令和2年度 2級建築士設計製図試験 総評

令和2年度 2級建築士 設計製図試験の特徴
近年の試験では、設計の自由度を高めた課題が出題されていますが、令和2年度はその点に加え「シェアハウス」および「高齢者夫婦の住まい」のゾーニングや、バリアフリー等を「設計者として提案していく能力」が問われた試験でした。
「実務レベルの知識・計画力」と「設計者としての提案能力」が問われた項目
(1)2方向道路と併設住宅のアプローチ、建物配置
- ・駐車スペースの制限や、南道路側の壁面後退に注意したうえで、シェアハウス部分および住宅部分のアプローチを計画する必要があった。
(2)シェアハウスと住宅部分のゾーニング
- ・シェアハウス部分と高齢者夫婦の住まい部分をしっかりとゾーン分けする必要があった。
(3)シェアハウス専用部分の所要室の計画
- ・2階シェアハウスの専用部分では、水廻りに関する要求が多く適切にまとめあげる力が問われた。
(4)屋外施設に関する多くの要求
- ・屋外施設には、屋外テラスをはじめ、緑化スペース、屋外スロープや駐車スペースなどの多くの要求がされ、狭いスペースにしっかりとまとめあげる力が問われた。
令和2年度試験の特徴的な要求
(1)延べ面積が「170u〜250u」と広範囲な面積要求がされた。
(2)敷地内で「駐車スペースの制限」と「南道路側の壁面後退」の2つの制限があった。
(3)シェアハウス専用部分の各室にバルコニーを設ける必要があった。
- ・プランによっては、矩計図で表現する必要があった。
(4)課題文の中で、例年とは異なる要求室の表記があったため、例年以上に丁寧に注意深く読み取りをする必要がありました。
作図上のポイント
(1)メリハリと密度の高い作図表現
(2)平面図・立面図・矩計図の整合性
- ・階段の蹴上げ寸法も指定され、矩計図で描いている階高と段数が一致している必要があった。
(3)矩計図の作図表現(矩計図の出題は7年ぶり)
- ・プランによってはバルコニーを表現する必要もあった。
合否を分けたポイント
(1)実務者レベルでバランスのとれた室内計画及び外構計画ができていたか
(2)条件を守ったシンプルなプランニングができていたか
(3)密度・精度が高い仕上がった図面を描けていたか
まとめ
令和2年度試験では、合格を勝ち取るために上記のポイントを踏まえた図面となっていたかという点に加え、作図によるプレゼンテーション力が重要であると考えられます。