NAGOYA Archi Fes 2019 中部卒業設計展
NAGOYA Archi Fes 2019 中部卒業設計展
名称 |
NAGOYA Archi Fes 2019 中部卒業設計展 |
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日程 |
一次プレゼン・企画審査:2019年3月11日(月)
公開審査・表彰:2019年3月12日(火) 作品展示:2019年3月11日(月)〜12日(火) |
会場 | 吹上ホール(名古屋市中小企業振興会館) |
審査員 |
【審査員長】
【審査員】
【総合司会】
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主催 | NAGOYA Archi Fes 2019 中部卒業設計展実行委員会 |
共催 | 株式会社総合資格/総合資格学院 |
NAGOYA Archi Fes 2019中部卒業設計展
2019年3月11日〜12日に、愛知県名古屋市千種区の吹上ホール(名古屋市中小企業振興会館)にて、「NAGOYA Archi Fes 2019 中部卒業設計展」が開催されました。
この設計展は、16の大学・専門学校の学生約150人で構成された、中部最大規模の建築学生団体「NagoyaArchiFes(通称NAF)」が主催する、中部地域の大学・短大・高専・専門学校の建築学生を対象とした卒業設計展です。6回目を迎える今年は、80作品がエントリーしました。
中部地域の建築界を盛り上げ、次代の建築を作り出す意欲を社会へ発信する事を目的としており、単に作品の優劣をつけるのではなく、学生・建築家・教育者を巻き込んでの批評を通じて様々な評価軸のもとで作品を見つめることで、建築という広い分野において、参加者が自己を見つめ直す機会としてほしいという想いをもって開催されています。
今年度のキャッチコピー「芽吹く、建築」
本設計展では、2日間の審査の間に出展者と審査員とが直接言葉を交わす機会が多く設定されています。今年度は1日目の審査で、全ての出展者が自身の作品のプレゼンを行い、質疑応答を経て16作品選出します。その後「重なり」をテーマとしたプレゼン・ディスカッションを行い、11名のファイナリストを選出。2日目の公開審査で、ファイナリストの最終プレゼン・審査員を交えたディスカッションによって「最優秀賞」1作品と「優秀賞」2作品が決まります。
<審査員>
- 審査員長
- 西沢大良氏
- 挾土秀平氏
- 永山祐子氏
- 末光弘和氏
- 吉田夏雄氏
- 総合司会
- 藤尾篤氏
<公開審査>
大会1日目の一次プレゼン、企画審査を経て、ファイナリストに11作品が選出。一人当たりプレゼン5分、質疑応答6分を持ち時間として、最後のアピールを行いました。
11名のファイナリスト |
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公開審査では審査員席の前に、それぞれの模型が置かれ、ファイナリストのプレゼンテーションが行われました。質疑応答では、審査員と共に模型を囲み、しゃがみこみながら説明をしたり、審査員の机に直接資料を広げてプレゼンしたりと、作品に対する熱い思いを言葉以外にも伝えようとする光景はとても印象的でした。
11名のファイナリストによるプレゼンと質疑応答の後、審査員を交えたディスカッションがスタート。ディスカッション冒頭では、審査員長の西沢大良氏より、「全体的に計画段階(敷地、プログラム、手法)まではどれもとてもよかった。設計段階において、どれだけイノベーションを起こせたのかが注目すべきポイント。設計がどれだけ深くできていたのかを考え、審査にあたった」とコメントされました。
各審査員による追加の質問と気になる作品への講評、さらに、言い残したこととして、ファイナリストに一言ずつ述べる機会が与えられました。その後、5名の審査員による投票予定を、司会の藤尾氏を含めた6名による投票へ変更となり、一人10ポイントを11名のファイナリストに振り分けるという投票方式で実施。投票の結果、最高ポイントを獲得した作品(ID 24 中家優さん 『輪中建築』)が最優秀賞に選ばれました。次いで5作品が僅差であったため、挙手による再投票。その結果で優秀賞の2作品を決定しました。
最優秀賞
ID 24 愛知工業大学 中家優さん
『輪中建築』
−輪中地帯の排水機場コンバーションによる水との暮らしの提案−
排水機場と生業を組み合わせることで輪中という地域のプライドを建築で表現した作品
永山祐子氏:イノベーションする際のスケールの使い方や素材の決め方など、細部へのこだわりが感じられる設計であることを評価したいです。
藤尾篤氏:使われなくなった廃墟に対し、新たにコミュニティーや、農業・漁業などを復活させていく。全てが大規模で工業的になるなかで、小規模な視点で、活躍できる場を与える提案ということで好感を持てました。
優秀賞
ID 34 金沢工業大学 清滝智輝さん
『都市に見え隠れする善光寺用水の魅力の再生』
長野市善光寺を流れる用水路とその周りにある、長野市の近代化に伴ってあぶれてしまった空間において、用水の特殊な空間性を享受しながら都市のオープンスペースとした作品
永山祐子氏:周辺地域をきちんと意識した敷地の選び方やその活用法までよくできている作品であると感じました。
吉田夏雄氏:周辺の読み込みがしっかりとされていた。住宅部などの設計もテーマにしっかりと沿った構成であり、評価したい。
優秀賞
ID 40 金沢工業大学 三島みらのさん
『傷のあとの建築』
街に付いた傷は街を変えるきっかけになり得るのではないだろうか。歴史の長いものだけでなく、その消滅によってそこで確かに起きていた些細な変化にまで目を向け建てた住宅を金沢東山馬場をケーススタディとした作品
末光弘和氏:景観という地域の資源を守りつつ、現代に必要な機能などを考える。そんな、1つのコモンズに対する姿勢が良かったと思います。
吉田夏雄氏:周りの傷の部分に対し、いくつかの要素を見つけ出し、それぞれの要素に応答している設計の仕方には好感を持てました。
総合資格賞
ID 27 名古屋工業大学 山口裕太さん
『動態作法‐卒業論文『利用者の主体的な行為を誘発する建築設計手法』の実践‐』
機能によって固定化された建築と人間のスタティックな関係性を再構築し、建築が機能を定めるのではなく、人間が建築から機能を見出しふるまうような本来あるべき動的な関係性を取り戻す。成熟した現代の都市における建築と人間の関係性を問い直し、人間がもう一度真の自由を獲得するための壮大な試論
また、来場者による一般投票で決定した企画審査の結果は以下となります。
企画審査 第1位
ID 01 愛知工業大学 松本樹さん
『都市ヴァナキュラー住居−生産緑地利用による住みながら耕す暮らし方−』
投票者の声
・今までなかったものをリアルに考えてつくり上げている
・サーベイや設計、計画などが大変よくできている。魅力的な空間ができている
企画審査 第2位
ID 40 金沢工業大学 三島みらのさん
『傷のあとの建築』
投票者の声
・リサーチから自分の考えを変え、悪とされがちな空地の駐車場を良いものととらえているのが新鮮だった
・魅力的な空間が作られている
企画審査 第2位
ID 58 信州大学 安田隆広さん
『NOTATION OF SPACE EXPERIENCES』
投票者の声
・スタディーのプロセスがおもしろかった。視覚の領域の考え方がおもしろかった。
・1つのロジックから最後まで建築を完成させた姿勢。勿論、建築も◎
最後に本設計展の総評として、審査員長の西沢大良氏から、「今回の設計展で感じたこととして、熱中して、熱狂して、打ち込んで作品をつくり上げた人。また、そうでない人。結果としては、どちらに軍配が上がるかはわからないが、それはあくまで瞬間的なこと。今後設計をするのであれば、とにかく熱中、熱狂して建築に携わって欲しい。それが、どんなテーマであれ、どんな作品であれ、どんな評価を受けてもへこたれない。そして、神様もきっと微笑んでくれると思います」と、締めくくりました。
また、今年度は公開審査の後、第三回となる「建築学生サミット」が開催されました。本設計展を軸に全国の卒業設計展を考察するなど、全国の建築学生と交流、議論、共有の場となりました。