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総評

全体概要

法適合確認は、全体的に過去に論点となったチェック項目を中心に出題されましたが、空調・換気設備と輸送設備の分野で、難しい計算問題答えを見つけるのに時間がかかる問題が多くあり、2時間という限られた解答時間内で、時間を意識して落ち着いて解答する力が求められました。

設計製図は、設計条件・必須問題・選択問題において、例年とは異なる新規条件があり、やや難しい問題でした。

本番を想定した手描きのトレーニングを繰り返し行う準備を行っておらず、各設備や方式の正しい理解、対応力が備わっていなければ、4時間内に解答を仕上げることは難しかったと考えられます。

「法適合確認」について

出題構成

  • [空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、輸送設備:各5問、計20問]

特徴的な出題

 

【問5】空調・換気設備融合(文章四択問題)

選択枝Dにおいて、容量の小さい冷却塔(450kw以下)の問題が初めて出題されました。

容量の大きい冷却塔の構造(充てん材/ケーシング/その他の主要な部分)との違いを理解していなければ解けない問題でした。

 

【問8】防火区画の貫通状況(図解問題)

令和5年に法改正のあった耐火性能の問題が出題されました。法改正については、講習会で正誤表として別紙で配布されましたが、その改正内容を理解するだけでなく、内容を踏まえて、自身で問題を解くことができる能力が求められました。

 

【問15】防災設備(非常用の照明設備)融合(文章四択問題)
選択枝Dの非常照明用分電盤の問題において、「マグネットスイッチ」や「主幹開閉器」などの新しいキーワードが出題されました。

各用語の意味を理解していないと、不適切な理由を的確に述べることができない難しい問題でした。

 

【問18】エスカレーター(図解問題)
図中のエスカレーターの仕様・構造の情報が多く、チェックに時間を要する問題でした。また、かかり代の計算が必要であり、この計算は、構造の条件によって算定式が異なるため、条件の設定を誤ると、正しい答えが導き出せません。図や問題から確実に条件を読み取る高度な知識が求められました。

 

【問19】輸送設備融合(文章四択問題)
この問題は、全ての選択枝において、正誤の判断に計算が必要であり、時間をかけて丁寧に条件を整理し、数値を複数回チェックする必要がありました。特に選択枝Cは、人荷共用エレベーターの定格積載量や定員を求める問題であり、「法定積載荷重」「法定積載量」「定格積載量」の各用語の意味を理解して算定しないと、正しい答えが出せない問題でした。

「設計製図」について

出題構成

  • [必須問題10問、選択問題各3問(空調・換気、給排水衛生、電気から1つ選択)]

課題条件『設計課題:市街地に建つ本社事務所』

 

延床面積・階数: 7,357m2・地上6階、塔屋1階
空調熱源機: 空冷チラー(冷水専用)及びガス直だき吸収冷温水機(冷水・温水の切換)
空調方式: 空調機(インテリア・ペリメーターゾーン分け)、FCU(4管式)+外調機の併用(2管式)
給水方式: ポンプ直送方式(上水・雑用水系統の2系統、供給立て系統は便所系統と給湯室系統の2系統)
排水方式: 汚水・雑排水・雨水を分ける分流式
受電方式: 本線・予備線2回線受電方式

必須問題

 

特徴的な出題

  • 必須問題の問3は、例年と同様の「空調冷熱源設備容量及び空調温熱源設備容量」の問題でしたが、「ショ ールームの個別ヒートポンプの容量は、中央式熱源容量に含まない」との条件が追記され、単に計算式を丸 暗記しただけでは求めることができない、設備容量の算定の知識と応用力が問われた問題でした。
  • 必須問題の問8「電灯・コンセント幹線の計画」の問題は、建築設備士試験の第二次検定(設計製図)では頻繁に出題される問題でした が、設備設計1級建築士講習修了考査ではH28年以来の出題でした。

選択問題

 

特徴的な出題

  • 空調熱源機において、「空冷チラーとガス直だき吸収冷温水機の併用」がH30年以来の出題となりました。 各熱源について、「冷水専用」「冷水・温水の切換」との条件が初めて付加されました。また、膨張タンクは、 従来の「密閉式」から「開放式」となり、選択問題の空調・換気設備の問1(系統図)では、過去問の理解に加え、各設備のより深い知識が求められました。