せんだいデザインリーグ2018 卒業設計日本一決定戦
せんだいデザインリーグ2018 卒業設計日本一決定戦 ダイジェスト映像
せんだいデザインリーグ2018 卒業設計日本一決定戦
名称 |
せんだいデザインリーグ2018 卒業設計日本一決定戦 |
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日程 | 作品展示:2018年 3月4日(日)〜3月11日(日)
ファイナル公開審査:2018年3月4日(日) 15:00-20:00 |
会場 | 作品展示 :せんだいメディアテーク5F・6F
ファイナル公開審査:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア |
ファイナル審査員 |
【審査員長】
【審査員】
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ファイナル司会 | 櫻井 一弥氏(建築家/有限会社SOY source建築設計事務所 取締役/東北学院大学教授) |
主催 | 仙台建築都市学生会議、せんだいメディアテーク |
特別協賛 | 総合資格学院/株式会社総合資格 |
3月4日(日)、せんだいメディアテークを舞台に「せんだいデザインリーグ2018 卒業設計日本一決定戦」のファイナル(公開審査)とセミファイナル(一部公開)が行われました。 主催は、仙台建築都市学生会議とせんだいメディアテーク。第16回目の開催となる本年度は、全国より332作品が集まりました。
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- 会場となったせんだいメディアテーク
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- 開場前の行列は毎年恒例の光景
魂のこもった332作品がぶつかりあう
毎回、せんだいデザインリーグではテーマが設定されますが、今回はテーマが設定されていません。本大会には「全国の建築学生が膨大な熱量を込めた卒業設計が一堂に会し、大会を通してぶつかり合い、新しい時代の1ページにその伝説を刻むことを期待しています。そして多くの学生たちが、何度もそのページを読み返し、それぞれの未来の糧となる、そんな大会を強く望んでいます。そんな壮大な物語を一言で表すようなことはしません。本当のテーマは本大会のその先の新しい時代に、それぞれの心の中に自然と生まれてくるものだと考えています。」という実行委員の願いが込められています。
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- 場内は、多くの来場でにぎわった
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- 総合資格学院は会場内で書籍をプレゼント!
大会の午前中に行われたセミファイナルでは、予選審査で選ばれた100作品から、さらにファイナルに進む10作品が選出され、午後からは、同会場にてファイナルに進出した10作品のプレゼンテーションおよび公開審査が行われました。
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- セミファイナルの模様(1)
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- セミファイナルの模様(2)
10作品の公開審査がスタート
審査員・ファイナル司会
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- 青木 淳氏
(審査員長)
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- 赤松 佳珠子氏
(審査員)
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- 五十嵐 淳氏
(審査員)
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- 磯 達雄氏
(審査員)
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- 門脇 耕三氏
(審査員)
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- 辻 琢磨氏
(審査員)
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- 中田 千彦氏
(審査員)
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- 櫻井 一弥氏
(ファイナル司会)
公開審査は、10人のファイナリストのプレゼンテーションと審査員を交えての質疑という構成。1人あたりプレゼンテーション5分、質疑8分、計13分の時間が与えられました。公開審査では、自由な発想でありながらも緻密な計画に基づいて設計された作品をプレゼンテーションする学生の姿と、“建築のプロ”の目線で作品に対して厳しい質問やアドバイスを投げかける審査員の姿がとても印象的でした。
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- 10人のファイナリスト
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- 公開審査の模様(1)
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- 公開審査の模様(2)
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- 公開審査の模様(3)
最終ディスカッションでは、まず日本一・日本二が決定!
ファイナリスト10名によるプレゼンテーション終了後、審査員による最終ディスカッションが行われました。最終ディスカッションでは、「他の人(作品)が持っていない価値観・ユーモア性を持っているか」「周辺環境の変化など現実的な目線で建築を見れているか」など、審査員7名がそれぞれ「評価軸」を語る場面や、学生によるダメ押しのプレゼンテーションが行われるなど、最後まで熱い議論が行われました。
最終ディスカッションの結果、360 渡辺 顕人さん (工学院大学)の「architecture to life」と168 高橋 万里江さんの「建物語 −物語の空間化−」が審査員の票を集め、日本二以上が確定しました。上位2作品の中から審査員による最終投票が行われ、結果として360 渡辺 顕人さん (工学院大学)の「architecture to life」が日本一に確定しました。本作品は「建築を“生命”として捉えているその斬新な発想が素晴らしい」「人間を介在しない建築がつくられ、存在していくことに興味を感じた」など多くの審査員から高い評価を集めていました。
360 渡辺 顕人さん 工学院大学
「architecture to life」
これまで建築は「動かないもの」として扱われてきた。過去に自然をメタファーとした「動いているような建築」はあったが、どうしても形を決める必要性に迫られ、変化のある“断片”を切り取ったものにしかなっていなかった。既存の建築を少しはみ出して、コンピューショナルなデザイン手法から、建築らしさを保ちながらも生物的に動く抽象的な「生命」を作り出すことを提案する。尚、この建築に特定の敷地などは設定されていない。
青木氏:
建築を人間とは違う「独自の生命体」として考え、提案したことに新たな可能性を感じました。このような固定概念にとらわれない柔軟な発想は、今後非常に重要になっていくと考えており、動く動かないに関わらず、従来の考え方とは全く異なる視点で建築を提案したこと自体に非常に興味を感じました。
168 高橋 万里江さん 東京都市大学
「建物語 −物語の空間化−」
物語を読むという行為は、人々に様々な道徳や常識、あらゆる感情を教えてくれる。「建物語」は「言語」や「物語」の面白さを建築に結びつけることはできないかと考え、提案された作品。『ラウジーミル・プロップ』というロシアの民俗学者による書籍に掲載されている「31の展開」の手法を建築に落とし込み、読者自らが既存の物語の概念に捉われず、建物空間の中で自らの物語を紡ぎだせるシステムをつくりだす。
中田氏:
物語は、物語から度外視される他の世界を一緒に並行して見ていくから、面白いと感じています。この作品は先に述べた「31の展開」の手法に基づいて、部屋の構成やスキマが、物語から建築に落とし込まれていることに興味を感じました。
続いて日本三・特別賞2作品が決定!
続いて残りの8作品の中から、最終ディスカッションで票を集めていた36 谷繁 玲央さん(東京大学)の「住宅構法の詩学 -The poetics of Construction for industrialized houses made in 1970's-」、227 柳沼 明日香さん(日本大学)の「モヤイの航海−塩から始まる島の未来−」、115 平井 未央さん(日本女子大学)の「縁の下のまち −基礎から導く私有公用−」の3作品を対象に、日本三を決めるべく審査員の挙手による多数決が行われました。
投票の結果、7名の審査員の内4名から票を集めた36 谷繁 玲央さん(東京大学)の「住宅構法の詩学 -The poetics of Construction for industrialized houses made in 1970's-」が日本三に選ばれました。
36 谷繁 玲央さん 東京大学
「住宅構法の詩学 -The poetics of Construction for industrialized houses made in 1970's-」
「一世帯一住戸一構法」の閉じられた住居のシステムをいかに開くか、プレファブリケーションにより生じたモノをどう使い倒すか、新しくモノを作り出す設計ではなく既存のモノとモノを繋ぎ合わせて新しい設計ができないかという点に着目して提案がされた作品。規模的に機能的に建築未満の要素(エレメント)を「呼続」と呼び、ハウスメーカーの代表的なプレハブ住宅の要素を、呼続により既存の木造住宅に反映させ、新築住宅では生まれない多様な空間を形成する。
磯氏:
「工業化住宅を“呼続”でつないでいく」というそのテーマ選定が非常に素晴らしいと感じました。既存の住宅工法から「どう作り、どう展開していくか」という点に徹底的にこだわり、確信を持って取り組んだことを評価したいと思いました。
特別賞2作品については、審査員の満場一致で227 柳沼 明日香さん(日本大学)の「モヤイの航海−塩から始まる島の未来−」、115 平井 未央さん(日本女子大学)の「縁の下のまち −基礎から導く私有公用−」が選ばれました。
227 柳沼 明日香さん 日本大学
「モヤイの航海−塩から始まる島の未来−」
現在、有人離島の9割が人口減少により、近い将来無人化が懸念されており、島の営みや文化を維持することが困難な状況になっている。本提案では、伊豆大島と新島の3つの港を選定。海上公益などで島々の人々の生活を支え、島同士のネットワークを構築してきた「塩業」をテーマに、人々の営みを再考し、塩田が織りなす建築の可能性と、島国日本の社会像を模索している。
赤松氏:
私は、建築を通して既存の周辺環境や都市に対して「何かできることはないか」と、意識していることが非常に重要だと感じています。本作品の設定地域が抱える問題に対して、丁寧に分析し、人の住環境や作品としてのオリジナリティを維持しつつ、しっかりと答えられていると感じました。
115 平井 未央さん 日本女子大学
「縁の下のまち −基礎から導く私有公用−」
福井県福井市は常にビル型の大きなハコを地域施設として設計してきたが、現在では多くの店舗が撤退し、空っぽのハコになっている。そこで、地域施設を誰かのモノではなく個人の、みんなのモノとするために、既存住宅の接地階を公共に解放し、住民のシェア空間の形成を提案。建築における「基礎」を意匠的要素だけでなく、機能や環境に合わせて基礎を変化させることで、建築の新しい手法を発見する。
五十嵐氏:
人類を置き去りにせず、「共有・共感」できる作品はなにか、という評価軸に基づいて今回残った10作品を見てきましたが、相対的に見たときに平井さんの作品が最も優れているなと感じました。
全ての入賞作品が決定、表彰式へ
審査後、総評として審査員長の青木氏からは「本日、予選を勝ち抜いた作品を審査しましたが、詳細な話を聞いてみたいと思える作品が非常に多かったです。限られた時間の中でそれぞれの審査員が、それぞれの評価軸で、それぞれのテーマを持った学生の作品を評価し、何度も議論を重ねた上で最終審査の10作品を選出しています。表彰された作品が素晴らしい作品であったのは勿論ですが、表彰されなかった作品も、同程度あるいはそれ以上の評価だったかもしれません。今回の設計展の結果は、単純に票が多かったからという理由だけでない、ということを理解して欲しいと思います。」との言葉が送られました。
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- 審査員長:青木氏の総評
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- 日本一の渡辺さん(1)
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- 日本一の渡辺さん(2)
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- 日本二の高橋さん
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- 日本三の谷繁さん
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- 梱包日本一は首都大学東京 川島達也さんの梱包!
日本一 | 360 渡辺 顕人 さん 工学院大学
「architecture to life」 |
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日本二 | 168 高橋 万里江さん 東京都市大学
「建物語 −物語の空間化−」 |
日本三 | 36 谷繁 玲央 さん 東京大学
「住宅構法の詩学 -The poetics of Construction for industrialized houses made in 1970's-」 |
特別賞 |
227 柳沼 明日香 さん 日本大学
115 平井 未央さん 日本女子大学
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その他10選作品 |
118 山口 大輝さん 近畿大学
177 櫻井 友美さん 千葉工業大学
253 松本 悠以さん 滋賀県立大学
330 笹谷 匠生さん 関西大学
363 山本 黎さん 明治大学
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