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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ロスト・イン・トランスレーション
  • ロスト・イン・トランスレーション
  • 『ロスト・イン・トランスレーション』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元・販売元:東北新社
  • ■価格:¥3,990(税込)
  • (c) 2003 LOST IN TRANSLATION INC.
  • 監督:ソフィア・コッポラ
  • 出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ、マシュー南、田所豊
新宿パークタワー<東京・西新宿>

言葉の通じない東京で、偶然同じホテルに居合わせたアメリカ人男女のほろ苦い心の交流を、透明感あふれる映像で描いた本作。舞台となったホテルは新宿パークタワーの上部を占めるパークハイアット東京です。

巨匠・丹下健三氏が設計し、94年に完成したこの都内有数の超高層ビルは、三段構造の屋上をはじめ随所にデザインされたガラスのピラミッドが特徴的です。同時期に竣工した東京都庁とどことなく呼応するデザインも、丹下氏の壮大な都市構想をうかがわせます。

47階のプールや幻想的なバー、客室から眼下を見下ろすシーンでは、ネオンと騒音にあふれる雑踏の上空にぽっかりと浮かぶ水槽の中にいるような感覚に誘われます。目の前にそびえるのは、東京のどこかフェイクで通俗的な雰囲気を象徴しているかのような“和製エンパイアステート”NTTドコモ代々木ビル。西新宿の摩天楼が、異国視点から見た東京の姿を鮮やかに描き出しています。

新宿パークタワー
『人生の折り返し点、なぜか寂しい』 ■Introduction

監督は『ヴァージン・スーサイズ』で、多感な少女の季節を瑞々しく描いたソフィア・コッポラ。本作では東京を舞台に”現代版『ローマの休日』”とも呼べる淡く切ない大人のラブストーリーを繊細に描き、見事アカデミー賞を受賞、その才能を証明した。主演は『チャーリーズ・エンジェル』『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のビル・マーレイと、『真珠の耳飾の少女』『バーバー』のスカーレット・ヨハンソン。

■Story

ウィスキーのCM撮影のため来日したハリウッドスターのボブ(ビル・マーレイ)。今ひとつうまくいっていない妻から逃れる口実と200万ドルのギャラのため、なんとなく仕事を引き受けて東京へやってきた。しかし言葉が通じないため、次第に疎外感を強めていく…。
フォトグラファーの夫に付き添って来日した新婚のシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)。
しかし、夫は仕事に明け暮れるばかりで、行くあてもない彼女はホテルの部屋に取り残されてしまう…。「自分の居場所がない」同じように心に空洞を抱えた二人が、同じホテルで偶然出会った。急速にうちとけた二人は、トーキョーの街の目も眩むようなネオンと雑踏の中に繰り出していく…。

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イルマーレ
  • イルマーレ
  • 『イルマーレ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
  • ■価格:¥3,980(税込)
  • 監督:アレハンドロ・アグレスティ
  • 出演:キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、クリストファー・プラマー、ディラン・ウォルシュ
「湖上の家」が繋ぐ、時空を超えた愛情

建築家が自分の愛する人に家を贈るなら、どんな家を建てるでしょうか。

その答えの一つが、本作に「湖上に建つガラス張りの家」として登場します。ある日、しがない建築家の主人公がこの湖の家を買い、ポストに前の住民からの手紙を見つけたことから、2年という歳月を隔てた甘く切ない大人のラブストーリーが始まります。その中で物語の背景という以上に、過去と現在を結ぶ重要な役割を果たすのがこの家の存在なのです。内部から湖と緑のパノラマを見渡すことができ、家の中にも木を配した温室のような建築は、主人公の弟の言葉を借りるなら「コルビュジエとロイド・ライトの融合」。物語が進むにつれ、実はこの家には主人公の家族の歴史が詰まっていることが判明します。

建築とは単にスペースを提供する“箱”ではなく、作者の発想を形に留める芸術であり、時空を超えて愛情をも伝えることができるメッセージボックスなのかも知れません。

『それは、2年の時を隔てた、世界でたったひとつの恋。』 ■Introduction

2001年に製作された同名の韓国映画を、「スピード」のキアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックの共演でリメイクしたファンタジー・ラブストーリー。“湖の家”の郵便ポストが取り持つ不思議な恋の行方をロマンチックに綴る。

■Story

シカゴの大病院で働くため、お気に入りだった湖畔の家を引き払うことになった医者のケイト(サンドラ・ブロック)。彼女は、次の住人に宛てて手紙を書いて、ポストに入れた。しかし、その手紙は、魔法のような奇跡によって、2年前の住人の元へ届いた。彼の名前は、アレックス(キアヌ・リーヴス)。2年という時を隔てて、2人はその日から文通を始める。夢のこと、人生のこと、恋のこと……、思いを手紙につづっていくうちに、2人の間にはいつしか恋心が芽生えていた。「どうしてもあなたに会いたい」「君に会いたい」2つの心が重なったとき、2人は時を越えるという危ないリスクを背負って、愛する人のもとへ向かっていった……。

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