一級建築士の転職は難しい?転職市場での価値と成功のポイントを解説

一級建築士の転職は難しい?転職市場での価値と成功のポイントを解説

私は人材紹介業に携わり、多くの建築士の転職を支援してきました。その経験から言えるのは、一級建築士は市場価値が高い一方で、戦略を誤ると希望のキャリアを実現できないという現実です。この記事では転職市場の実情と成功のポイントを解説します。

(参考元:厚生労働省「毎月勤労統計調査」)

目次

一級建築士の転職は難しい?実情を解説

結論から言えば、一級建築士の転職は「簡単ではないが、戦略次第で大きなチャンスをつかめる」と言えます。

資格があるだけで簡単に好条件の求人が決まることはありません。経験の内容や得意分野によって企業からの評価が大きく変わります。しかし、自分の強みを正しく整理し、情報収集や非公開求人をうまく活用すれば、希望する条件での転職を実現できる可能性は高くなります。

一級建築士の転職は難しい?実情を解説

業界内での評価と求人の特徴

一級建築士は「資格さえあれば引く手あまた」と思われがちです。ですが、実際には経験年数や専門分野を持っているかが、評価の分かれ目になります。

特に大規模な商業施設や公共施設の設計経験を持つ人材は企業から高い評価を受けやすく、即戦力として採用されやすい傾向にあります。一方で、住宅設計のみのキャリアで大規模案件に挑戦しようとすると、やや採用されづらいケースもあります。

近年の求人の特徴として、働き方改革の影響で、残業削減や休日の増加を実現している企業も増えてきています。企業側も優秀な人材を確保するために働きやすさを打ち出すケースが増えており、求人票には「月残業20時間以内」「年間休日120日以上」といった条件が記載されることが多くなりました。

また、人材紹介の現場でも「地方から都市部に転職して労働環境を改善したい」という相談も増えてきています。都市部は求人数が多い一方で競争も激しく、逆に地方は求人が少ないが競争率も低いという特徴があり、どちらが自分に合うのかを事前に整理することがとても大切です。

非公開求人の存在

求人サイトに掲載されない「非公開求人」は、企業が優秀な人材を効率的に探すために人材紹介会社経由で募集するときに使われます。これらは一般公開されていないため、転職エージェントを利用することでしかアクセスできません。

特に一級建築士のような専門職では、非公開求人の割合が高く、非公開求人をエージェントから紹介してもらえるかどうかが転職成功のカギを握ります。

人材紹介業の現場でも「公開求人ではなかなか書類が通らなかった方が、非公開求人を利用した途端に書類が通過した(面接に呼ばれた)」というケースは珍しくありません。ただし、非公開求人を優先的に紹介してもらうには工夫が必要です。

エージェントも「この人なら企業に自信を持って推薦できる」と感じる候補者を優先するため、事前に自分の経歴を丁寧に棚卸し、アピールできる成果や強みを整理しておくことが重要です。

さらに、面談時には横柄な態度を避け、誠実かつ協力的な姿勢を見せることで信頼関係を築けます。こうした準備と姿勢が、エージェントから非公開求人を紹介してもらえる確率を高め、転職成功のゴールに近づくことが出来ます。

一級建築士の転職が難しいとされる理由

転職が難しいとされる背景には、単に求人数の問題だけではなく、スキルや年齢、地域性など複数の要素が絡んでいます。

スキルの高度さとミスマッチ

採用側が一級建築士を募集する場合、高度な専門知識と実務経験が求めるケースが多く、経験が浅い場合やスキル不足の場合は選考を突破しにくい傾向があります。特にBIM(Building Information Modeling)やZEB(Net Zero Energy Building)の経験や知識があるかどうかは、ここ数年で評価基準の一つになっています。

「資格はあるがBIM未経験」という方は意外に多いのが実情です。

私がサポートしたある建築士の方も、設計経験は豊富でしたがBIMに触れたことがなく、最初は書類が通りにくい状況が続きました。しかし転職活動と並行して短期講習を受講し、基本操作を習得したところ評価が一変し、応募先から「即戦力候補」として面接に呼ばれるようになった事例もあります。

年齢に伴う壁

35歳を境に「即戦力性」が求められる傾向が強まり、40代以上ではマネジメント経験や専門分野の強みがないと選考で不利になるケースがあります。しかし、逆に言えば「プロジェクト全体をリードした経験」「若手の育成経験」をアピールできれば、年齢はむしろ強みになるため、年齢は必ずしもデメリットではありません。企業は若手育成やプロジェクト全体をまとめられる力を高く評価しており、経験を武器にすれば年齢を逆にプラスに変えることが可能です。

希望条件とのミスマッチ

「設計だけに専念したい」「残業が少ない会社に行きたい」といった希望と、実際の求人内容に差がある場合も多いです。

例えば「残業が少ない」と求人に書かれていても、繁忙期には月60時間を超えることもあります。こうした情報は求人票だけでは分かりにくいため、人材紹介会社を通じて実際の勤務状況をヒアリングすることが大切です。

一級建築士の転職が有利になるケース

一級建築士の資格はそれ自体が強力な武器ですが、さらに「どのような経験やスキルを持っているか」で転職市場での評価が大きく変わります。ここでは、転職で特に有利に働く経験について紹介します。

官公庁関連プロジェクトの設計・監理経験

官公庁関連のプロジェクトに携わった経験は、採用側にとってまさに安心の証です。

公共施設や庁舎は、予算や工期、法規制など、極めて厳しい条件をクリアしなければなりません。そうした舞台で成果を出してきた建築士は「どんな困難な環境でも結果を出せる人」として強い信頼を得られます。

大規模商業施設や公共施設の設計・監理経験

何万人もの人が利用するショッピングモールや病院など、大規模プロジェクトを手掛けた経験は圧倒的な説得力を持ちます。

単なる設計力だけでなく、数多くの関係者を調整しながらプロジェクトを一つの形にまとめ上げるリーダーシップが必要になるからです。「数万㎡の複雑な案件を完遂した」という実績は、特に大手企業から高い評価を得ることに繋がります。

BIMや最新設計ソフトの実務経験

今の建築業界では、BIMを使えるかどうかが大きな分かれ道です。

RevitやArchiCADを自在に使い、「作業効率を30%改善した」「3Dモデルでクライアントを納得させた」といったエピソードを語れる人は、面接の場で一気に注目を集めます。最新技術を学び、成果に繋げてきた経験は「この人ならプロジェクトを任せられる」と強く印象づけることができます。

チームマネジメントや後進育成の経験

年齢を重ねるほどに求められるのは、周囲を導き、育てる力です。

例えば「10人のチームを率いて大型案件を成功させた」「若手社員の教育担当を務め、即戦力へと育てた」という経験は、企業にとってかけがえのない人材です。ただ図面を描けるだけでなく、組織全体を強くする存在。そんな力がある方が、企業から必要とされ続けます。

一級建築士が転職を成功させるためのポイント

一級建築士として転職を成功させるためには、「自己分析」「情報収集」「戦略的な行動」の3つが欠かせません

資格そのものが強力な武器である一方で、どのようにアピールするかによって結果は大きく変わります。ここでは、具体的に成功へと繋げるためのポイントを解説します。

自分の強みを明確にする

まずは、自分の強みを整理し、「私はこの分野なら成果を出せる」と言えるエピソードを準備しましょう。例えば、

  • 大規模プロジェクトの設計・監理経験(商業施設、公共施設など)
  • 官公庁関連の業務経験(入札資格や公共事業に直結)
  • BIMや最新ソフトの活用経験(Revit、ArchiCADなど)
  • チームマネジメントや後進育成の経験

これらは企業から特に歓迎される実績です。「職務経歴書の棚卸し」を行い、強みを明確にできれば、面接や自己PRで説得力を持って伝えることができます。

転職エージェントを活用する

転職エージェントは求人紹介に加えて、履歴書の添削、模擬面接、年収交渉など幅広いサポートを提供します。特に一級建築士は需要が高いため、エージェントを通じて非公開求人にアクセスできたり、提示条件が改善されるケースも多いです。

また、「設計だけに専念できる企業」「残業が少ない会社」といった希望条件と実際の企業の実態とのギャップを事前に把握できるのも大きなメリットです。エージェントは内部情報に詳しいため、求人票だけでは分からない「働きやすさ」や「キャリアパス」も教えてくれます。

情報収集と企業研究を徹底する

転職を成功させるためには、応募企業の情報収集を徹底することが欠かせません。特に建築業界は、企業によって得意分野や働き方が大きく異なります。

  • 設計事務所:意匠性の高い案件やデザイン重視の仕事が多い
  • ゼネコン:大規模プロジェクトや総合的なマネジメント力が求められる
  • デベロッパー:企画から運営まで携わるため、ビジネス感覚や調整力が評価される

このように、歓迎される経験や評価ポイントは企業ごとに異なります。企業研究を通じて「自分の強みがどこで活かせるのか」を見極めることが大切です。

一級建築士の転職に関するQ&A

ここでは、私が人材紹介エージェントとして実際に建築士の方々と面談する際によくいただく質問と、その答えを紹介します。

実務経験が浅くても転職できる?

難しいのではと不安に思う方は多いですが、実務経験が浅くても転職は可能です。

資格を持っている時点で、企業からの期待値は非常に高いので、意欲やポテンシャルをどのように伝えるかが大切になります。

例えば、大規模プロジェクト経験が少ない建築士の方でも、BIM研修に通い始めていたことを積極的にアピールし、見事に内定を勝ち取った事例があります。企業は「今できること」だけでなく「これから伸びる人材かどうか」を見ています。経験が浅くても、「成長への姿勢」を示すことで、採用の可能性は一気に広がります。

転職で年収アップは見込める?

結論から言うと年収アップは十分に見込めます。

ただし、誰もが自動的に年収アップできるわけではありません。現在の年収・経験・スキルによって幅があります。

私がサポートした方の中には、年収500万円台から700万円台にアップしたケースもありました。特に都市部や公共案件に強い企業では、600〜800万円台まで上がることも珍しくありません。

ただし、年収だけに目を奪われると転職に失敗します。企業は「高い給与に見合う人材か」をシビアに判断します。だからこそ、面接の場で過去の成果を定量的に伝えることが大切です。例えば「設計プロセスの見直しで工期を1ヶ月短縮した」など、成果を数字で語ると説得力が増します。

書類選考で資格はどの程度有利に働く?

「一級建築士の資格は書類選考を通す切符になりますか?」という質問も非常に多いです。

結論、有利に働きます。ただしそれだけで十分ではありません。

採用現場を見ていても、資格を持っているだけでは同じような応募者の中に埋もれてしまいます。その中で差をつけるのは、実務経験や成果をどう伝えるかです。例えば「商業施設の基本設計に携わり、設計変更を通じてコストを5%削減した」など、具体的な成果を添えると、一気に書類の通過率が上がります。

実際に、資格だけをアピールして書類選考に落ち続けた方が、職務経歴書を一緒にブラッシュアップして「成果」を明記したところ、通過率が格段に改善したことがありました。

まとめ:一級建築士の転職なら総合資格careerで!

一級建築士の転職は、戦略を誤らなければ確実にチャンスを広げられます。資格の強みを活かしつつ、最新技術の習得やキャリア整理を行うことが成功への近道です。

総合資格careerは、建築・不動産業界に特化した転職支援サービスです。大手ゼネコンや設計事務所、ハウスメーカーなどからの非公開求人を数多く保有しており、一般には出回らない優良求人に出会える可能性が高まります。さらに、業界経験豊富なキャリアアドバイザーがマンツーマンでカウンセリングを行い、あなたのキャリアを整理。履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接、面接対策までトータルでサポートするため、初めての転職活動でも安心して臨めます。

転職活動を一人で抱え込む必要はありません。あなたの市場価値を最大限に引き出し、次への一歩を踏み出すために、ぜひ一度ご相談ください。

◆本記事の作成者:ジョブ・タロウ(人材紹介エージェント)

この記事を書いた人

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