名音楽家たちを生み出した由緒ある劇場
セーヌ川の右岸、パリの中心部にあるシャトレ座は、オペラ、バレエ、演劇、クラシック・コンサート、映画上映など幅広いジャンルを扱い、そのプログラムに定評のある名門劇場です。建設されたのは1862年と古く、ナポレオン三世と県知事のジョルジュ・オスマンによる「パリ改造計画」の一環として建てられました。客席数は2500。舞台を囲むような馬蹄形の5層式で、壁の金色と座席の鮮やかな赤のコントラストが、煌びやかさを演出しています。
1873年、コンセール・コロンヌ管弦楽団が本拠地としたことで有名なこの劇場では、本作に登場するチャイコフスキーをはじめ、ドビュッシー、リヒャルト・ストラウスら名だたる作曲家たちの演目が披露されたほか、1900年にはマーラーがウィーン・フィルとともに初めて自作を披露したことでも知られています。
『オーケストラ!』では、劇場の清掃員で元天才指揮者のアンドレイのもと、救急車やタクシーの運転手、蚤の市業者やポルノ映画の声優など、寄せ集めの元名演奏家たちがボリショイ交響楽団になりすまし、30年ぶりのコンサートを開くことになります。映画のクライマックス、満員の観客を前にぶっつけ本番の演奏をすることになったアンドレイ一行は、期待に胸を膨らませる観客を前にどんなメロディを奏でるのでしょうか。
『さぁ、人生を奏でよう。』
■Introduction
モーツァルト、チャイコフスキーの名曲に乗せて贈る、寄せ集めオーケストラが巻き起こした奇跡の物語。天才指揮者・アンドレイを演じるのは、ロシアで偉大な俳優と讃えられているアレクセイ・グシュコブ。また、スターバイオリニストのアンヌ=マリー・ジャケ役には『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン。透明感あふれる美貌で、芸術家としての繊細な魂と、両親を知らずに育った孤独感を見事に演じ切り、新しい魅力を見せている。さらに、アンヌ=マリーのマネージャー・ギレーヌ役を『恋愛睡眠のすすめ』のミュウ=ミュウ、シャトレ座の支配人を、『トランスポーター』シリーズのフランソワ・ベルレアンが演じている。
■Story
劇場清掃員として働くさえない中年男アンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)は、かつてロシア・ボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者だった。しかし彼は共産主義時代、“ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、名声の絶頂期に解雇されてしまった。ある日清掃中にアンドレイは、1枚のFAXを目にする。それは、演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、パリのプレイエルに出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容だった。その瞬間、彼はかつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ交響楽団代表のフリをしてパリに乗り込むことを思いつく…。

映画のタイトルにもある“サイダーハウス”とは、リンゴ園で働く季節労働者たちの宿泊所のこと。簡素な小屋で向かい合わせに並べられた古い鉄製のベッドに、ダイニング・テーブルがひとつ。そして唯一の飾りらしきものといえば壁に貼られた労働者への注意書きという実に味気ない場所です。しかし、人里離れた孤児院で生まれ育った主人公ホーマーにとってここはとても刺激的でした。
「人の役に立て」という信念を持つラーチ院長の深い愛情のもと、孤児院で産婦人科医の後継者として育てられたホーマー。成長するにつれ自分の未来に疑問を持ち始めた彼は、ある日堕胎のために孤児院を訪れたキャンディとウォリーとの出会いを機に孤児院の穏やかな暮らしから外へ飛び出します。サイダーハウスで知った初めての海、食べ物、映画、恋……。甘いことも苦いことも経験したホーマーは、孤児院から離れたことでこれまで疑問に思っていた院長の考えも理解するのです。
労働者のボス、ミスター・ローズはサイダーハウスの壁に掲げられた注意書きを「そのルールはここの住人じゃない奴が作ったもの。ルールをつくるのはここに住む俺たちだ」と破り捨てるように指示しましたが、誰かに押し付けられることなく、自分自身でルールを見つけること。この飾り気のない家で過ごした時間はホーマーにその意義を気づかせてくれたようです。映画の最後にホーマーが選んだ新たな道に深い感動を覚えることでしょう。
『そして僕は歩きはじめる』
■Introduction
旅立ち、家族の絆と愛情、人々との出会い、初恋、生きていくこと…など、大人になる過程で誰もが経験する道のりを優しく爽やかに描いた感動作。「カープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」などで知られる米現代文学の巨匠ジョン・アーヴィングが自身の同名ベストセラーを脚色し、『ギルバート・グレイプ』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のラッセ・ハルストレムが、みずみずしい映像と視点で描き出した。主人公のホーマー・ウェルズを演じるのは、『カラー・オブ・ハート』のトビー・マグワイア。また、彼の父親的存在であるラーチ院長を『リトル・ヴォイス』のマイケル・ケイン、ホーマーが恋するキャンディ・ケンドールを『ノイズ』のシャーリーズ・セロンが演じている。
■Story
セント・クラウズの孤児院で生まれたホーマー・ウェルズ(トビー・マグワイア)。彼はラーチ院長(マイケル・ケイン)の「人の役に立つ存在になれ」という言い付けを守りつづけて成長した。しかし、成長するにつれ自分の未来に疑問を持ち始めたホーマーは、ある日若いカップル、キャンディとウォリーと共に孤児院を飛び出した。初めて見た海、ドライブイン・シアター、そして初めての恋。セント・クラウズ以外の場所を訪れたことのなかった彼は驚きの目で新しい世界を発見して行く。やがてウォリーの母が経営するリンゴ農園で働き、収穫人たちの宿舎“サイダーハウス”で暮すことになったホーマー。新しい生活と人々との出会いの中で彼は何を見出していくのか…。
