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今月のオススメの一冊

建築をテーマにしたコミック

『匠三代』

匠三代本作は、一級建築士の小野寺拓巳、社長を務める父・小野寺玄、大工の棟梁の祖父・小野寺虎之助の親子三代で営む「小野寺工務店」を舞台に、彼らの優れた仕事ぶりをハートフルに描いたコミックです。「小野寺工務店」は、構えは小さいものの、客が絶えることのない地元でも評判の工務店。 “匠三代” と呼ばれ親しまれている拓巳と父、祖父の3人は、住む人の顔が見えるまで繰り返し依頼主を訪ねるなど、熱心な仕事ぶりが評判です。小野寺工務店のもとには、「亡くした娘の部屋を残したままリフォームしたい」、「老後のためにマンションに建て替えたいけれど、立派な家を取り壊したくない」といった無理難題な依頼が舞い込みますが、拓巳は光るアイデアと真摯(しんし)な会話で、顧客の不安を見事に解決。日当たりが望めない上、風が通り抜けにくい立地に一軒家を建てたいという夫婦の希望も、中庭を作るプランで解決してみせます。その他、漫画とはいえ、依頼主の相談内容も、解決方法も、すべてがリアルで本格派。それもそのはず、本作の監修を務める天野彰氏は、某有名リフォーム番組に出演した経験を持つ、まさしくリフォームの匠。もちろん原作者である倉科遼が紡ぐ下町ホームメイクドラマも、漫画家・佐藤智一の温かみのある絵柄も、エンターテインメントとして一級品。あなたの “家” への思いを変える、本格家づくりコミックをお楽しみあれ。

『匠三代』 『匠三代』
  • ■発行所:小学館
  • ■原作:倉科 遼
  • ■作画:佐藤 智一
  • ■原案・監修:天野 彰
  • ■参考サイト:小学館のウェブサイト
  • ■価格:¥533+税


『そろそろ家の話をしましょう。』

そろそろ家の話をしましょう。主人公・室井健人は、約10年勤めていた設計事務所から独立し、マイホーム設計の仕事で生計を立てるべく奔走する一級建築士です。こう聞くとよくある建築士の仕事をテーマにした仕事系コミックなのですが、この作品に登場する依頼は無理難題を超えて、とんでもないものばかり。若夫婦家族の希望に沿った新築を設計しようと意気盛んにしていると、地下から「とんでもないもの」が発見されたり、築100年以上の擬洋風建築のリフォームに取り組もうとすると幽霊騒ぎに巻き込まれたり…。室井のリアルな仕事ぶりと、現実には起こり得ない不思議な世界が入り混じる点が、この作品最大の魅力です。思わず音を上げたくなるような厄介な依頼がきたとしても、「夢と希望のマイホーム」を実現するべく悪戦苦闘する室井の姿にシンパシーを覚える建築士は多いのではないでしょうか。1巻は「埋められたもの」「空とつながる家」「素顔を映す家」「特殊能力」「建物探訪」「因縁の男」の6話を収録。基本的には1話ごとに物語が完結するため、どこからでも読みやすいところも、このコミックのポイントです。ちなみに1巻の表紙に描かれているのは、世界の建築士に多大な影響を与えたル・コンビュジエが設計した東京・上野の「国立西洋美術館」。建築に仕事として関わる人はもちろん、すべての建築好きに送る、どたばた建築士コメディーです。

『そろそろ家の話をしましょう。』『そろそろ家の話をしましょう。』

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