仁風閣(日本〜鳥取)
鳥取城跡に建てられた白亜の洋館

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明治時代、文明開化の訪れとともに登場した「西洋館」。これは日本で建設され西洋の建築様式を用いた建物のことで、「洋館」ともいわれています。和洋折衷の美をたたえた数ある洋館の中でも、中国地方屈指の名建築とうたわれているのが鳥取県鳥取市にある仁風閣(じんぷうかく)です。フレンチルネッサンス様式を基調とした木造瓦ぶきの二階建てで、白亜の優雅な外観と美しい日本庭園を持ち、国の重要文化財に指定されています。
明治40年(1907年)に、旧鳥取藩主池田仲博侯爵の別邸として建築され、当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の山陰行啓時において御宿所として利用されたこの建物は、櫛形破風(くしがたはふ)の棟飾りを主にした端正な佇まいの正面と、ガラス窓を多用した開放的な背面、という異なる雰囲気を持つ優美な館です。「仁風閣」という名前は、この行啓に随行した海軍大将・東郷平八郎が名付けたもので、館内には直筆の額が飾られています。このほか御座所や御寝室、謁見(えっけん)所などの各部屋には、暖炉やカーテンボックスなど、随所に意匠を凝らした装飾が施されています。また、仁風閣での一番の見どころといえば、建物左側にある八角尖塔(せんとう)の、らせん階段です。この階段には支柱がなく、支えているのは硬いケヤキを彫った、「ささらげた」と呼ばれる6枚の厚板。階段が描く高さ4メートルの美しい曲線は職人技が光る、まさに芸術品です。
この仁風閣は、佐藤健主演の映画『るろうに剣心』シリーズ第1作目の劇中、香川照之演じる悪徳商人・武田観柳の屋敷として使われました。観柳を成敗するために屋敷に乗り込んだ剣心(佐藤健)と左之助(青木崇高)が、およそ200人を相手に敷地内の日本庭園で大立ち回りを演じるほか、邸内でも「剣 vs 銃」「拳 vs 拳」など、ド派手な戦いが展開。この撮影風景は館内に展示されているので、訪れた際はお見逃しなく。
かならず、帰る。
■Introduction「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、テレビアニメ化もされた和月伸宏の人気漫画「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」を実写映画化。伝説の“人斬り抜刀斎”と名高い主人公の緋村剣心を演じるのは佐藤健。剣心が明治維新以後、“殺さずの誓い”を立て、町から町へと流浪の旅を続ける姿を描く。ヒロイン・神谷薫役には武井咲。その他、蒼井優や香川照之など、若手からベテランまで実力派俳優陣が集結。監督はNHK大河ドラマ「龍馬伝」や『ハゲタカ』で知られる大友啓史が務める。
■Story今から約140年前、動乱の幕末。最強の暗殺者と恐れられ、“人斬り抜刀斎”と呼ばれた男がいた。神より速く、修羅より強い、維新の志士。一対多数の戦いを得意とし、剣を抜いたら最後、生き残る者はいない。戦いが終わり、明治という新しい時代が訪れ、抜刀斎は姿を消した。「最強」の伝説だけを残して―。あれから10年、いまだ乱れる世に現れた、独りの男。それは「斬れない刀=逆刃刀」で人を助ける、流浪人・緋村剣心(佐藤健)。彼の正体は、もう決して人は殺さない<不殺(ころさず)の誓い>を立てた抜刀斎だった。大切な人たちが平和に暮らせる時代を作るため、今、剣心の真の戦いが始まる―。