エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ+ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ 講演会レポート

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ+ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ 講演会

「エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ+ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ 講演会」概要

名称

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ+ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ 講演会

会場・日時
  1. (1)東京大学
    【日時】2011年9月26日(月)
    【モデレーター】隈研吾
  2. (2)横浜国立大学大学院Y-GSA
    【日時】2011年9月27日(火)
    【モデレーター】小嶋一浩+寺田真理子
  3. (3)京都大学
    【日時】2011年9月30日(金)
    【モデレーター】竹山聖+西垣安比古
主催

【ソウト・デ・モウラ+カリーリョ・ダ・グラサ講演会実行委員会】

  • 岸隆司(総合資格学院)
  • 隈研吾[東京大学教授]
  • 小嶋一浩[横浜国立大学教授]+寺田真理子[Y-GSA スタジオ・マネージャー]
  • 竹山聖[京都大学准教授]+西垣安比古[京都大学教授]
協賛

株式会社総合資格

講演会レポートムービー

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プレスリリース

「エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ+ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ 講演会」の記事が、業界紙に掲載されました。

世界の注目を集めるポルトガル建築界

2011年プリツカー受賞者 エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ氏

ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ氏

東京大学、横浜国立大学、京都大学の3大学と、総合資格学院の共催により、このたびポルトガル現代建築界を代表する2人の建築家、エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ氏と、ジョアン・ルイス・カリーリョ・ダ・グラサ氏の講演会が開催されました。

ソウト・デ・モウラ氏は、建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞の2011年度受賞者。また、カリーリョ・ダ・グラサ氏は、ソウト・デ・モウラ氏の同世代のライバルであり、ポルトガル現代建築界の代表的人物。また、同時期に開催された第24回世界建築会議「UIA2011東京大会」で、ポルトガル建築界の巨匠アルヴァロ・シザ氏が、最高賞であるUIAゴールドメダルを受賞するなど、今、世界から最も熱い注目を浴びるポルトガル建築界を代表する2人の来日だけに、多くの学生が詰めかけ、大変な盛況となりました。

実行委員長を務める総合資格学院学院長 岸によるスピーチ

総合資格学院の学院長、岸からは、来場された皆様に対して感謝の言葉が贈られるとともに、学生の皆様へ応援の言葉が贈られました。
「建築界もグローバル化していくなかで、世界的な建築家と接する機会を得ることは、学生の皆様にとっても大変有意義なことと思います。この機会を、ぜひ将来にお役立てください」
また、総合資格学院がこのような講演会をはじめ、学生設計展や学園祭への協賛、学内セミナーや採用情報の発信による就職サポートなど、様々な機会で学生支援活動を行っていることにも触れ、「今後もこのような形で、多くの学生の皆様を応援できればと思っています。総合資格学院はこれからも、未来の建設業界を担う学生の皆様を、積極的に支援させていただきます」とメッセージを贈りました。

各会場とも多くの学生が詰めかけました

来場者全員にソウト・デ・モウラ氏の作品集など、書籍を無料プレゼント

講演後の懇親会で、気さくに学生たちと交流するソウト・デ・モウラ氏

プリツカー賞とは?

プリツカー賞とは、アメリカのホテルチェーン、ハイアットホテルアンドリゾーツのオーナーであるプリツカー一族が運営するハイアット財団により、存命の建築家に対し、その功績をたたえるために贈られる賞。建築界では最も権威のある賞とされ、建築界のノーベル賞とも称される。受賞の対象者は原則として1年に1人。副賞として10万ドルとブロンズのメダルが授与される。
日本人としては、丹下健三、槇文彦、安藤忠雄などが受賞。2010年には妹島和世と西沢立衛(SANAA)の2人が受賞し、話題となった。

ソウト・デ・モウラ「自然と人工の間にある緊張感こそが建築」

プロジェクターで自らの作品の解説を行うソウト・デ・モウラ氏

ソウト・デ・モウラ氏は、自身のプリツカー賞の受賞の根拠ともなった代表作の「ブラガ市立サッカー競技場」をはじめ、「スイスの製薬メーカー・ノバルティスの研究棟」「ブラガの文化センター」「バルセロナ郊外の3棟のビル」など、代表的な建築物を解説。

特に「ブラガ市立サッカー競技場」は、郊外の巨大な採石場の跡地をそのまま利用し、さらに掘り進めてサッカー場を建設したものであり、他に類を見ない壮大な建築物。

「私は自然と人工の間にある緊張感こそが建築だと考えています。自然と人工を隔てる1枚のドア、1枚の壁。そういった抽象的な建築が好みです」

また、氏独特の素材や色彩へのこだわりについては、「色から素材を選ぶときもあるし、逆に素材から色が決まるときもある。結果についてはあまり心配していません」

最近、危機がささやかれているポルトガル経済の現状と、建築への影響については「経済危機は良いことではないが、建築的には良いこともある。より組織的に行動する必要性を思い起こさせるから。それから建築の本質についても考える。『クライシス』とはもともとギリシア語で『変化』という意味だから」と語った。

文化センターのラフイメージ

ノバルティスの研究棟の平面図

カリーリョ・ダ・グラサ「大地こそが建築の基本」

サン・ジョルジェ城の丘から見たリスボン市街について語るカリーリョ・ダ・グラサ氏

カリーリョ・ダ・グラサ氏は今回が初の来日。
「以前から日本のことをもっと知りたいと思っていました。この機会を設けてくださった皆様に、心より感謝します」

そう述べた氏は、引き続き「リスボンのサン・ジョルジェ城の丘にある遺跡保護のための施設」「リスボンの旅客船ターミナル」「コビリャンの歩道橋」など、自らが手がけた代表的な建築物を解説。氏は常に、その建築物が建つ大地こそが重要であり、大地に主眼を置くことを心がけていると語る。

「大地のバリエーションは様々であり、非常に興味深い。その土地土地の性格の違いにより、どのような建築物を作るかも変わる。こちらからは条件を出すことはできない。建築物の寿命は短いが、大地は恒久的であり、その力を利用して設計することに興味がある」

また、建築物の色や、素材の使い方に関しては、「色の選択は重要。街や敷地の条件から自然に導き出される色もある」と語った。

サン・ジョルジェ城の丘の遺跡を覆うようにして建つ作品

リスボン市街から見た旅客船ターミナルの景観イメージ

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9月26日(月) 東京大学(モデレーター:隈研吾氏)

後援会の後に催された交流会

東京大学の会場となったのは赤門で有名な本郷キャンパス。この日は、モウラ氏、グラサ氏の講演に先立ち、モデレーターの隈研吾氏のはからいにより、特別にイタリアの有名な建築雑誌『Domus』の副編集長ロベルト・ザンカン氏の講演も行われました。
講演後の交流会では、海外からのゲストも多数参加され、大いに親睦を深めました。

会場となった工学部1号館15号教室

この日のモデレーターを務めた隈研吾氏

『Domus』の副編集長ロベルト・ザンカン氏

9月27日(火) 横浜国立大学(モデレーター:小嶋一浩氏、寺田真理子氏)

当学院から来場者への書籍プレゼント

横浜国立大学の会場となった「Y-GSAパワープラントホール」は、もともと実験用のエネルギープラントだった建屋を、大学院生のための設計スタジオとして改装した施設。普段は緑あふれる敷地に建つ閑静な施設ですが、この日ばかりは学内外から多くの学生が詰めかけ、用意された椅子だけでは足りず、立ち見も出るほどの盛況となりました。

この日の会場となった「Y-GSAパワープラントホール」

多くの学生が詰めかけ、立ち見も出るほどの盛況

左から、カリーリョ・ダ・グラサ氏婦人、カリーリョ・ダ・グラサ氏、岸学院長、寺田真理子氏(後)、ソウト・デ・モウラ氏、小嶋一浩氏

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