資料請求

令和5年度 宅建士試験 総評

全体総評

●出題内容:直近の法改正を問うものが、特に「権利関係」や「宅建業法」において、比較的多く出題されました。また、正解肢ではない選択肢で過去問だけでの対策では対処しきれない問題が散見されました。

 

●出題形式:「宅建業法」の個数問題(※1) は7問で、令和4年度よりも2問増加しました。また、「権利関係」でも個数問題が令和4年度と同様に1問出題されたことに加え、組合せ問題(※2) も1問出題されました。その他は例年通りであり、「権利関係」の判決文問題も1問出題されました。

※1 個数問題とは、「正しいものは“いくつ”あるか」と問われ、「2 二つ」というように、正しい(誤り)選択肢の数を答える出題形式です。全ての肢を検討しなければならないため、一般的に難易度は上がります。
※2 組合せ問題とは、「正しいものの“組み合わせはどれか”」と問われ、「3 イ、ウ」というように、正しい(誤り)選択肢の組合せを答える出題形式です。1つの選択肢だけが分かっても正解には辿り着かない点が特徴です。

 

全科目を通して、令和4年度と同様に、改正法に関する知識未出題項目の出題や、細かい知識が問われる出題など、得点しにくい問題が散見されました。また、近時の本試験の特徴である、内容的には基礎的なものであっても、切り口や表現を変えて出題するなど、応用力を試す問題が出題されました。

一方、「宅建業法」や「法令上の制限」を中心に、きちんと基礎知識や過去出題項目を学習することで確実に得点できる問題も例年通り出題されました。

 

試験全体を通して、過去出題項目やその周辺知識を確実に身につけた上で、改正法に関する知識や応用力が問われる問題について、得点をどれだけ積み上げられたかがポイントとなりました。

各科目の出題状況

(1)権利関係

●例年1問出題されている判決文問題は、令和5年度も【問1】で出題された。また、令和4年度と同様に個数問題が1問出題された他、令和5年度は組合せ問題も1問出題された。

●未出題項目から相当数出題されたのは令和4年度と同様であったが、令和5年度に関しては、直近の法改正事項や、令和2年度の民法改正事項について、掘り下げた内容の出題が目立った。

 

出題形式については、例年と同様に、民法10問、借地借家法2問、建物区分所有法1問、不動産登記法1問と大きな変化はなく、判決文問題が令和5年度も1問(問1)出題された点も例年と同様でした。
一方、令和4年度に出題された個数問題が令和5年度も1問(問6)出題された他、組合せ問題も1問(問4)出題された点が特徴的となりました。今後、権利関係でも個数問題・組合せ問題の出題が継続するかについては、注視する必要があります。

 

内容は、相隣関係(問2)や不動産登記法(問14)で最新の法改正点が問われた他、請負(問3)、配偶者居住権(問7)、賃貸借(問9)等で、令和2年度の民法改正事項についても比較的多く出題された点が特徴的でした。

全体的に、民法10問では解きにくい問題が散見された一方、問11~問14の特別法4問については、基本的な内容が多く出題されており、令和5年度は特別法4問を確実に正解できたかどうかが非常に重要であったと考えられます。

(2)宅建業法

●宅建業法の個数問題は7問と令和4年度の本試験よりも2問増加した。

●内容的には、令和5年度からの出題範囲である、いわゆる「電磁的方法」についての記述が多かった点が特徴的であり、法改正に関する対応力が重要となった。

 

問題の形式としては、個数問題の数が、令和4年度の5問から7問に増加しました。一般的に、個数問題の増加は正答率を下げる要因となるため、難化傾向にあると言えます。その他、近年では出題順が条文の順とは関係なく出題される傾向にあり、令和5年度もその傾向が見られました。

 

内容をみると、令和5年度から出題範囲となった、いわゆる「電磁的方法」について、37条書面(問26)で丸々1問出題された他、重要事項説明(問33)、クーリング・オフ(問35)、手付金の保全措置(問39)、履行確保法(問45)でも選択肢の一部で出題されており、「電磁的方法」への対応力が問われました。一方、その他の選択肢では基本的な内容を問うものが多く出題されたため、法改正に関する正確な知識を押さえた上で、点数を取るべき問題を確実に得点できたかどうかが重要であったと言えます。

(3)法令上の制限

●農地法の問題文が典型的な表現ではなく、国土利用計画法で令和4年9月施行の新法が選択肢の1つとして出題された。

●内容は、典型的な論点からの出題が多く、法令上の制限の分野全体としては、比較的解き易い問題が多かった。

 

令和5年度も、令和4年度と同様に、都市計画法、建築基準法から各2問、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法、国土利用計画法から各1問が出題され、その他の法令上の制限は出題されませんでした。

 

内容は、農地法(問21)の問題文が分かりにくい表現で出題されたことや、国土利用計画法(問22)の選択肢の1つに、令和4年9月施行の「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」が初めて出題されたことなど、難しく感じる点もありましたが、全体的には過去出題項目が中心であり、全問正解も狙える内容であったと考えられます。

(4)税・その他

●国税では2年連続で「印紙税」が出題された一方、地方税と価格については、「不動産取得税」と「不動産鑑定評価基準」が出題された。

●5問免除科目では、問47の公正競争規約で、最新の改正点が出題された。

 

税・価格は、印紙税(問23)、不動産取得税(問24)、不動産鑑定評価基準(問25)が出題されました。

内容は、典型的な論点で正解を導くことができたものの、印紙税が2年連続で問われた点が特徴的でした。

5問免除科目は、公正競争規約(問47)で最新の改正点が出題された他、統計(問48)、土地(問49)、建物(問50)で細かい内容が散りばめられていたため、解きにくい内容でした。

令和6年度に向けた学習対策

過去問からの出題など基本的な内容からの出題がみられる一方、特に令和5年度は法改正事項が多く出題され、また、出題形式に変化を加え、問題への対応力を試す問題が出題されています。

このため、基礎知識や過去出題項目を早い段階で押さえたうえで、法改正の正確な知識を蓄え、アウトプットを通じて様々な応用問題・新規問題を解きこなすことが要求される試験となっています。

過去問の習得はもちろんのこと、基本事項の正解率を高め、法改正問題や初出題問題を想定したオリジナル問題によって問題対応力及び得点力強化を徹底することが、令和6年度に向けた学習対策として重要となります。

【無料】サービス

令和5年度試験 解答・解説書 無料ダウンロード!!

令和5年度試験 解答・解説書 無料ダウンロード!!

令和5年度 宅建士試験分析に最適な解答・解説書をWEB上で無料閲覧いただけます。

すべての問題に詳細な解説がついているので、正答にいたる根拠を正しく理解できます。

試験の見直しはもちろん、次年度対策教材としてもご活用いただける教材です。

 

試験対策講座

令和6年度 宅建パーフェクト合格必勝コース

令和6年度 宅建パーフェクト合格必勝コース

例年多くの方が受験をする宅建士試験ですが、その合格率は例年15~17%前後。

正しい学習方法で取り組まないと、合格するのは難しい試験です。

総合資格学院の宅建パーフェクト合格必勝コースはそんな難しい試験で一発合格を目指すためのセット講座です。

早期スタートで基礎から無理なく学習していただけるので、初受験の方にもおすすめの講座です。