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  • 令和5年度 構造設計1級建築士講習 修了考査 総評

総評

令和5年度 修了考査の特徴

 

令和5年度 修了考査は、令和4年度と同様、法適合確認、構造設計ともに、選択理由記述式4肢択一10問と記述式3問の出題構成となりました。なお、修了考査の出題形式について、令和2年までは、法適合確認が記述式5問、構造設計が4肢択一式20 問と記述式3問という出題形式でしたが、令和3年度から出題形式が変更され、本年度と同様の形式となっています。

 

『法適合確認』は、選択理由記述式4肢択一で初出題率は正答肢で5割でした。黄色本に掲載されているものが多く出題されたため、黄色本で記載箇所をすぐに確認できるよう、十分に読み込んでおく必要があり、理由記述においても、記述のトレーニングを十分に行っていないと対応が難しかったと考えられます。記述式については、7割程度が初出題の内容となり、過去出題内容は確実に正解できる実力を備えたうえで、「一貫構造計算プログラム」「モデル化」など近年の傾向を的確にとらえた対策が必須であったといえます。

 

『構造設計』では、選択理由記述式4肢択一で初出題率は正答肢で5割となりました。記述式は、5割程度が初出題となり、計算量が多く、慎重に計算を進める必要がありました。問題を正確に読み取り、適切な計算をおこなうために、問題を丁寧に読み込むトレーニングを積めていたかが重要であったといえます。

(初出題率は学院分析による)

法適合確認について

出題傾向

選択理由記述式4肢択一の出題項目

令和3年度より4肢択一での出題が始まり、今回、出題された項目としては、建築構造設計のあるべき姿、構造関係規定の位置づけ、地震力、荷重及び外力、鉄骨造の耐震計算、鉄筋コンクリート造建築物の耐震計算ルート3、木質構造、耐風設計、保有水平耐力計算(2問)でした。青本・黄色本掲載内容と建築士法、建築基準法に基づく構造規定からの出題となりました。

一貫構造計算プログラム・モデル化に関する問題

問題1において、No.1は、過去にも出題された木造の立面混構造建築物の固有周期や1階部分の地震力算定用重量を求める問題でしたが、No.2で、一貫構造計算プログラムを用いた耐力壁付き架構のモデル化、No.3で、一貫構造計算プログラムを用いた鉄骨トラス付き架構のモデル化について、不都合点とその改善策が問われ、いずれも初出題であり、近年、連続して出題されている「一貫構造計算プログラム」「モデル化」に関する問題となりました。青本にも掲載されている構造計算適合性判定に関する事例に関連した出題となりました。

耐震計算ルート3(保有水平耐力計算)関連の問題

問題3は、鉄筋コンクリート造の耐震計算ルート3に関する問題で、No.1で過去にも出題された計算手順での耐力壁付きラーメン構造のDs値について出題されましたが、必要保有水平耐力から形状係数を求めるという新規の設問も見られました。また、No.2は、全体崩壊形の形成を設計目標とした鉄筋コンクリート造ラーメン構造の建築物について、一部崩壊形が形成されなかった場合の対応についても初めて問われた内容となりました。

出題傾向からの対策

法規定を中心に、青本と黄色本を用いて、確実に根拠が確認できるようトレーニングすること青本掲載のものを中心に構造計算適合性判定での指摘事例を十分に理解し、確認しておくこと問題文を丁寧に読み解いて解答する問題演習を近年の傾向を反映した内容で十分な問題量で行っておくことが必要となります。

構造設計について

出題傾向

選択理由記述式4肢択一の出題項目

4肢択一式では、構造力学として、水平剛性、崩壊荷重、固有周期、弾性座屈荷重に関して比較的基本的な内容が複合された問題が出題され、構造材料、構造計画・構造解析、耐震設計、鉄骨構造、鉄筋コンクリート造の構造設計、木質構造等の構造設計、免震構造・制振構造、地盤・基礎、耐震診断・耐震補強といったこれまでの出題項目が網羅されていました。

過去類似問題のなかに見られる新規出題

問題2では、偏心K形筋かい付き鉄骨架構に関して、平成25 年の類似内容が出題されましたが、No.2では、メカニズム時のモーメント図に加え、新規にせん断力図も問われ、No.4では、構面外の安定性に対する補剛とせん断耐力に対する補強を行った梁のブレースとの接合部の納まりのスケッチも求められるなど、新規の出題も見られました

出題傾向からの対策

例年、半分程度出題される過去問については確実に正解できるよう対策を講じることは必須です。加えて、初出題であっても丁寧に問題を読み取り計算を進められるよう、問題文の条件を正確に読み取り、構造設計における構造設計者としての正しい判断を行い、量の多い計算を関数電卓でミスなく進めるトレーニングを十分に行っておく必要があります。