエネルギーを共有する意識を持つことができた時どのような豊かさが生まれるのだろうか。そんな暮らしができた時、集まって暮らすことの意味を見出せるのであろう。この集合住宅ではそんな新しい暮らしを提案する。 |
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佐塚 将太さん |
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植田賞 | |
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森下 かん奈さん |
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高橋賞 | |
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長田賞 | |
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寺島 瑞季さん |
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能作賞 | |
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西田 静さん |
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米田賞 | |
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八木 このみさん |
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- 審査会の終わりには、交流パーティが開かれました。