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令和8年度の試験は、正答肢が初出題の問題は100問中17問となり、令和7年度の22問から減少しました。科目別の難度については、学科Ⅲ(建築構造)、学科Ⅳ(建築施工)は、例年並みの難度でしたが、
学科Ⅰ(建築計画)、学科Ⅱ(建築法規)は、例年に比べ、難度は低かったと考えられます。
全体的には、各科目で新しい用語や事項も出題されており、そのような新規の問題に対して冷静に対応することが必要だったと考えられます。
加えて過去問とその周辺知識を正しく理解・習得し、正答肢以外の新規の選択肢などに惑わされることがないよう、問題に対して正しく正誤を判断し、正確に計算することができれば、
十分に合格圏内へと入ることができる出題内容だったと考えられ、正しい学習を積み重ねられたかが問われた試験でした。
■各分野の出題数は、例年同様、建築史の問題が2問、計画原論が8問、計画各論が8問、建築設備が7問の出題でした。
■建築史(No.1~2)
「日本建築史」と「住宅作品と設計者」の問題が1問ずつ出題されました。No.1-5の「正倉院正倉」は初出題でした。No.1・No.2とも、過去に出題された内容でしたが、誤りの言い回しとしてはこれまでの問われ方とは異なる問題でした。
■計画原論(No.3~10)
No.10では、令和7年度の「屋外気候」に代わり、近年多く出題されている「地球環境」が出題されました。正答肢2のPMVは、これまでの出題と比較して、詳細な数値が問われました。
正答肢ではないものの、No.3-4(音響透過損失の定義)、No.4-2(開口部の並列合成)、No.9-4(カクテルパーティー効果)、No.9-5(サウンドスケープ)は初出題でした。その他の問題は、過去問ベースの出題内容でした。
■計画各論(No.11~18)
近年出題頻度が高まっている「医療・福祉施設」は出題されませんでした。No.18の一戸建て住宅の防犯に関する問題は、近年の防犯意識の高まりを反映するように、令和5年度に出題され、令和8年度も出題されました。
また、No.11正答肢3の「アクティブデザイン」やNo.13の正答肢5の「センターコアタイプのコア部分の計画」は、過去問の発展的な内容でしたが、過去問をしっかりと理解できていれば正解できる問題だったと考えられます。
正答肢ではないものの、No.13-2(BCP)、No.13-3(ABW)、No.16-5(パニックバー)、No.17-2(ソフトクローザー)は、初出題でした。その他の問題は、おおむね過去問からの出題でした。
■建築設備(No.19~25)
出題項目は、例年通りでした。No.20の正答肢3の吹出し口の「ふく流型」と「軸流型」は初出題でした。正答肢ではないものの、No.22-2(節水形小便器)、No.23-5(合成樹脂管の曲げ半径)は、初出題でした。その他の問題は、出題頻度は低いものの、過去問からの出題でした。
近年、建築設備は初出題の選択肢が多く出題されていましたが、令和8年度は、例年と比較して過去問中心の出題内容でした。
■全体的に正答肢は過去問の知識で対応できる問題が多く出題されました。必要以上に初出題の選択肢にとらわれることなく、しっかりと学習した方は、安定して得点できる内容だったと考えられます。
■令和7年度同様、建築基準法が20問、関係法令が5問出題されました。関係法令は全て単独の出題で、関係法令融合問題は出題されませんでした。
■建築基準法の計算問題については、No.4(採光に有効な部分の面積の算定)、No.15(建蔽率)、No.17(高さ制限)で出題されました。No.4は初出題の緩和規定であり、No.15、No.17についても複数の緩和規定を検討する必要がある問題のため、難しく感じた受験生もいたと考えられます。
■建築基準法の文章問題は17問出題されており、正しいものを選ぶ問題は、No.2(建築手続)で組み合わせ問題として出題されました。
■関係法令については、「建築士法」から例年通り2問出題され、「消防法」から1問、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」から1問、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」から1問出題されました。No.23(消防法)の正答肢は、初出題の内容でした。
■全体的に過去問の知識で対応できる問題が多く出題されましたが、一部、平成26年以前からの再出題や言い回しを変えた内容、一級建築士試験からの出題もあり、戸惑った受験生もいたと考えられます。
■出題構成は、例年通り構造力学6問、一般構造13問、建築材料6問が出題されました。
■構造力学(No.1~6)
No.1(断面の性質:断面二次モーメント)について、これまでは、IA:IBを問う問題はありましたが、IB/IAを問われたのは初めてでした。
No.3(応力)は、斜めの部材に鉛直方向から等分布荷重がかかっており、戸惑った受験生も少なくなかったと考えられます。ただ、A点を境に左側を抽出して、ΣMA=0を考えれば、すぐに答えを導ける問題でした。見た目に惑わされずに、原則に従って普段どおり解くことができれば正解できる問題でした。
■一般構造(No.7~19)
No.11(木造)の選択肢2の高さ3.2mを超える軸組の壁倍率とNo.12(木造)の選択肢4の壁倍率の上限は令和7年4月1日施行の省エネ法改正関連の法改正に伴う初出題でした。枠組壁工法は、令和4年度、令和6年度に続き令和8年度も単独で出題されており、出題頻度が高まっている項目となります。No.13(壁式鉄筋コンクリート造)は、これまで、2階建てが問われることが多かったですが、
3階建てでの出題でした。その前提を見落とすと正答肢1の正誤の判断を誤ってしまう問題でした。No.18(構造計画)とNo.19(耐震設計)については、正答肢は過去問からの出題でしたが、その他の選択肢は初出題のものが多く含まれていました。
■建築材料(No.20~25)
建築材料の正答肢は全て過去問からの出題だったため、受験生にとっては得点しやすかったと考えられます。一方で、正答肢ではないものの、No.21-3(乾燥収縮ひずみと引張破壊ひずみ)、No.22-2(骨材の粒径・粒度分布とワーカビリティー)、No.22-5(コンクリート用練混ぜ水の水質)は初出題でした。
■全体として、正答肢は過去問からの出題内容が多く、比較的容易に正誤の判断ができたと考えられます。しかし、正答肢以外は、難しい内容に関するものが含まれていたため、それらに惑わされずに、正誤を判断できる正しい理解と、正確な知識が必要な試験内容であったと考えられます。
■出題構成は例年同様、契約・計画・管理が5問、各部工事が18問、その他が2問出題されました。
■契約・計画・管理(No.1~4、25)
No.2(申請・届出)では、組み合わせとして初めて提出時期まで問われました。また、No.25(請負契約)は、令和元年以降引き続き、「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」から出題され、令和8年度は、令和7年12月に改正された約款からの出題となりました。
■各部工事(No.5~22)
木造に関する出題は、No.6(木造住宅の基礎工事)の他に、No.15・16(木工事)と例年通り3問が出題されました。また、令和6年度・令和7年度は鉄筋工事が2問・コンクリート工事が1問といった出題構成でしたが、令和8年度はそれ以前の構成に戻り、鉄筋工事が1問・コンクリート工事が2問となりました。
■その他(No.23、24)
No.23(測量)は、測量の名称と使用する器具が関連した出題内容となり、測量方法と使用する器具の理解が問われました。
■令和8年度の出題は、過去に出題されている選択肢のほか、実務的で詳細な知識を要する出題もありました。高得点を取るためには、過去問の内容については、正誤が変わっても正しい判断ができることは必須であり、その上で、実務の知識や細かい数値を理解・記憶していることが必要な試験だったと考えられます。
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