高専デザコン2018 in 北海道

釧路川の最も下流に架かる幣舞橋

高専生が主体的に学び、創造的な活動を行う場として、年一回開催される全国高等専門学校デザインコンペティション、通称「高専デザコン」。第15回目となる今回は、「阿寒摩周」「釧路湿原」の二つの国立公園をはじめとする雄大な自然に恵まれた北海道東部のまち釧路を舞台に、「デザコン2018 in 北海道」を大会名として開催されました。


【メモ】  世界三大夕日の町をご存知でしょうか?インドネシアのバリ、フィリピンのマニラと並び、夕日の美しい町に選ばれているのが釧路。その釧路のシンボルとして多くの人々に親しまれ、小説や歌詞にも登場するのが写真の「幣舞橋」。この難読な橋は「ぬさまいばし」と言い、現在の橋は1976年に架橋された5代目の橋です。幣舞橋は夕日を眺める好スポットとしても知られ、今回の会場となった釧路市観光交流国際センターからも徒歩5分ほどの距離。会場で真剣勝負に挑んでいた多くの高専生も、束の間の休憩時間には橋を訪れ、先人によるその見事な造形を目に焼き付けていたようです。

守破離は武道や茶道など(北海道は…)の修業における段階を示したもの。 簡単に説明すると「守」は師の教えを忠実に守ること。「破」はその教えをより良いものへ昇華させるため既存の型を破ること。「離」はそれまでの型を離れ、独自の境地を確立する事。 これはまさしく、技術立国である日本と、それを支える技術者を多数輩出する高専教育に通じるものであり、毎年、本イベントを通じて大きく成長する高専生を象徴するテーマとなりました。 一足早い冬を感じる釧路の地で、テーマに恥じない熱い戦いが今年も繰り広げられました。
主催 一般社団法人全国高等専門学校連合会
主管校 釧路工業高等専門学校
協力校 函館工業高等専門学校 苫小牧工業高等専門学校 旭川工業高等専門学校
協力 豊橋技術科学大学 長岡技術科学大学
競技部門 空間デザイン部門、構造デザイン部門、創造デザイン部門、AMデザイン部門、プレデザコン部門
開催日程 本選 : 2018 年 11 月 10 日 ( 土 )〜 11 日 ( 日 )
開催地 北海道釧路市
会場 釧路市観光国際交流センター
会場の釧路市観光国際交流センター
デザコン2018 in 北海道

開催部門の紹介

【空間デザイン部門】  発酵する空間、熟成する空間

<応募=151作品 本選出場=12作品>

今大会では予選出展数が過去最多を記録した空間デザイン部門。151作品の中から予選を勝ち抜いた12作品が本選に出場し、頂点を目指しました。「発酵する空間、熟成する空間」という課題の元、時を経て味わいの出る空間、またメインテーマの「守破離」を意識し、長く使われ愛される空間を、それぞれのチームが高専生らしい豊かな発想と、地域と連携した確かなリサーチを基に提案しました。今年度の特徴のひとつは、昨年、一昨年の入賞者を含む強豪ひしめく中、 3年生以下で構成された2チームが予選を勝ち抜き本選に臨んだこと。高専教育のレベルの高さと年々ハイレベルな戦いを繰り広げるデザコンを象徴する大会となりました。

最優秀賞を受賞した米子高専チーム
本大会の主管校 釧路高専チーム
明石高専のポスターセッション
石川高専チームの模型

【構造デザイン部門】  より美しく、より強く

<本選出場=58作品>

前年の岐阜大会より移動荷重による試験が追加され、益々高度になった構造デザイン部門。北海道大会ではテーマにもなっている「より美しく」を目指すべく、作品の重量の上限も設定されました。難しい条件のもと熱い戦いを繰り広げた58チーム。今年も多くの観客を集め、会場を沸かせました。昨年、モンゴル3校の合同チームが初参戦したことでも注目されましたが、今年は新モンゴル高専、モンゴル高専から合計3チームが参戦。来年はどんなサプライズがあるのか?今後も目が離せません!

一日目:仕様確認&作品審査
二日目:耐荷性能試験
注目を浴びる耐荷性能試験
耐荷性能試験に挑む新モンゴル高専チーム

【創造デザイン部門】  テーマ:地方発進!“脱・横並び”

<応募=35作品 本選出場=11作品>

近年レベルの向上が著しい創造デザイン部門。今大会では、12チーム中5チームが前大会入賞者をメンバーに含み、さらにハイレベルな戦いとなりました。今年もそれぞれの高専が地域の課題と真剣に向き合い、社会のシステムを変えうるビジネスモデルが提案され、講評では「二日間、真剣なプレゼンを真剣に聞き、心底疲れました。」という言葉が審査員の口からこぼれるほど、順位をつけるのに相当苦労したようです。前大会の入賞者達を抑え見事頂点に輝いたのは明石高専。前大会で主管校として運営に尽力した岐阜高専は、3チームが予選を勝ち抜き、1チームが審査員特別賞を受賞する快進撃を見せました。来年はどの高専チームが予選を勝ち抜き本選を戦うのか。予測不能な創造デザイン部門に要注目です。

最優秀賞を受賞した明石高専
優秀賞を受賞した秋田高専
総合資格賞を受賞した石川高専
岐阜高専から3チームが本選出場

【AMデザイン部門】  テーマ:スポーツ支援アイテム開発

<応募=25作品 本選出場=9作品>

3Dプリンタによる社会実装を目指した作品で競うAMデザイン部門。2015年に新設された本部門は、社会の要請に応える技術と発想が求められ、私たちの生活にも身近な提案が行われる部門です。今回のテーマは「スポーツ支援アイテム開発」。2020年に東京オリンピックを控え、スポーツへの関心が高まる世相を反映した課題へのチャレンジでした。今年も全国の高専の多様な学科から、社会人には思いつかないようなアイディア作品が発表され、審査員からは「すぐにでも企業に売り込み商品化すべき」という称賛の声が上がりました。

最終週省を受賞した津山高専の作品
優秀賞を受賞した福井高専の作品
優秀賞を受賞した仙台高専(名取)の作品
審査員特別賞を受賞した弓削商船高専の作品

結果発表

審査員

【空間デザイン部門】

  • 審査員長 鰺坂徹氏(鹿児島大学大学院理工学研究科建築学専攻教授)
  • 審査員   小野寺一彦氏(有限会社設計工房アーバンハウス代表取締役)
  • 審査員   石井孝行氏(株式会社武田建築設計事務所代表取締役 月曜塾代表)

【構造デザイン部門】

  • 審査員長 中澤祥二氏(豊橋技術科学大学 建築・都市システム学系教授)
  • 審査員   岩崎英治氏(長岡技術科学大学大学院工学研究科 環境社会基盤工学専攻教授)
  • 審査員   伊藤晃氏(国土交通省北海道開発局釧路開発建設部長)

【創造デザイン部門】

  • 審査員長 田村亨氏(北海商科大学教授)
  • 審査員   金子ゆかり氏(有限会社金子設計事務所専務取締役)
  • 審査員   竹内正信氏(国土交通省 北海道開発局 開発監理部 開発調整課長)

【AMデザイン部門】

  • 審査員長 新野俊樹氏(東京大学 生産技術研究所教授)
  • 審査員   川道昌樹氏(株式会社ワールドワーク 代表取締役)
  • 審査員   松田均氏(経済産業省製造産業局素形材産業室 室長補佐)
創造デザイン部門:審査員長 田村亨氏
創造デザイン部門:審査員 金子ゆかり氏

審査結果

【空間デザイン部門】

高専名 作品名
最優秀賞 米子 集落まるごと町役場
優秀賞 石川 他所の市 此処の市
優秀賞 小山 ヤマサ −煙突の煙が幸せのかけらを報せる−
審査員特別賞 熊本(八代) これからも、宮地んこどもの百貨店
審査員特別賞 舞鶴 眺める味わう感じる。わたしたちはこれからもカバタと生きる。
151チームから見事勝ち抜いた3チーム
優秀賞は石川高専

【構造デザイン部門】

高専名 作品名
最優秀賞 米子 麗瓏
優秀賞 思伝一線
優秀賞 米子 流々
日刊建設工業新聞賞 仙台(名取) 橋らしい橋を目指して
審査員特別賞 徳山 国士夢想
審査員特別賞 鹿児島 チェストォー橋
最優秀賞と優秀賞をw受賞した米子高専
審査員特別賞は徳山高専

【創造デザイン部門】

高専名 作品名
最優秀賞 明石 杉板を焼いて黒くする!ビジネス
優秀賞 秋田 堀を語ろう −秋田市佐竹小路のクリエーターによるまちづくり−
優秀賞 舞鶴 舞鶴行動
総合資格賞 石川 下宿から始まり駅に向かう 〜六の段階で津幡町が変わるまで〜
審査員特別賞 岐阜 福祉×農園 〜園児と高齢者の愉しい農業〜
審査員特別賞 都城 みんなでつくる集いの蔵 〜宮崎県都城市庄内町・社会実装プロジェクト〜
最優秀賞は明石高専
優秀賞は舞鶴高専

【AMデザイン部門】

高専名 作品名
最優秀賞 津山 Tリーグファン養成ギプス
優秀賞 福井 サウンドディスク
優秀賞 仙台(名取) 変幻自在!みんなが”ハニカム”サポーター
審査員特別賞 弓削商船 ダーツ競技のための3Dプリントシステム
審査員特別賞 茨城 円盤投射機
優秀賞は福井高専
審査員特別賞は弓削商船高専

閉会

今年も全力で戦った高専生たちの笑顔、感動の涙、悔し涙で彩られた高専デザコン。最後は互いの健闘を拍手でたたえ合い、デザコン 2018 in 北海道は幕を閉じました。
高専生のデザイン力とものづくりの力に審査員も来場者も圧倒される高専デザコンは、年々レベルが上がっているように感じます。さらに今年度は低学年チームの予選突破、モンゴルチームの参戦など、裾野の広さも感じる大会となりました。
毎年場所を変えて開催される高専デザコン。トロフィーにも開催地の特性を活かしたものが用いられることも特徴のひとつで、今大会では愛らしい木彫りの熊が高専生達の笑顔を誘いました。
“地域を知り、地域の方々と語らい、新しい価値観や考え方を形成し、共有することで根付かせる”という高専の教育メソッドの成果が発揮されるデザコンという大会は、これからも進化を続けていくことでしょう。


【デザコン2018 in 北海道のトロフィー】 表彰式の緊張をほぐしてくれました(^^)


★2019年度の開催地は東京★

デザコン 2019 in 東京

2019年12月7日(土)・8日(日) 大田区産業プラザPio

pagetop

カテゴリトップに戻る 前のページに戻る pagetop