第8回 アジア建築新人戦

2019年11月3日(土)、東京丸の内のASJ TOKYO CELLにて「第8回アジア建築新人戦」が開催された。この大会は、アジア各国の国内大会で選抜された学生の建築作品を対象としたコンテストで、アジア12か国から22作品が東京に集まった。

会場となった
ASJ TOKYO CELL

様々な民族、言語、慣習が混在するアジアであるがゆえに、大会は単なる優劣を競い合う場ではなく、そうした各々の作品の背後にある文化的コンテクストを確認し、理解し合う場となっている。日本からは「建築新人戦2019」で最優秀賞を受賞した関東学院大学・長橋 佳穂さん、優秀賞の立命館大学・國弘 朝葉さん、そしてベスト8としてアジア大会出場権を獲得した早稲田大学・米澤 実紗さんの3名が参加した。

今回のテーマは、「共生」。
自国の思想や、文化、自然、社会などを背景にテーマを考察した設計提案が並び、作品には、それぞれの国の特色が表れていた。

プレゼンテーションをする学生
審査員も真剣なまなざしで見つめる

審査会は、まず出展者によるプレゼンテーション(英語)が行われた。
英語が不慣れな学生やそうでない学生も限られた時間の中で、時に模型を指差しながら精一杯のパフォーマンスを繰り広げた。審査員もそれぞれの作品の内容と背景を理解しようと丁寧な質疑が行われた。

第1回目の投票は各審査員が5票を投じ、上位8名が選出され、日本代表の國弘さん、米澤さんも入選を果たした。審査員との質疑を経て、2回目の投票が行われラオスのKhammanh VONGPASEUTHさん、台湾のNADYA WINAGA P.さん、中国のLi Xinyunさん、台湾のWU,SHI-XIANさんの4名が最終投票に臨んだ。
1人1分のプレゼントの後に、各審査員が1人1票を投じる最終投票が行われ、その結果、4票を集めたNADYA WINAGA P.さんが最優秀賞に、WU,SHI-XIANさんとLi Xinyunさんが優秀賞に決定した。

NADYA WINAGA P.さんの作品(1)
NADYA WINAGA P.さんの作品(2)

NADYA WINAGA P.さんの作品は、仏教の原理=「空」の追求に基づいて、仏教寺院をデザインするもの。
敷地は、密に立ち並ぶ建物と自然が共存するインドネシアの都市スラバヤ。
建物のボイドを「空」と見立て、その只中における、すべてのものの関係性を設計。
芝生や、太陽光など外部の自然を建築に取り入れながら、人と自然の共生も表現している。
審査員の1人からは「非常にアジア的なコンセプト」と評価された。

NADYA WINAGA P.さん(右から2人目)

優秀賞のWU,SHI-XIANさん
優秀賞のLi Xinyunさん

総評として、審査員の李氏は、「今回のコンペのすべての参加者は、自国に戻ったら、大学等でこの経験をシェアして欲しい。入選しなかった方も、敗者だとは思わないで欲しい。」と語り、最終投票まで残った4作品について、「現代的で素晴らしく、最優秀作品を決定することは非常に困難だった。」と語った。加えて3名の日本参加者については「作品は洗練されていたが、その良さがプレゼンテーションや質疑で理解できなかった。もっとコミュニケーションスキルを向上させてほしい」とのコメントを寄せた。
今回、参加した学生や、YouTubeでコンペを視聴した人々は、自国のものとは異なる文化や建築的アプローチを目の当たりにすることで、より建築の世界が広がったことだろう。

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