令和4年度 インテリアコーディネーター2次試験 総評

全体

コロナ禍により、多くの企業でリモートワークが導⼊され、都⼼に居なくても仕事ができるようになりました。今 回は、そういった時代背景を考慮した課題ともいえます。

【プレゼンテーション】は、『平⾯図』『間仕切り家具(正⾯図2⾯)』について出題され、【論⽂】は、『カーテン による寒さ対策』について、2つの事柄について記述する課題でした。
【プレゼンテーション】は、室内空間については余裕があり、レイアウトはそれほど迷わずできる内容でした。逆 に屋外のデッキスペースは奥⾏がないため、指定された家具のレイアウトを決めるのに迷ったかもしれません。
なお、令和3年も出題された家具の正⾯図が2年続けて出題された点は異例でした。

【論⽂】では、例年、記述が問われる事柄やキーワードは3つの指定となっていますが、令和4年度は2つとなったため、1つの事柄 について記述の⽂字数が増え、より詳しく具体的な記述が求められた出題であったと考えられます。
なお、今回出題された【論⽂】と【プレゼンテーション】相互に関連性は求められない出題内容でした。
※課題⽂については、試験中に1箇所訂正が⼊りました。

【プレゼンテーション】平⾯図

⾃然豊かな郊外に建つ⽊造2階建ての『LD』と『ワークスペース』、『デッキスペース』のインテリアコーディネート を依頼された課題でした。新しい出題とそのポイントは、下記の通りとなります。

(1)薪ストーブと薪棚
 課題⽂にイメージ図と⼨法が掲載されており、さらに薪ストーブは解答⽤紙に配置されているためレイアウトや作図は不要でした。薪棚をLDの適切な位置に配置すればよい出題内容でした。

(2)薪ストーブまわりの150⾓タイル貼り
解答⽤紙に位置と範囲が記⼊されているため、タイルの割り付けを描くだけですが、150⾓と細かいため作図しづらいと感じた受験生もいたと考えられます。

(3)室内のフローリング(幅150mm)とデッキスペースの床材の幅(幅200mm)指定
屋内と屋外の床材の幅をあえて変えて問われました。今回の課題は、それほど難しい内容ではないため、こういった細かいところを採点では⾒られる可能性も考えられます。なお、床材の幅指定は、平成30年に出題されましたが、それ以降は床材の指定だけで、幅まで指定されることはありませんでした。

(4)ダイニングのテーブルサイズ(W2400×D900)
過去に出題された中で、⼀番⼤きいサイズですが、スペースに余裕があるためレイアウトは難しくなかったと考えられます。

(5)床座でくつろげるスペース
『床座』の解釈の仕⽅で、レイアウトやエレメントの表現が異なってきます。また、要求条件に『ラグ』の指定がありました。床座のスペースに、直に座るとは考えづらいため、ラグが配置されている⽅がよりよい提案となります。

(6)デッキチェア
 他の家具のように⼨法が指定されておらず、イメージ図もないため⾃分で⼤きさや形状を決める必要がありました。屋外⽤の家具 レイアウトは、近年出題がなかったため、⼾惑った受験生も多かったと考えられます。

また今回、L(リビング)にはソファなどを置き『屋外デッキスペース越しに景⾊が眺められるようにする』、 『LDは屋外と のつながりを考え、開放的なインテリア』、間仕切り家具は『視覚的に⼀体感がもてるような⾼さ』と条件にあり、室 内のレイアウトも視線を遮らないような配慮が必要でした。

要求条件で指定されている家具等については、『幅と奥⾏の指定』はありますが、『⾼さの指定』は全くなく、条件 に合わせて高さを⾃分で設定する必要がありました。
また、平⾯図への⼨法記⼊が近年は『⾼さのみ』だったのが、令和4年 は主要な⼨法の記載を求められたため、『幅、奥⾏、⾼さの全ての⼨法』を記⼊しなければなりませんでした。
⽂字 の書き込みが多く、指定されているものに記⼊漏れがないか、着彩前のチェックも重要でした。

着彩について、屋外とのつながりを考えたインテリアを要求されていることを考えると、室内と屋外の床材の材 質は異なりますが、同じ⾊で着彩するのが無難だと考えられます。さらに、室内の床材と家具を同じ仕上げ(ナラ︓ ウレタンクリア塗装)にした場合、同じ⾊で濃淡をつけて着彩すると、まとまりのあるプレゼンテーションとなったと考えられます。

【プレゼンテーション】間仕切り家具(正⾯図2⾯)

LDの両⾯から使⽤できる家具で、要求条件には、『視覚的に⼀体感がもてるような⾼さ』、『L(リビング) 側上部は飾り棚、下部は扉付き収納』、『D(ダイニング)側は⼦ども⽤図書、⼦どもの玩具類、書類・図書など を仕舞う』と詳細な指定がありました。
『視覚的に⼀体感がもてるような⾼さ』がどれくらいなのか、⽴った場合あるいは座った場合など、どちらの⾼さで検討するのがよいのか。また、⼦ども⽤図書や玩具類と指定はありますが、家族構成には2⼈の⼦どもは『⼩学⽣』と あるだけで、年齢などは記述されていません。細かい指定がない分、棚の仕様や⼨法を決めるのに迷う点は多かっ たと思われます。
仕上げについては、指定されている床材と同じ材料と仕上げ(ナラ︓ウレタンクリア塗装)とすれば簡単でした。

【 論⽂ 】︓カーテンによる寒さ対策

設問は、分譲マンション(RC造)の北側にある部屋の腰窓まわりの寒さ対策として以下の2つについて、アド バイスとその理由を550〜600字で記述する課題でした。
(1)カーテンの⽣地の選び⽅
(2)カーテンの吊り⽅
例年、記述する事柄やキーワードについて3つ指定されていたものが2つになったため、1つの事柄について記述し なければならない⽂字数が増え、より詳しく具体的な記述が求められました。
(1)の⽣地については、⼀般的に考えられる『厚⼿の⽣地』以外で、どういったものが寒さ対策として有効なのかをいくつ思いつくかがポイントとなりました。
(2)のカーテンの吊り⽅については、「窓からの冷気を遮断するためにはどのような吊り⽅をすれば効果的か」、「腰窓の指定に対して、丈の⻑さを考慮する」などで、⽐較的書きやすい内容だったと考えられます。