平成29年度 一級建築士学科試験 総評

平成29年度 1級建築士学科試験「解答・解説」ダイジェスト動画

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総論

平成29年度の1級建築士学科試験は、平成28年度と比較して学科U(環境・設備)と学科X(施工)は難しく、その他の科目は平成28年度と同程度の難易度でした。正答肢が初出題の問題は、125問中48問でした。

出題内容としては、実務的な出題や、法改正・新規準・新技術に関わる出題が含まれていた一方で、過去に出題されている内容については、正誤の判断が難しい問題が選定されており、全体的には難易度の高い試験でした。
また、例えば学科T(計画)では、作品・事例関連の出題が例年の5問程度から7問に増え、さらに防災・災害等について2問出題されるなど、出題傾向も変化しています。

今後の試験においても、新規出題傾向に応じた学習と、原理・原則を正しく理解し、持てる知識を使って、正答を導き出す力を身につける学習がますます重要になるでしょう。

[正答肢が初出題の問題数]

  学科T
(計画)
学科U
(環境・
設備)
学科V
(法規)
学科W
(構造)
学科X
(施工)
合計
平成
29年度
10問
/20問中
10問
/20問中
7問
/30問中
10問
/30問中
11問
/25問中
48問
/125問中

【学科T(計画)】

建築史・作品関連・都市計画の事例問題が計7問に増加

職業倫理1問、建築計画8問(うち数値に関する問題5問)、都市計画3問(うち「都市空間についての著書」1問、「都市計画・都市デザイン」1問、都市関連法令1問)、建築史・作品5問、建築積算1問、建築士法・建設業法関連1問、マネジメント1問が出題されました。例年に比べ、建築計画の問題が減少し、建築作品関連問題と都市計画関連問題が増加しました。

防災計画・災害に関する問題が出題

No.14では「大規模で高層の事務所ビルの防災計画」に関する問題が出題され、No.15では「災害に関連した建築物等の整備」に関する問題が出題されました。いずれも、国の重点施策である災害対策を強く意識した出題でした。

医療・福祉等の用語では、新傾向問題が多数出題

No.16の医療・福祉等の用語に関する問題では、選択肢2「急性期リハビリテーション」、選択肢3「放課後等デイサービス事業所」、選択肢4「日本版CCRC」などが、少子高齢化社会にも関連する新傾向の問題として初めて出題されました。

建築積算は平成28年度に引き続き図を使った問題が出題

No.19の建築積算では、平成28年度に続き平成29年度も図を使った問題が出題されました。

<初出題の主なキーワード>

No.1-1 公益確保の責務、No.1-2 リスクマネジメント、No.1-3 モラルハザード゙、No.1-4 不遵守行為、No.2-1 犬島精錬所美術館、No.2-2 3331 ArtsChiyoda、No.3-D セント・ポール大聖堂、No.4-1 錯乱のニューヨーク、No.8-4 線状ブロック、No.9-1,2 オストメイト用設備を有する便房、No.10-1 帝都復興事業、No.10-2 パリのヴォワザン計画、No.10-4 グラン・プロジェ、No.11-3 登録有形文化財登録基準、No.11-4 緑化地域、No.12-3 前川自邸、No.13-1 かんかん森、No.13-2 SHARE yaraicho、No.13-3 泉北ニュータウン、No.14-2 片寄せタイプ、No.14-4 緊急離着陸場、No.15-1 指定緊急避難場所、No.15-2 基幹災害拠点病院、No.15-3 借上型仮設住宅、みなし仮設住宅、No.15-4 建設型仮設住宅、No.16-2 急性期リハビリテーション、16-3 放課後等デイサービス事業所、No.16-4 日本版CCRC、No.17-1 ベルリン自由大学図書館、No.17-3 シアトル中央図書館、No.18-1 建築士の独占業務、No.18-2 工事監理の実施方法、No.18-3 建築士事務所が行う監理業務、No.18-4 監理技術者講習、No.20-2 デザインビルド

今後の学習対策

■当学院のコンパクト建築作品集などを活用して効率の良い学習を

No.2の犬島精錬所美術館、3331 Arts Chiyoda、カステルヴェッキオ美術館、リンゴット工場再開発計画、No.3のテンピエット、ル・トロネ、パンテオン、No.4のパタン・ランゲージ、アメリカ大都市の死と生、都市のイメージ、No.10 の東京計画1960、No.12のファンズワース邸、シュレーダー邸、原自邸、No.13の求道學舎、No.17のフランス国立図書館、ストックホルム市立図書館は、総合資格学院のコンパクト建築作品集に掲載されています。この様な作品集を使って学習することで得点力は飛躍的にアップするでしょう。

【学科U(環境・設備)】

各分野の出題数は例年通り

環境工学10 問(うち図解問題1問)、建築設備10 問が出題されました。

環境工学は過去問から刷新された記述が多数出題

No.7-3(基準昼光率)やNo.9-2(空気中の音の伝搬)等のように、正答肢は標準的な難易度でしたが、過去問から表現や出題のポイントを大幅に変えている記述が多数みられました。全体的に記述が刷新されているものが多かったため、過去問の記述を丸暗記しているだけでは正答肢を導き出すことが難しい内容でした。

建築設備はより実務的な側面や新しい知識が問われた

No.5-2(吸引型の機械排煙方式)やNo.12-1(熱負荷計算法)のように、実務で使用する知識が正しい記述として出題される傾向が見られました。また、No.20-1(ZEH)では、経済産業省等が推し進めるZEB・ZEHの普及に関する、新しい知識が問われました。

<初出題の主なキーワード>

No.1-1 色度、No.1-4 剥離流、No.5-2 吸引型の機械排煙方式、No.9-1 アイリングの残響式、No.12-1 定常計算法・非定常計算法、No.16-3 過電流遮断器、No.20-1 ZEH、No.20-4 eマーク

今後の学習対策

■環境工学の基本原理を正確に理解する

環境工学においては、各分野における最も基本的な知識を正確に理解する必要があります。環境工学の原理・原則を理解する学習を行い、問題演習を通して応用力を身に付けましょう。

■建築設備と省エネルギーに関する知識は新傾向も含めて理解する

昨今の社会情勢から考えても、建築設備と密接に関連性がある省エネルギーに関する知識は建築士として必要です。特に建築設備を学習する際には、省エネルギー関連の法律や国の動向なども併せて学んでいく必要があります。また、設備に関する基本的な数値を問う問題も出題されているため、問題演習を通して重要な数値を的確に覚えていくようにしましょう。

【学科V(法規)】

各分野の出題数は例年通り

建築基準法20問、関係法令10問が出題されました。

“建築士法”は、単独問題として4問、融合問題として1問(2肢)の計5問が出題

内訳は、単独問題(No.21 No.22 No.23 No.28)、融合問題(No.30-2、4)でした。

直近の法改正に関する出題

No.21-4「建築士免許証の書換え交付」については、建築士法から平成27年の改正事項が出題されました。 また、No.27-4では、平成28年に新たに制定された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」から出題され、さらにNo.30-3においては、平成28年に法改正された「定期報告」から具体的な建物用途・規模で出題されました。

「出題のされ方」に特徴がある問題

No.12において、「木造住宅の軸組最小長さ」を求める図解問題が出題されました。令第46条の図解計算問題は、これまで2級建築士学科試験で度々出題されてきた項目でしたが、今回1級建築士学科試験では初めて出題されました。
No.16「容積率・建蔽率」については、4年ぶりに図解計算問題ではなく、文章題として出題されました。
No.26において、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が、平成26年に出題されて以来、3 年ぶりに単独の問題として出題されました。本年度の1級建築士設計製図試験課題の「(注1)高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特別特定建築物の計画」に関連するものであり、また正答肢は、課題名「小規模なリゾートホテル」に類する項目でした。

「高さ制限」は正しい手順で確実に解ける問題

No.17「高さ制限」について、前面道路については昨年と同様に2方向道路であり、前面道路幅員が12m以上の場合の指定容積率のみで適用距離を確認する問題でした。手順どおりに計算すれば確実に解答できる問題でした。

<初出題の主なキーワード>

No.1-1 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第38 条の2の規定、No.12 軸組の最小限の長さ、No.13-3 高力ボルト、No.14-3 河川管理者、No.14-4 附属する地下通路、No.15-4 幼保連携型認定こども園、No.21-2 建築設備士の意見、No.21-4 書換え交付、No.22-3 技術的事項の総括、No.25-2 ラック式倉庫、No.26-1 会員制スイミングスクール、No.27-4 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律  

今後の学習対策

■基礎力を身につける

「条文に出てくる用語の意味」や「条文の目的」を理解することが法規の学習の基礎となります。法令集を引きながら、この基礎力を身に付けましょう。条文の内容・目的をきちんと理解しておくことで、設問の正誤に辿り着くことができます。

■判断力を強化する

条文の規定をそのまま照らし合わせるだけでなく、具体的な手続きや建築物に適合するかしないかの判断力を問う出題が増えています。今後も近年の出題傾向を踏まえた学習対策が必要と考えられます。

■文章を読み解く力を養う

過去問または過去問に近い問題は、言い回しや数値を変えるなど、出題に変化が見られます。文章を読み解く力を養うことも重要な対策となります。

【学科W(構造)】

各分野における出題数は、ほぼ例年通り

構造力学6問、各種構造21問、建築材料3問が出題されました。

構造力学

梁付き柱の座屈の計算問題が10年ぶりに出題され、毎年様々なパターンで出題されていた不静定構造物が出題されませんでした。基本的な計算の手順や覚えるべき公式を押さえていれば、確実に全問正解できる内容だったと考えられます。

各種構造

No.7(構造設計の基礎)は、振動特性係数Rtの表における地盤種別とその固有周期との関係を正しくおさえている必要がありました。No.17は長周期地震動対策に有効な制振構造で、1問出題されました。No.23-3は、CFT構造の塑性変形性能だけでなく耐火性能に関しても押さえておく必要がありました。No.30-1は、住宅性能表示制度に関する問題が3年ぶりに出題されました。平成28年に既存住宅に関わる部分に関して法改正があった影響もあるかと推察されます。

建築材料

No.27で出題されたLVL(単板積層材)やCLT(直交集成板)は、近年注目されている材料であり、正解するためにはその特徴をおさえている必要がありました。

<初出題の主なキーワード>

No.13-1、3 付着割裂強度、No.13-4 設計用付着応力度、No.14-4 壁縦筋や壁横筋の寄与分、No.17-1建築構造用高性能鋼材SA440、No.17-2 建築構造用低降伏点鋼材LY225、No.17-4 累積損傷度、No.19-3 常時微動測定、No.21-3 負担水平荷重の差異やねじれ 、No.22-1プレテンション方式、No.23-4 コア壁を耐震要素、No.25-1 X形筋かいの耐力、座屈後安定耐力、No.26-1上下地震動に対する免震効果、No.27-3 LVL(単板積層材)、No.27-4 CLT(直交集成板)、他

今後の学習対策

■原理・原則(理由やイメージ)を正しく理解

例えば、No.8−1(積載荷重)では、なぜ、学校の屋上広場は教室よりも積載荷重が大きいのか、No.18−1では、なぜ、プレス成形角形鋼管の角部は強度は高くなるが変形性能は低くなるのか、No.25−4では、なぜ、鉄骨部材の許容圧縮応力度は断面二次半径が小さくなるほど小さくなるのかなど、根拠を理解できなければ、自信を持って正誤判断することは困難です。問題を解く際、「このような理由により不適当」というように、理由も考えながら正誤を判断するトレーニングを行うことで得点力アップにつながります。

【学科X(施工)】

各分野の出題数は例年通り

施工計画・工事管理で4問、各部工事で20問、請負契約で1問が出題されました。

監理業務に関する選択肢の増加

監理業務に関する内容が、No.1で4肢と、No.25で2肢の合計6肢出題され、平成28年度の2肢より大幅に増加しました。平成21年に新試験に移行してから、学科T(計画)などで「監理業務」が重要視されてきましたが、本年度は学科X(施工)においてもこの傾向が顕著に表れました。

近年の改正部分からの出題

近年の改正部分からは、No.3-3 施工体制台帳の作成[平成27年施行]、No.3-4 専任とする監理技術者の要件[平成28年施行]、No.5-3 足場の作業床に関する墜落防止措置[平成27年施行]が出題されました。

数値に関する正答肢が大幅に増加

数値に関する内容が正答肢となっている問題が15問(6割)出題され、昨年の10問(4割)より大幅に増加しました。

<初出題の主なキーワード>

No.2-4 GRC(ガラス繊維補強セメント)パネル、No.4-4 特定建築物についての届出、No.15-2 建方精度の許容値(木造軸組工法)、No.21-2 縦形ルーフドレン、No.21-4 プッシュプルゲージ、No.24 ベベル角度・ルート面

今後の学習対策

■施工の原則(手順と役割)を理解

学科X(施工)は、まず施工の流れを理解することが重要です。さらに、各施工段階における施工上のポイントの理解も必要となります。細部を学習する前に、工事の流れを大きく捉えて、各段階のポイントを押さえるようにしましょう。

■専門用語の理解 

学科X(施工)には専門用語が多くあり、その用語を知らないと解答できない問題も出題されます。専門用語は、関連する図・写真・現場映像などと結びつけて学習することが重要です。また、試験では多様な範囲からの出題が増加しているため、周辺関連も意識した学習を行いましょう。

■数値を押さえる

他科目と比較すると、数値に関する出題が多い特徴があります。また、数値の範囲「以上、以下、超える、未満」まで覚えることが重要です。数値の記憶定着のためには、日頃から問題演習を行いながら、数値を確認する習慣をつけることが重要です。

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