令和2年度 一級建築士学科試験 総評

令和2年度 1級建築士学科試験「解答・解説会」ダイジェスト動画

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総論

令和2年度の1級建築士学科試験は、得点しやすかった令和元年度の試験と比較すると、すべての科目で難度が高くなりました。

特に、近年、原理・原則まで踏み込んだ理解が問われる出題が多く見られていた学科U(環境・設備)については、初出題の問題数が増え、当学院の採点サービス利用者の分析でも、正答率が著しく低い問題も見られました。

また、正答肢が初出題の問題は125問中41問であり、令和元年度の35問から増加しました。今後の試験においても、依然として新傾向の出題についてポイントをおさえた学習が必要と言えます。

一方、過去に出題されている内容に関しては、出題時の言いまわしが変更されても正解できるように、対策を行う際に、問われている内容を正しく理解しながら学習を行うことが重要です。

[正答肢が初出題の問題数]

  学科T
(計画)
学科U
(環境・
設備)
学科V
(法規)
学科W
(構造)
学科X
(施工)
合計
令和
2年度
8問
/20問中
10問
/20問中
5問
/30問中
7問
/30問中
11問
/25問中
41問
/125問中
令和
元年度
7問
/20問中
4問
/20問中
9問
/30問中
7問
/30問中
8問
/25問中
35問
/125問中

【学科T(計画)】

建築史・建築作品・まちづくりの事例を含む問題が計6問出題

建築計画9問(うち、数値に関する問題4問)、都市計画3問(うち「都市計画に関する用語」1問、「歴史的資産を活かしたまちづくりの事例」1問、「集合住宅・住宅団地の改修計画」1問)、建築史・作品5問、建築関係の資格者1問、マネジメント用語1問、建築積算1問が出題されました。まちづくりの事例では、ヘリテージマネージメントの観点からも近年注目される事例が出題されました。

防災計画に関する問題が出題

No.6では、「建築物の防災計画」に関する問題が出題され、近年の地震や台風などに伴う防災対策を強く意識した内容が出題されました。

高齢者・障害者等に配慮した計画から2問出題

No.4では、屋内競技場の計画に関する数値の問題が出題され、No.9では、模式図の階段に関する数値の問題が出題されました。オリンピックなどを見据えて、ユニバーサルデザインについての社会的重要性が高まっていることや、建築士として十分な知識が求められていることを反映した出題と言えます。

建築関係の資格者に関する問題が出題

No.18-1では、建築士事務所の管理建築士になるために必要な要件について出題され、一級建築士事務所の開設や運営に必須の知識が問われました。

<初出題の主なキーワード>

No.2-4 旧開智学校校舎、No.3-1 大英博物館、No.5-4 シーリング材の耐久年数、No.6-1 防災拠点、No.6-2 沿岸型の災害拠点建築物、No.8-3 競技場の観客席、No.10-1 セミモール、No.10-2 キスアンドライド、No.10-3 BRT、No.11-1 青森県黒石市「こみせ」、No.11-2 静岡県掛川市「生涯学習都市宣言」、No.11-3 岡山県倉敷市「美観地区」、No.11-4 鹿児島県南九州市知覧、No.12-4 釜石・平田地区仮設住宅団地、No.14-1 ジョンソン・ワックス・ビル、No.14-2 フォード財団本部ビル、No.14-3 丸の内ビルディング(2002 年)、No.14-4 ROKI Global Innovation Center、No.15-1 金沢市立玉川図書館、No.15-2 朝霞市立図書館本館、No.15-3 刈田町立図書館本館、No.15-4 ぎふメディアコスモス、No.16-4 回復期リハビリテーション、No.19-1 芝類の数量(排水桝等の面積)、No.19-4 耐火被覆の数量、No.20-1 コンカレントエンジニアリング、No.20-2 VFM

今後の学習対策

■建築計画の数値は利用イメージから類推し、建築積算の数値は確実に暗記

令和2年度は、建築計画の数値が4問、建築積算の数値が1問出題されました。No.4輝度比、No.6マンホールトイレの数、No.8屋内駐車場の計画、No.9階段の手摺に関しては、実際に利用するところをイメージして、そこから類推し、判断することがポイントでした。また、No.19 鉄筋の所要数量は、過去問学習の際に数値をしっかり暗記できていたかが重要でした。

【学科U(環境・設備)】

各分野の出題数は建築設備の問題が増加

環境工学9問(うち、図解問題1問)、建築設備11問(うち、防火・防災1問)が出題されました。

環境工学は原理・原則の理解を問われる出題が多く見られた

No.2-1「外壁の熱貫流率」、No.3-4「湿り空気」、No.7-1「光束発散度の定義」など、単純な過去問の暗記では正答できない、原理・原則の理解が必要な問題が見られました。また、No.4「建物の熱性能と室温変動」では、暖房時の室温変動を理解したうえで、図とグラフの組み合わせを考える問題が出題されました。

建築設備は専門的な知識が問われた

No.14「建物用途ごとの給水量の計画」、No.15「排水通気設備」、No.17-2「太陽光発電システムのパワーコンディショナの配線」は、過去にも出題されていますが、一歩踏み込んだ理解を問われる応用的な内容でした。No.16「電圧降下の大小関係」、No.19-1「天井放射冷房」は初出題であり、高度な設備の専門知識が問われる内容でした。

<初出題の主なキーワード>

No.8-1 色彩調和の秩序性の原理、No.13-3 屋内駐車場の換気方式、No.14-3 ホテルの給水量、No.14-4 総合病院の給水量、No.15-4 通気弁方式、No.16 電気方式毎の電圧降下の大小関係、No.17-3 水平軸風車、No.17-3 垂直軸風車、No.18-3 屋外消火栓設備の警戒区画半径、No.19-1 天井放射冷房、No.20-2 LEEDの認証レベル

今後の学習対策

■環境工学の基本原理を正確に理解する

環境工学の原理・原則を理解する必要があります。過去問を丸暗記するのではなく、問われている内容に関する基本原理まで踏み込んで理解していく学習が効果的です。また、図解問題を得点源とするために、様々な出題パターンの問題に触れ、考え方を理解していく必要があります。

■建築設備の専門的な知識を学習する

建築設備の問題においては、過去問で出題された範囲だけでなく、現在の設備で主流になっているシステムを中心に、専門的な内容を学習していくことが必要です。今後は他の資格試験で出題された内容も含めて、総合的な設備の知識を学んでいく必要があります。

【学科V(法規)】

各分野の出題数:建築基準法21問、関係法令9問

例年、No.21以降は関係法令が出題されていますが、令和2年度はNo.27が建築基準法からの出題でした。

直近の法改正に関する出題

令和元年に「耐火・防火」に関する性能規定化などの大きな法改正が行われ、令和2年度の試験では、この改正事項から多く出題されました。

  • ・No.6 「防火区画等」から、「防火設備」「竪穴区画」「防火区画に接する外壁」等が出題されました。
  • ・No.16 建築基準法の「建蔽率」において、改正緩和規定である「準防火地域に準耐火建築物を新築する場合」が出題されました。
  • ・No.18 法体系の根底から改正された「防火地域・準防火地域」からは、それぞれの地域における建築制限が出題されました。
  • ・No.27-1 「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」から、警報設備を設けた場合の除外規定が出題されました。

「出題のされかた」に特徴があった問題

・No.12 「既存不適格」
「既存不適格」の単独問題が8年ぶりに出題されました。
・No.27 「建築基準法融合問題」
例年、No.21〜No.30は関係法令の出題エリアでしたが、令和2年度はNo.27 で、建築基準法から「用途変更」に関する雑則問題が出題されました。
・No.28 「建築基準法又は建築士法」
与条件として「立地」「用途」「規模」「構造」「所有者等」があらかじめ列記され、建築基準法と建築士法の融合問題として出題されました。

<初出題の主なキーワード>

No.4-1 ガラスの取替えの工事、No.13-3 特定建築基準適合判定資格者、No.18-1,2 これらと同等以上の延焼防止時間となる建築物、No.27-3 2以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合、No.27-4 特別興行場等、No.28-2 通常火災終了時間、No.28-4 維持保全に関する準則、No.30-2 登録建築物エネルギー消費性能判定機関

今後の学習対策

■基礎力を身につける

条文に出てくる「用語の意味」や「条文の目的」を理解することが法規の学習の基礎となります。法令集を引きながら、この基礎力を身につけましょう。条文の目的・内容をきちんと理解しておくことで、設問の正誤に正しくたどり着くことができます。

■判断力を強化する

条文の規定をそのまま照らし合わせるだけでなく、具体的な手続きや建築物に適合するかしないかの判断力を問う出題が増えています。こうした出題傾向を踏まえた学習対策は今後も必要です。

■文章を読み解く力を養う

過去問、または過去問に近い問題は、言いまわしや数値を変更するなど、出題に工夫が見られます。文章を読み解く力を養うことも基本的、かつ、重要な対策となります。

【学科W(構造)】

各分野における出題数はほぼ例年通り、初出題率は低い

構造力学6問、各種構造21問、建築材料3問の出題でした。令和元年度に引き続き初出題率は低く、正答肢が初出題の問題は30問中7問でした。

構造力学

全体的に近年出題されている内容中心に出題されましたが、10年以上出題がなかった問題が2問出題されました。ただし、基本的な計算の手順や覚えるべき公式をおさえたうえで、十分に過去問対策を行っていれば確実に得点できる内容だったと思われます。

各種構造

例年、必ず出題されている鉄筋コンクリート構造、鉄骨構造、木質構造、基礎構造といった構造種別の他に、「壁式鉄筋コンクリート構造」「壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造」「鉄骨鉄筋コンクリート構造」「コンクリート充填鋼管(CFT)造」「プレストレストコンクリート構造」「プレキャストプレストレストコンクリート構造」「免震構造」といった幅広い構造種別から出題されました。特に近年よく出題される「免震構造」は専門性の高い内容からの出題でした。また、既存建築物の耐震改修や特定天井に関する出題も見られました。

建築材料

過去問を正しく理解していた受験生は、正答を導くことができたと考えられます。

<初出題の主なキーワード>

No.13-2 有効せいに対するせん断スパンの比、No.22-2 直交壁の取り付いた耐力壁の曲げ剛性、No.25-1 ダンパーの減衰量、No.25-2 免震構造のAi 分布、No.25-4 すべり支承、No.26-1 プレストレスの減少率、No.30-2、4 天井脱落対策に係る技術基準

今後の学習対策

■過去出題内容を確実に得点するために根拠やイメージをセットにして学習する

例年、必ず出題されている構造種別は、過去出題内容を取りこぼさず、確実に得点する必要があります。過去に出題された内容については、日頃から、丸暗記に頼るのではなく、正答の根拠やイメージをセットにして理解することが必要です。
その他、幅広い構造種別の内容もおさえておく必要があります。

【学科X(施工)】

各分野の出題数は例年通り

例年通り、施工計画他・工事管理で4問、各部工事で20問、請負契約で1問出題されました。

正答肢のうち、半分以上が数値関連

数値関連の正答肢が15問と6割を占めていたため、曖昧な記憶では得点できず、正確な知識が問われました。

監理者目線での出題

近年は「監理者目線」での出題が多く見られます。No.1工事監理に関する標準業務、No.8ガス圧接継手の外観検査、No.13 トルシア形高力ボルトの締付け後の検査、No.14 鉄骨の建方精度は、建築物の品質に直結する重要な部分であり、「監理者としての判断」の重要性を考慮した出題と考えられます。特に、No.8(鉄筋工事)では、ガス圧接継手部の具体的な外観形状が出題されており、基準値を問うだけではない、実務を想定した内容でした。

設備工事で2問出題

例年1問出題されていた設備工事が、令和2年度は2問出題されました。施工の知識として、建築だけでなく、建物に付随する設備の知識も重要視されていることが感じられる出題と言えます。

<初出題の主なキーワード>

No.2-3 監理技術者の代理配置、No.5-3 枠組足場の構面、No.11-1 高炉セメントB種の構造体強度補正値、No.13-2 鉄筋貫通孔の孔径、No.16-3 ステンレスシート防水の吊子、No.19-2 ALCパネルのはね出し長さ、No.19-4 PCカーテンウォールの目地の幅の寸法許容差、No.20-3 非常用照明装置の照度測定、No.21-3 高圧と低圧ケーブルの離隔距離、No.21-4 給水管の吊り金物の支持間隔、No.24-2 粉体塗装

今後の学習対策

■施工の原則(手順と役割)を理解

学科X(施工)は、まず施工の流れを理解することが重要です。さらに、各施工段階における施工上のポイントの理解も必要となります。細部の学習をする前に、工事の流れを大きく捉えて各段階のポイントをおさえるようにしましょう。

■専門用語の理解 

学科X(施工)には専門用語が多くあり、その用語を知らないと解答できない問題も出題されます。専門用語は、関連する図・写真・現場映像などと結びつけて学習することが重要です。また、近年の試験では多様な範囲からの出題が増えているため、周辺関連も意識した学習を行いましょう。

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