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総評

全体概要

法適合確認は、全体的に過去に論点となっていたチェック項目を中心に出題されましたが、空調・換気設備と輸送設備の分野において、難しい計算問題や答えを見つけるのに時間がかかる問題が多くあり、2時間という限られた解答時間内で、時間を意識して落ち着いて解答する力が求められました。
設計製図は、【必須問題】、【選択問題】ともに例年とほぼ同様の出題内容でしたが、本番を想定した記述・作図のトレーニングを繰り返し行っていないと、4時間内に解答を仕上げるのは難しかったと考えられます。

「法適合確認」について

出題構成

 

空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、輸送設備:各5問、計20問

特徴的な出題

 

【問1】冷却塔(図解問題)
冷却塔は、過去にも出題が多い問題ですが、冷却塔との離隔距離を確保すべき建築物に換気扇が設置されたのは初めてでした。
図中の条件に目が行きやすいですが、表中の条件も確認した上で求めないと解けない問題でした。

【問4】加圧防排煙(図解問題)
加圧防排煙は、平成23年以来13年ぶりに出題されました。
乗降ロビーと隣接室の開口部を通過する風速、隣接室の空気逃し口の開口面積、圧力調整装置の開口面積など、計算して求める項目が多く、隣接室の構造によっても計算方法が異なるため、時間を要する難しい問題でした。

【問7】防火区画の貫通状況(図解問題)
令和5年に法改正のあった耐火性能の問題が今年も出題されました。
法改正については、講習会で正誤表として別紙で配布されましたが、その改正内容を理解するだけでなく、内容を踏まえ、自身で問題を解くことができる力が求められました。

【問13】雷保護設備(図解問題)
雷保護設備(水平・垂直メッシュ導体)の問題は、平成21年以来15年ぶりに出題されました。
メッシュ幅寸法については、一部の寸法は計算して求める必要があり、表記されている寸法のみをチェックするだけでは解答を導き出すことが難しい問題でした。

【問19・20】輸送設備融合(文章四択問題)
輸送設備の問19・20は、各選択肢において難易度の高い計算が必要であり、時間を要する問題でした。
問19の選択肢Aは、かかり代の計算の問題でしたが、この計算は、構造の条件によって算定式が異なるため、条件の設定を誤ると正しい答えが導き出せません。 確実に条件を読み取る高度な知識が求められました。
問20の選択肢Cは、過荷重検出装置の問題で初めて出題されました。
過荷重検出装置の装備を要するエレベーターの種類を理解していなければ解けない問題でした。

「設計製図」について

出題構成

 

必須問題10問、選択問題各3問(空調・換気、給排水衛生、電気から1つ選択)

課題条件『設計課題:市街地に建つ本社事務所』

 

延床面積・階数 : 7,046㎡・地上6階、塔屋1階
空調熱源機 : 空冷ヒートポンプチラー(2台)
空調方式 : 空調機(インテリア・ペリメーターゾーン分け/4管式)、FCU(2管式)+外調機の併用(2管式)
給水方式 : 高置水槽方式(上水・雑用水系統の2系統、供給立て系統は便所系統と給湯室系統の2系統)
排水方式 : 汚水・雑排水・雨水を分ける分流式
受電方式 : 本線・予備線2回線受電方式

必須問題

【特徴的な問題】
必須問題の問2では、例年と同様に、エントランスホール(アトリウム)に最も適する空調方式を表から選ぶ問題が出題されました。
令和4年・5年に続き、設問の中にガラスカーテンウォールの位置も明確に記載され、それぞれの空調方式、吹き出し方式の特徴を理解し、選定した理由を記述する、実務的なアトリウムの環境設計の提案力が試されました。

 

 

選択問題

【特徴的な問題】
空調熱源機において、膨張タンクは、「密閉式」ではなく昨年と同様「開放式」でした。
また、ファンコイルユニットは、初めて「4管式」ではなく「冷温水切換え2管式」という条件で出題され、選択問題の空調・換気設備の問1(系統図)は、密閉式と開放式、4管式と2管式の理解が問われる問題でした。