名首相を生んだ英国を代表するカントリーハウス
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嵐に巻き込まれ流れ着いた小人の国"リリパット国"を舞台に、ガリバーが大暴れするジョナサン・スウィフト原作の『ガリバー旅行記』。本作でリリパット国の王宮の舞台となったのが、英国を代表するカントリーハウスのブレナム宮殿です。
ロンドンの北、約90km。ウッドストックにあるブレナム宮殿は、1987年に世界遺産に登録されたバロック建築の邸宅で、2002年に「偉大な英国人」第1位(BBC調べ)に選ばれたチャーチル首相の生家としても知られています。1704年、マールバラ公ジョン・チャーチルがスペイン継承戦争での功績によりアン女王から送られたこの邸宅は、建築家ジョン・ヴァンブラ設計の元、20年の歳月をかけて完成しました。
2000エーカー以上ある広大な敷地は、東京ドームのなんと181個分。宮殿の内部には本館と翼棟あわせて200ちかくの部屋があり、タペストリーやフレスコ壁画、絵画などで装飾された華やかな内装は、個人の邸宅とは思えないほどの豪華さです。また、英国随一の造園家ケイパビリティ・ブラウンが生み出した自然を再現した風景式庭園は、いまのイングリッシュ・ガーデンの礎といえる場所。滝や湖、バラ園などカリスマ造園家が作り上げた風景は訪れる人たちの目を楽しませます。
そのスケールの大きさに圧倒されるブレナム宮殿ですが、本作では宮殿の一番高い塔もガリバーの胸あたり。ガリバーの目線に重ねて、なかなか見られないアングルをお楽しみください。
『そこは、本当の"大きさ"を教えてくれる国。』
■Introduction
ジョナサン・スウィフトが1726年に発表した小説「ガリバー旅行記」を現代風にアレンジした本作。監督はロブ・レターマン。出演は、『スクール・オブ・ロック』『僕らのミライへ逆回転』のジャック・ブラック、『プラダを着た悪魔』『サンシャイン・クリーニング』のエミリー・ブラント、『17歳の処方箋』『メリンダとメリンダ』のアマンダ・ピートほか。現代のNYから中世へタイムスリップしてきたガリバーが、身長8cmの小人の国で繰り広げる、大vs小のミスマッチのおもしろさが話題に。
■Story
時は現代--。都会の新聞社で、しがない郵便係をするレミュエル・ガリバー(ジャック・ブラック)は、失敗を恐れるあまりすぐに諦めてしまうさえない男だった。ある日、ハッタリで手にした仕事で、取材へ出掛けるが、船が遭難し、小人の国へ迷い込んでしまう。そこでは"大きな体"のガリバーは人生で初めて頼りにされ、つい自分は大統領だと嘘をついてしまう。国中の人気者になったガリバーだが、あることがきっかけで信頼を失うことに。果たしてガリバーは体の大きさだけでなく、本当のヒーローになれるのか…。

物語の舞台である1950年代のアメリカは、戦争が終わり人々が豊かさを享受していた時代。芝生の庭や光がさんさんと降り注ぐ家々が立ち並ぶ郊外の町は、アメリカ人たちが求めた理想郷でした。また、自由な発想と近代的なデザインが特徴のミッドセンチュリー全盛期でもあり、映画の冒頭に登場する彼らの家には、イームズやブルーノ・マットソン、ノールなどの名作家具が随所に見られます。
テキサス州の小さな町で父・母、弟2人と暮らすジャック。厳格で、自身の果たせなかった夢を息子に託す父と、神の信仰のもと無償の愛を与える美しい母という正反対の価値観を持つ両親に育てられた彼は、建築家として成功を収めた今でも自己との葛藤を繰り返していました。手入れの行き届いた芝生の庭で兄弟と遊ぶとき、優しい母に本を読んでもらうとき、緊張感をはらんだ父との会話。喜び、怒り、いらだち、憧れ、怖れ、希望……。家族と暮らす日常の中で芽生える様々な感情をテレンス・マリック監督は、激しいマグマを噴き上げる火山や荒れ狂う大地、海藻がたゆたう海、宇宙や微生物などの映像を挟みこんで、父と子の確執を軸にした家族のドラマにとどめず、根源的な視点で"生命"とは何か?と私たちに訴えかけていきます。
圧倒的なビジュアルに引き込まれながら、家族について、個々の存在についてなど様々なことを考えさせられる本作。監督がこだわった素晴らしいビジュアルとその世界観は、きっと皆さんのイマジネーションを刺激するに違いありません。
『父さん、あの頃の僕はあなたが嫌いだった。』
■Introduction
1950年代のテキサスを舞台に、厳格な父と優しい母との間で葛藤しながら成長した男の40年に渡る家族の物語を描く。監督は、『シン・レッド・ライン』『アメイジング・グレイス』のテレンス・マリック。出演は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のブラッド・ピット、『ミルク』のショーン・ペン、『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』のジェシカ・チャステイン 。ごく平凡な一家の物語を丁寧に描く一方、壮大で叙事詩的な映像を挟みこみ、見るものをそれぞれの思索にいざなう。第64回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。
■Story
ジャック(ショーン・ペン)は実業家として成功していたが、人生の岐路に立つ。そして深い喪失感のなか、少年時代を回想する。1950年代半ばの中央テキサスの小さな田舎町で、幸せな結婚生活を送るオブライエン夫妻とジャック、2人の弟たち。一見平穏に見える家庭だったが、ジャックにとって心安らぐ場ではなかった。社会的な成功と富を求める父(ブラッド・ピット)は、力こそがすべてだと考える厳格な男だった。父に反感を抱きながら、父に似た成功への渇望や力への衝動を感じ、暗黒の淵に囚われそうになり…。
