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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

アメリ
  • アメリ
  • 『アメリ』
  • ■発売日:発売中
  • ■販売元:アルバトロス
  • ■価格:¥4,935(税込)
  • 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
  • 出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ドミニク・ピノン、イザベル・ナンティ、ジャメル・ドゥブーズ 他

(C)2001-UGC IMAGES-TAPIOCA FILMS-FRANCE 3 CINEMA-MMC INDEPENDENT-Tous droits reserves

サクレ・クール寺院 <フランス〜パリ〜>

モンマルトルの丘に建つ鎮魂のモニュメント

サクレ・クール寺院

モンマルトルの丘にそびえるロマネスク・ビザンチン様式のサクレ・クール寺院は、1870〜71年の普仏戦争後、戦場に散った5万8千人の兵士と街頭戦で倒れた市民を悼むため、市内のカトリック教徒の献金によって建設構想が持ち上がった教会でした。
1875年には政府の支援を受けて建設が開始。ミナレット(モスクの尖塔)とも呼ばれるいささか異教的なドームが特徴の建物は、建築家ポール・アバディ晩年の作品です。

風化するほど白くなるという性質の石材が使われたその外観は、1919年の完成から90年以上経った今も鮮烈な白で見る者を圧倒します。 ファサード中央のキリスト像は、サクレクール(聖なる御心)への信仰を示すこの教会のシンボル。向かって右のジャンヌ・ダルク像、左の聖王ルイ像はともに、H・レフェーブルの手によるものです。
らせん階段を200段あまり登ると眼下に広がるドーム上からのパリの眺望、そして寺院内のモザイク画も見どころ。本作では探偵映画ばりにアメリがニノを翻弄するシーンで丘の斜面が使われていますが、背景に登場するメリーゴーランドは寺院前広場に実在しており、クラシカルな雰囲気が「アメリ」の世界観を思い起こさせます。

『幸せになる。』 ■Introduction

『デリカテッセン』『エイリアン4』のジャン=ピエール・ジュネ監督がモンマルトルを舞台に描いた、チャーミングなコメディ映画。
主人公アメリを演じるのは、『エステサロン/ヴィーナス・ビューティ』で注目を浴びたオドレイ・トトゥ。また、アメリの相手役を、フランスきっての若手人気監督であり、自作の『アサシンズ』などで異才を発揮する俳優、マチュ−・カソヴィッツが演じる。さらに、人気コメディアンのジャメルや、ドミニク・ピノン、リュフュス、イザベル・ナンティと、個性豊かな俳優たちが脇を固める。

■Story

子供の頃から空想好きだったアメリ・プーラン(オドレイ・トトゥ)。ある日、アメリはバスルームの壁の中から40年前その部屋の住人だった少年の宝箱を見つける。それをアメリは奇跡が起こったかのような悪戯を仕掛けて、持ち主へ返す。そしてその男の人生を優しく希望に満ちたものに変えるのだった。それはアメリにとっても人生の目的を発見した事件となった。彼女は、まわりの誰かを今より少しだけ幸せにすることを生き甲斐にするのだった。それ以来、順調に“幸せの悪戯”を続けてゆく。自分のことはさておき、カフェの同僚や父親への悪戯に夢中になるアメリ。しかし、スピード写真コレクターの不思議な青年ニノ(マチュー・カソヴィッツ)と出会い、彼のとろけるような優しい笑顔にすっかり恋してしまう。果してアメリは自分の幸せを見つけることができるのか?

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茶の味
  • 茶の味
  • 『茶の味』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元・販売元:BIG TIME ENTERTAINMENT
  • ■価格:¥4,935(税込)
  • 監督:石井克人
  • 出演:坂野真弥、佐藤貴広、浅野忠信、手塚理美、我修院達也、土屋アンナ、中島朋子、三浦友和、轟木一騎 他

(C)2003「茶の味」製作委員会

人の手の温かみに満ちた昭和モダンの家

「ノートに書きためていた、ちびまるこちゃんをもうひと展開したような感じの物語がこの作品につながった」

本作が生まれたきっかけについてそう語った石井克人監督。不思議でキッチュな映像世界の一方で、そこに描かれる春野家の木造モルタルの家には、日本人ならだれもが「ふるさと」を感じるようなノスタルジーがつまっています。

瓦屋根の下、家族が集まってお茶を飲んだり、囲碁を打つのは日の当たる縁側。目立った装飾も立派な柱もないけれど、引き戸の桟や雨戸にも無垢材が使われ、人の手の温かみに満ちた建物です。キッチンのタイルやクロス、ちゃぶ台や寝具に使われたファブリックには、現代風にアレンジした60年代テイストが散りばめられており、生活感だけを前面に出さないセンスの良さ。
映画のロケ地となったのは栃木県茂木町ですが、建築物としてより見応えがあるのは、小学生の幸子が通う学校として描かれた町内の旧木幡小。2006年に開校から133年の歴史を閉じたという、この古き良き昭和レトロな木造校舎は、NPO法人が運営する「昭和ふるさと村」となり、現在は宿泊・体験施設として利用されています

『みんな夕焼けみてた、宇宙のはじっこで。』 ■Introduction

美しく心の和む山間の自然を背景に描かれる、奇妙でそれでいて抱きしめたいくらい愛しい、ある一家の物語。監督は、『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』の石井克人。巨大な分身の出現に悩む小学生・幸子を演じるのは、本作が本格的な映画デビューとなる坂野真弥。そして、恋多き高校一年生の一役を『独立少年合唱団』の佐藤貴広がナチュラルに演じる。二人の父母役には、円熟してますます役者としての華を感じさせる手塚理美と三浦友和。また、石井監督の前二作にも出演しているアヤノ役・浅野忠信、アヤノを“振った”元恋人役・中嶋朋子、一が一目惚れしてしまう転校生役・土屋アンナ、特殊メイクで老け役に挑んだアキラ役・我修院達也といったキャストがしっかり脇を固めている。

■Story

山間の小さな町に住む春野家の人々は、春霞のような小さなモヤモヤを心に抱えている。長男の一(佐藤貴広)は片思いの女の子が転校してしまったショックでうちひしがれていた。一方、小学校に入学したばかりの妹、春野幸子(坂野真弥)の悩みは、ときどき巨大な自分の分身が勝手に出現し、家の庭先や、学校の校庭で自分のことをじっと見下ろしていることだった。子育ても一段落した母の美子(手塚理美)は再開したアニメーターの仕事に没頭し、引退したアニメーターであり春野家の祖父、アキラおじい(我修院達也) に、日夜指導を受けている。そんな妻とアキラおじいの関係が面白くなく、催眠治療士である父のノブオ(三浦友和)は、夫婦間に微妙なミゾを感じているのだった…。

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