オルセー美術館(フランス〜パリ)
駅舎を経て美術館となった印象派の殿堂

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想像力豊かでちょっと不思議な女の子の恋を描き一世を風靡(ふうび)したジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』。その8年後に製作された『ミックマック』は、発砲事件に巻き込まれ、頭に銃弾が残ってしまった男が一風変わった仲間と共に兵器製造会社へ復讐(ふくしゅう)を企てる物語です。『アメリ』同様、濃厚な色彩と少し毒っ気のあるジュネ独特の映像は本作でも発揮されており、パリを舞台にワクワクするような物語が展開します。
主人公バジルが、彼を助ける7人の仲間の1人と出会った場所が、セーヌ川左岸に建つオルセー美術館前です。フランスの国立美術館であるここには、1848年から1914年までの西洋美術を専門とした作品が展示されており、ルノワール、モネ、マネなどの印象派作品やポスト印象主義と呼ばれるセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどの絵画作品の他、彫刻、写真、装飾芸術など4000にも及ぶ作品を鑑賞することができます。
オルセー美術館がオープンしたのは1986年。美術館としての歴史は比較的新しいですが、1900年のパリ万博に合わせて建設されたパリ・オルレアン鉄道のオルセー駅を基にしており、建物自体は古い歴史を持っています。時代の波に合わず、長距離列車のターミナル駅から近距離列車駅へと役目を変えたオルセー駅は、取り壊しの危機を乗り越え、元の建物を生かした美術館として生まれ変わることになります。コンバージョンを担ったのは、A.C.T.建築事務所の若い建築家3人。内部装飾はイタリア人建築家ガエ・アウレンティが担当しました。鋳鉄の支柱やボザール様式の装飾、駅のシンボル「大時計」などはそのまま残し、天蓋(てんがい)の下の空間を柔らかな自然光が降り注ぐ彫刻展示スペースに、プラットホームをギャラリーに変え、かつての駅舎は19世紀当時の雰囲気も残しながら、名作をゆったりと味わう美術館へと華麗な変身を遂げました。また、2011年には大規模改修を行い、これまで白やベージュを基調としていたギャラリーは、ダークトーンへ一新。最新の照明技術や温かみのあるフローリングなどにより、名画の魅力をより味わえる展示室となっています。
世界が平和でありますように。
■Introduction『デリカテッセン』『アメリ』などのヒット作を手掛けたジャン=ピエール・ジュネが監督・脚本を務めた、ユーモラスでファンタジックなハートウォーミングコメディー。主演にフランスを代表するコメディアン、ダニー・ブーンを迎え、巨悪と戦うために「ミックマック(いたずら)」大作戦を繰り広げる男のドラマを描く。
■Storyレンタルビデオ店で働くバジル(ダニー・ブーン)はある日、店の外の発砲事件に巻き込まれ、頭にピストルの弾を受けてしまう。一命は取り留めたものの、頭には弾が残ったまま。仕事も家も失ったバジルの前に現われたのは、とても“ユニーク”な仲間たちだった。新たな人生を歩み始めたバジルは、ある日、自分の頭に残った弾を作っている会社を見つける。さらにその向かいにあったのは、父の命を奪った地雷の製造会社だった。バジルはユニークな仲間たちと共に、誰も思い付かないような“死の商人”への仕返しを開始する。