令和2年度 宅地建物取引士資格試験 総評
総評
●出題内容
権利関係においては、改正民法が出題された影響で新規の出題が目立ち、それ以外の科目では、過去頻出項目やその周辺知識からの出題が多くみられました。これらの問題で得点を積み上げることができたかが重要となりました。
●出題形式
昨年6問出題された宅建業法の個数問題は、4問に減少しました。その他は例年通りで、権利関係の判決文問題は1問出題されました。
宅建業法、法令上の制限、税その他については、令和元年度と同様に、過去頻出項目やその周辺知識からの出題が多く見られました。権利関係においては、改正民法に関する内容が多く出題され、初出題項目や、細かい知識を要求する出題など、得点しにくい問題が散見されました。
一方、宅建業法の個数問題(※)は昨年度の6問から今年度は4問に減少したため、比較的取り組みやすかったものと考えられます。令和2年度の試験では、宅建業法の出来が鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。 全体を通して、過去出題項目やその周辺知識を確実に得点したうえで、法改正関連問題や初出題項目について、どれだけ得点を積み上げられたかがポイントとなりました。
(※)個数問題とは、「正しいものは“いくつ”あるか」と問われ、「2 二つ」というように、正しい(誤り)選択肢の数を答える出題形式です。全ての肢を検討しなければならないため、一般的に難易度は上がります。
各科目の出題状況
(1) 権利関係
●近年、必ず1問出題されている判決文問題は本年度も出題されました。また、例年出題される「抵当権」は1問も出題されませんでしたが、「保証」からは2問出題されました。
●改正民法の知識を問う問題が数多く出題されたり、正答肢ではないもののかなり細かい知識を問う出題など、解きにくい問題もあったため、得点すべき問題でしっかり得点を積み上げることができたかがポイントとなりました。
民法改正により、多くの判例が条文化されましたが、毎年1問出題されていた判決文問題は今年も出題されました。また、昨年度と同様に「民法総則」分野が【問6】【問10】、「物権」分野が【問1】…というように、民法の問題順が不規則となっていた点が特徴的な点で、この傾向は次年度以降も続くと思われます。
内容においては、【問2】【問7】の保証、【問3】の解除、【問4】の賃貸借、【問5】の委任、【問6】の錯誤で改正民法に関する選択肢が散りばめられていた一方で、【問10】の取得時効や【問11】【問12】の借地借家法では、比較的正解肢に辿り着きやすい問題も見られました。
後者のような問題でいかに得点できたかが重要であったと考えられます。
(2) 宅建業法
●宅建業法の個数問題は、6問から4問に減少しました。
●全体的に過去出題項目が多く出題されており、取り組みやすい問題が多かったため、宅建業法は高得点を狙える内容であったといえます。
問題の形式として、昨年度6問出題された個数問題が4問に減少しており、この点で昨年よりも比較的解き易かったものと考えられます。その他、出題順が条文の順番とは対応していない形で出題されている点は、近年の傾向であり、今後もこの傾向は続くと考えられます。
内容においては、【問44】重要事項説明の一部の肢で、平成20年以来の出題となる「信託の受益権」が問われるなど、肢毎に見ると、やや細かい知識が問われ、切り口を変えた出題もされてはいますが、全体を通して取り組みやすい問題が多かったものと考えられます。
宅建業法においては、法改正に関する正確な知識をみにつけることは試験対策として必須であることが改めて証明されたといえます。
(3) 法令上の制限
●例年通りの出題項目であり、「国土利用計画法」も昨年と同様に【問22】で出題されました。
●土地区画整理法で細かい知識を問う出題がされ、予想された建築基準法の法改正についても出題がありましたが、全体としては基本を重視した問題が多くみられました。
今年度も、昨年度と同様に、都市計画法、建築基準法から各2問、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法、国土利用計画法から各1問が出題され、その他の法令上の制限は出題されませんでした。
内容においては、【問20】の土地区画整理法で土地区画整理組合の内部関係について細かい知識が問われましたが、【問21】の農地法など、過去出題項目が正解肢となっているものもあり、「法令上の制限」で得点を伸ばすことができた方が多かったのはでないかと考えられます。
(4)税・その他
●税と価格に関しては、出題が予想されていた「印紙税」「不動産取得税」「不動産鑑定評価基準」が出題されました。
●5問免除科目では、【問50】で建物の基礎構造に関するやや細かい知識を問う出題がありました。
税・価格は、【問23】印紙税、【問24】不動産取得税、【問25】不動産鑑定評価基準と、出題が予想されていた項目が出題され、内容的にも取り組みやすかったと考えられます。また、5問免除科目においても、【問50】で建物の基礎についての細かい知識を問う問題が出題されましたが、比較的解答しやすい問題が多く、確実に得点すべき内容であったといえます。
令和3年度に向けた学習対策
令和2年度の宅建士試験から改正民法の知識が問われ、特に権利関係の分野では、改正に関して、多くの知識が問われました。一方で、過去出題項目に関する問題も多く出題されており、過去問対策が重要であることに変わりはありません。
したがって、現在の宅建士試験は、基礎知識や過去出題項目を早い段階で押さえたうえで、法改正に関する正確な知識を押さえ、アウトプットを通じて様々な応用問題・新傾向問題を解きこなす力が求められる試験といえます。
この点で、法改正に関しての情報収集やアウトプット量を十分にこなすかことが難しい独学での試験対策は、ますます合格が困難な試験になっているといえます。

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