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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

るろうに剣心
  • るろうに剣心
  • 『るろうに剣心』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:アミューズソフト
  • ■価格:¥2,838+税
  • 監督:大友啓史
  • 出演:佐藤 健 武井 咲 吉川晃司 蒼井 優 青木 崇高
    綾野 剛 須藤 元気 田中 偉登 奥田 瑛二 江口 洋介
    香川 照之 他
 

(C)和月伸宏/集英社 (C)2012「るろうに剣心」製作委員会

仁風閣(日本〜鳥取)

鳥取城跡に建てられた白亜の洋館


仁風閣(日本〜鳥取)

(C)photolibrary

明治時代、文明開化の訪れとともに登場した「西洋館」。これは日本で建設され西洋の建築様式を用いた建物のことで、「洋館」ともいわれています。和洋折衷の美をたたえた数ある洋館の中でも、中国地方屈指の名建築とうたわれているのが鳥取県鳥取市にある仁風閣(じんぷうかく)です。フレンチルネッサンス様式を基調とした木造瓦ぶきの二階建てで、白亜の優雅な外観と美しい日本庭園を持ち、国の重要文化財に指定されています。

明治40年(1907年)に、旧鳥取藩主池田仲博侯爵の別邸として建築され、当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の山陰行啓時において御宿所として利用されたこの建物は、櫛形破風(くしがたはふ)の棟飾りを主にした端正な佇まいの正面と、ガラス窓を多用した開放的な背面、という異なる雰囲気を持つ優美な館です。「仁風閣」という名前は、この行啓に随行した海軍大将・東郷平八郎が名付けたもので、館内には直筆の額が飾られています。このほか御座所や御寝室、謁見(えっけん)所などの各部屋には、暖炉やカーテンボックスなど、随所に意匠を凝らした装飾が施されています。また、仁風閣での一番の見どころといえば、建物左側にある八角尖塔(せんとう)の、らせん階段です。この階段には支柱がなく、支えているのは硬いケヤキを彫った、「ささらげた」と呼ばれる6枚の厚板。階段が描く高さ4メートルの美しい曲線は職人技が光る、まさに芸術品です。

この仁風閣は、佐藤健主演の映画『るろうに剣心』シリーズ第1作目の劇中、香川照之演じる悪徳商人・武田観柳の屋敷として使われました。観柳を成敗するために屋敷に乗り込んだ剣心(佐藤健)と左之助(青木崇高)が、およそ200人を相手に敷地内の日本庭園で大立ち回りを演じるほか、邸内でも「剣 vs 銃」「拳 vs 拳」など、ド派手な戦いが展開。この撮影風景は館内に展示されているので、訪れた際はお見逃しなく。

かならず、帰る。

■Introduction

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、テレビアニメ化もされた和月伸宏の人気漫画「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」を実写映画化。伝説の“人斬り抜刀斎”と名高い主人公の緋村剣心を演じるのは佐藤健。剣心が明治維新以後、“殺さずの誓い”を立て、町から町へと流浪の旅を続ける姿を描く。ヒロイン・神谷薫役には武井咲。その他、蒼井優や香川照之など、若手からベテランまで実力派俳優陣が集結。監督はNHK大河ドラマ「龍馬伝」や『ハゲタカ』で知られる大友啓史が務める。

■Story

今から約140年前、動乱の幕末。最強の暗殺者と恐れられ、“人斬り抜刀斎”と呼ばれた男がいた。神より速く、修羅より強い、維新の志士。一対多数の戦いを得意とし、剣を抜いたら最後、生き残る者はいない。戦いが終わり、明治という新しい時代が訪れ、抜刀斎は姿を消した。「最強」の伝説だけを残して―。あれから10年、いまだ乱れる世に現れた、独りの男。それは「斬れない刀=逆刃刀」で人を助ける、流浪人・緋村剣心(佐藤健)。彼の正体は、もう決して人は殺さない<不殺(ころさず)の誓い>を立てた抜刀斎だった。大切な人たちが平和に暮らせる時代を作るため、今、剣心の真の戦いが始まる―。

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マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ
  • マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ
  • 『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:松竹
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:レベッカ・ミラー
  • 出演:グレタ・ガーウィグ イーサン・ホーク
    ジュリアン・ムーア マーヤ・ルドルフ 他
 

(C) 2015 LILY HARDING PICTURES, LLC ALL RIGHTS RESERVED. ©JON PACK, HALL MONITOR INC.

こじらせ女子が考える理想の(?)人生プラン

純粋で無邪気、故に暴走気味の“こじらせ女子”マギー(グレタ・ガーウィグ)、優柔不断だけど憎めない学者のジョン(イーサン・ホーク)、ジョンの元妻で教授として働くバリバリのキャリアウーマンであるジョーゼット(ジュリアン・ムーア)。この3人のちょっと奇妙な三角関係を描いたのが『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』です。不倫、略奪、元妻と現在の妻との共謀…と、ドロドロな要素満載なのに、ウディ・アレンの作品を思わせる軽妙でウィットに富んだ物語です。

仕事はできるけど、どこか不器用な3人がそれぞれ暮らす家は、三者三様で魅力的。マギーの独身時代の部屋を一言でいえば「本の家」。赤い壁紙の部屋には、天井まで届く本棚と腰高の本棚が置かれていますが、そこにも収まり切らないほどの本が、さらに山を作っています。結婚後のジョンとマギーの家は水色を基調とし、いかにもニューヨークらしい、倉庫を改装した家。開放的な空間には観葉植物がたくさん置かれ、娘のカラフルなおもちゃが部屋のアクセントになっています。一方、グレーを基調としたジョーゼットの家は、現代アートがセンスよく並んだモダンな家。隙がない様子がいかにも“デキる女”を物語っています。そんな、まったくタイプの違う3人が、くっついたり離れたり―。

よく言えば純粋、悪く言えば自分勝手な主人公がとてもキュートに見えるのは、ヒロイン・マギーを演じたグレタ・ガーウィグの力。ナチュラルな演技が評価され、共同脚本としても名を連ねた『フランシス・ハ』、アカデミー賞監督賞にもノミネートされた監督作『レディ・バード』など、女優、脚本家、監督をこなす彼女は、今、映画界を席巻する存在。今後の彼女の活躍にご注目ください。

とっ散らかった人生ほど、愛おしい。 ■Introduction

『50歳の恋愛白書』で、年の差がある男女の恋愛描写が高い評価を受けた女性監督レベッカ・ミラーが、ニューヨークで暮らす男女の奇妙な三角関係を描いたハートフル・コメディー。主人公マギーを演じるのは、『フランシス・ハ』で脚本も務め、注目を浴びたグレタ・ガーウィグ。現在の妻であるマギーと元妻の間でどっちつかずのダメ夫ジョンを演じるのは、イーサン・ホーク。前妻ジョーゼットを、『アリスのままで』のジュリアン・ムーアが演じる。

■Story

NYの大学でアーティスト・コーディネーターとして働くマギー(グレタ・ガーウィグ)は、小説家を目指す新進気鋭の文化人類学者ジョン(イーサン・ホーク)と出会い、恋に落ちる。ジョンは既婚者で妻ジョーゼット(ジュリアン・ムーア)は教授として働くバリバリのキャリアウーマン。しかし、家庭を顧みない妻に疲れ果てたジョンは離婚を決意し、マギーと再婚する。数年後、娘も授かり幸せに見えた2人だが、仕事も辞め小説家の夢を追い続けるジョンとの結婚生活に不安を感じるマギー。さらに、ジョーゼットが今でもジョンを深く愛していると気付いたマギーは、ジョンはジョーゼットと一緒にいた方が、きっと幸せになれると考え、【夫を前妻に返す】という、とんでもない計画を思い付く。

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