「デザイン女子No.1決定戦 2018 NAGOYA」
デザイン女子No.1決定戦 2018 NAGOYA ダイジェスト映像
デザイン女子No.1決定戦 2018 NAGOYA
名称 |
デザイン女子No.1決定戦 2018 NAGOYA |
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日程 | 2018年3月27日(火)〜3月28日(水) |
会場 | サーウィンストンホテル 2階 メゾン・ド・オペラ |
ファイナル審査委員 |
【審査委員長】
【審査委員】
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ファイナル司会 | 橋本 雅好氏(椙山女学園大学/大学院 准教授 / デザインディレクター) |
主催 | デザイン女子No.1決定戦実行委員会 |
特別協賛 | 総合資格学院 |
3月27日(火)・28日(水)の二日間、名古屋のサーウィンストンホテルを舞台に、 「デザイン女子No.1決定戦 2018NAGOYA」が開催されました。
本卒業設計・制作展は、その名の通り建築・デザインを学ぶ「女子学生」を対象としており、「女子」という視点とキーワードを介して、都市・建築・インテリア・プロダクトといったデザイン分野について議論することにより、デザイン業界、さらには、社会全体に向けて、新たな視座でのデザインムーブメントを発信することを目標に掲げています。今年で7回目となる本年度は、全国から過去最多の130を超える作品が集まりました。
- 会場となったサーウィンストンホテル
- 実行委員会の学生もすべて女子学生
公開審査当日は、一次審査を通過した46作品の中からまず審査委員による巡回審査が行われ、ここからファイナルに進出する8作品が選ばれます。巡回審査では、緊張しながらもしっかりと作品に対する想いを伝えようとする学生と、プロとしての目線で学生に対して厳しい意見やアドバイスを投げかける審査委員の姿が印象的でした。限られた時間ではあるものの、学生にとっては自身の集大成ともいえる作品に対して、建築の最前線で活躍する審査委員から意見や助言をいただけたのは、貴重な経験だったと言えるでしょう。
- 巡回審査の様子(1)
- 巡回審査の様子(2)
- 学生間の積極的な意見交換
- プロダクトの出展もあるのがこのイベントの大きな
特徴(1)
- プロダクトの出展もあるのがこのイベントの大きな
特徴(2)
- 賑わう会場の様子
巡回審査終了後、審査委員によるファイナル進出作品の選定が行わました。甲乙つけ難い力作揃いに審査は難航した様子でした。最終的にファイナルに選出された作品は以下の通りです。
No. | 名前 | 学校名 | 作品名 |
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014 | 関谷 祥子さん | 名古屋造形大学 | neiro |
025 | 加藤 葉月さん | 椙山女学園大学 | 篠島の聲-霽の再興と褻の復興- |
031 | 垰田 ななみさん | 京都工芸繊維大学 | まちに本をよむ姿を |
098 | 斉藤 知真さん | 信州大学 | 6話の狩猟物語 |
101 | 安部 遥香さん | 筑波大学 | 佩帯街区-ミシマが紡ぐ染物の街- |
106 | 早川 玲未さん | 早稲田大学芸術学校 | Ginza Mobius-Miharabashi Art Center- |
112 | 渡邉 有さん | 名古屋工業大学 | 繕い紡ぐ |
116 | 吉本 弥由さん | 大阪工業大学 | 世界はときどき美しい |
上位8作品による公開審査がスタート
■ 審査委員・ファイナル司会
- 成瀬 友梨氏
(審査委員長)
- 鈴野 浩一氏
(審査委員)
- 原田 祐馬氏
(審査委員)
- 金野 千恵氏
(審査委員)
- 村上 心氏
(審査委員)
- 橋本 雅好氏
(ファイナル司会)
公開審査は、ファイナリストそれぞれがプレゼンテーションを行い、その後に質疑を行う流れで進行していきます。ここまでは他の設計展と同様ですが、先述の通り本設計展は建築だけでなく、プロダクトデザインからの出展もあるのが特徴です。ファイナルにもプロダクトデザインから1作品が進み、発表を聞くことができました。InstagramなどのSNSの急速な普及により、何でも写真に撮って記録を残すようになった時代背景に着目し、写真の「色」から「音」を創出する装置を提案した作品で、建築にはないプレゼンテーションの手法や作品の独自性がとても印象的でした。
一方、建築作品については、プロダクトデザインに比べ、より現実性を追究している作品が多く、自らの経験を元に、緻密な分析を行った上で計画〜設計がされている作品が多いのが特徴的でした。いずれも女性ならではの視点・感性に基づいて制作されていると感じられる作品ばかりで、他の設計展にはないデザイン女子ならではの公開審査が行われました。
- 8人のファイナリスト
- 公開審査の模様(1)
- 公開審査の模様(2)
- 公開審査の模様(3)
審査委員によるディスカッションの結果、デザイン女子No.1が決定!
それぞれの学生による熱のこもったプレゼンテーション終了後、審査委員によるディスカッションが行われました。ディスカッションでは、審査委員が学生たちに対して再度プレゼンテーションを求める場面や、発表された作品に対する審査委員それぞれの想いが語られる場面などがあり、最後まで熱い議論が展開されました。
複数回にわたる投票と議論の結果、116 吉本 弥由さん(大阪工業大学)の『世界はときどき美しい』がNo.1に選ばれました。本作品は、自身が住む町で体験した日常の何気ない「行動」や「経験」を建築に落とし込んだ作品で、他の作品にはないその独自性や、新しい視点や感性で建築と向き合っている点が審査委員から高く評価されていました。
116 吉本 弥由さん 大阪工業大学
「世界はときどき美しい」
何気ない日常の些細な「行動」や「経験」から着想を得て、自身が生まれ育った住宅や工場がひしめきあう町に、空を見ることの心地よさを感じることができる家をつくろうと思い、提案された作品。コーヒーを飲むことや、化粧をすること、合鍵をもらった日や弟が生まれた日など「日常の何気ない行動・経験」を「儀式」と捉え、儀式ごとに30以上の部屋を形成。それぞれの部屋で儀式を行い、空を見上げることで、普段の何気ない生活に潜む「大切なもの」に気づくことができる。
成瀬氏:
最初、模型を見たときはメルヘンな作品を想像していましたが、プレゼンテーションを聞いて、街並みの写真を見ているうちに、日常の風景や行動を建築に落とし込む「観察眼」が優れているんだなと感じました。建築は社会性があってこそだと思いますが、この作品は枠に収まらない新しい考え方や見方を提示してくれている作品として評価したいと思いました。
吉本さん:
審査委員の方にも言われたように具体性がないことで、悩んだ時もありました。しかし、自分自身が大切に思うことをやりきって、大好きな作品ができて本当に良かったと思いました。
デザイン女子No.1が決定後、No.2とNo.3を決めるディスカッションと投票が行われました。投票の結果、No.2には101 安部 遥香さん(筑波大学)の『佩帯街区-ミシマが紡ぐ染物の街-』が選ばれ、No.3には031 垰田 ななみさん(京都工芸繊維大学)の『まちに本をよむ姿を』がそれぞれ選ばれました。
101 安部 遥香さん 筑波大学
「佩帯街区-ミシマが紡ぐ染物の街-」
敷地は静岡県東部に位置する三島市の三島駅前。豊かな自然を保持しながらも、ビルが立ち並び、新幹線の停車駅となっている三島では、高度経済成長期を迎えるまで25件を超える染物工場が存在したが、現在では衰退してしまった。本作品では、空き店舗や廃ビルが立ち並ぶ三島の一部を対象地域とし、染物産業を佩帯とした新たな街区を提案。近代の廃ビルに伝統の染物産業を「着せる」ことで街区を再構成し、産業の新しい繁栄の仕組みと、産業に溶け込んだ生活空間の形成をめざす。
村上氏:
物としての建築だけではなく、「行為」「現象」をデザインしている点が非常に素晴らしいと感じました。また、今の現象だけではなく過去〜未来の四次元的な時間軸を考えながら、デザインをしている点が非常に秀逸だと思いました。
安部さん:
諸事情で模型を用意することができなかったのですが、今回No.2を受賞することができてうれしい限りです。ありがとうございました。
031 垰田 ななみさん 京都工芸繊維大学
「まちに本をよむ姿を」
滋賀県にある大津市立図書館は開館以来、初代館長の方針で書架と読書室のみという極めてシンプルな構成の図書館。この図書館がある京阪大津駅近辺には3つの商店街が存在する。本作品では、図書館を新たに移転することで、図書館と商店街と市民の三者を組み合わせた新しい「まちのたまり場」を創出。フレーミング工法を用いて、半屋外空間を設計することで、「まちに本のある風景」と、「まちの中にある図書館」をつくりだす。
原田氏:
図書館を移転させるだけで、市がこれまで大切にしていきたかったことを実現しようと試みていることが一番の評価点です。また、こういう風景を作りたい、という「一市民」としてのビジョンを形にするために、模型だけでなくイラストをたくさん描いて伝えようとしているその姿勢を評価したいと思いました。
垰田さん:
審査されるにあたって、審査委員の方々に色々な助言をいただけて(今回のような設計展は)恵まれた機会だなと思いました。卒業制作を通して、どういう建築をやっていくか葛藤した一年でしたが、今回の経験を胸に留めつつもっと頑張ろうと思いました。
その他、各賞は以下の通りとなりました。
デザイン女子No.1 | 116 吉本 弥由さん 大阪工業大学
「世界はときどき美しい」 |
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デザイン女子No.2 | 101 安部 遥香さん 筑波大学
「佩帯街区-ミシマが紡ぐ染物の街-」 |
デザイン女子No.3 | 031 垰田 ななみさん 京都工芸繊維大学
「まちに本をよむ姿を」 |
特別賞 |
014 関谷 祥子さん 名古屋造形大学
025 加藤 葉月さん 椙山女学園大学
098 斉藤 知真さん 信州大学
106 早川 玲未さん 早稲田大学芸術学校
112 渡邉 有さん 名古屋工業大学
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全ての入賞作品が決定、表彰式へ
公開審査後に行われた表彰式もデザイン女子No.1らしさが溢れていました。
No.1に輝いた吉本さんには表彰状や賞金の他に、No.1の証として協賛企業よりオリジナルのプルミエール・ケープが贈られ、プロの手によるメイクアップが施されました。これも本設計展の趣旨・目的を象徴するシーンの一つと言えます。
盛況のうちに幕を下ろした「デザイン女子No.1決定戦 2018 NAGOYA」。 そこには、女性の華やかさと共に、社会と正面から向き合おうという女子学生の強い決意が溢れていました。
- デザイン女子No.3の垰田さん
- デザイン女子No.2の安部さん
- デザイン女子No.1の吉本さん
- 協賛企業によるオリジナルのプルミエール・ケープ
- 総合資格学院は書籍をプレゼント!
- 懇親会の様子