クラブ・エス ウェブマガジン

Monthly FACE ~極める人々~

福田雄一さん(映画監督)

Profile

1968年生まれ、栃木県出身。90年に成城大学演劇部を母体にした劇団「ブラボーカンパニー」を旗揚げし、全作品の構成・演出を担当。それと並行して、「新・堂本兄弟」「いきなり!黄金伝説。」など、放送作家として多くのバラエティ番組に携わる。ほかにも、テレビドラマや映画の脚本家・監督としても活動の幅を広げている。手掛けてきたドラマ・映画は「勇者ヨシヒコ」シリーズ、『コドモ警察』『HK/変態仮面』『俺はまだ本気出してないだけ』ほか多数。5月30日公開の映画『薔薇色のブー子』に続いて、6月7日には映画『女子ーズ』(監督・脚本)が公開される。

福田監督が感じた、HKT48指原さんの“変化”

ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ、映画『HK/変態仮面』のほかにも数々の“笑える”作品を手掛けてきた、日本を代表する喜劇作家の一人・福田雄一さんの最新監督作『薔薇色のブー子』が、5月30日から公開されます。主演は、AKB48選抜総選挙(2013年度)で第1位に輝いたHKT48の指原莉乃さん。福田さんは、指原さんの連続ドラマ&映画初主演作となった『ミューズの鏡』のほかにも複数の作品で指原さんを起用。自身が構成・演出を務めるバラエティ番組「指原の乱」でもタッグを組んでおり、指原さんのさまざまな魅力を引き出してきました。そんな福田監督は、今作の撮影で指原さんの“変化”を感じたといいます。

「これまでは休憩時間になると端っこのほうに行って、一人で体育座りしながらスマートフォンをいじっているようなイメージだったんですけど、今回はほかのキャストさんやスタッフに積極的に喋りかけていました。クランクインして2日目くらいに『映画はたくさんの人が動くけど、その人たちは全員さっしーが良く見えるために頑張ってるんだよ』っていう話をしたんですけど、めずらしく真面目に話を聞いて(笑)、『わかりました』って。

出会って最初の頃は『映画はセリフを憶えないといけないし、つらいばっかでやだ』って言ってたんですけど、今回はそれが変わりましたね。スタッフはいい人だし、キャストもみんな面白い人たちで楽しい、って。でも、それは彼女が積極的にみんなに接することで感じられたものだと思うんですよね。だって、(ほかの作品でも)ずっと同じ撮影チームでやってるんですもん。もともと知ってるはずなんですよ、彼らを。当然、主演女優に話し掛けられたらみんな嬉しいから、現場はすごい楽しそうな雰囲気になっていました。だから、彼女自身も楽しかったんだと思います」

『薔薇色のブー子』は思い切った挑戦作

イメージ

(C) 2014「薔薇色のブー子」製作委員会

『薔薇色のブー子』は、そんな撮影現場の楽しい雰囲気が伝わってくるようなコメディ作品。主演の指原さんをはじめ、ユースケ・サンタマリアさん、ムロツヨシさん、田口トモロヲさん、片桐はいりさん、佐藤二朗さんなど豪華キャストが勢揃いしています。

「不安だったんですよ。僕にとっては、久しぶりのストレートなお笑い映画だったので。かなり思い切った挑戦でした。というのも、最近は“カッコイイ感じで、とんでもなくくだらないことを言う”っていう作風で、ずっとやってきたんです。それって、作品を観た人が『かっこつけて何言ってんだよ!』とつっこむことで笑いが生まれるんですけど、今回は久しぶりに、その“ワンクッション”をなくしているんです。ストレートに笑いどころを見せるからには、ちゃんと笑えないとまずい。そうなると、やっぱり、自分の知っている方々の力が必要だなと。

みんな、僕がこれまでに仕事してきた人でもあるんですけど、『指原だったら面白い』と集まってくれました。マギーには、『これで映画の仕事を辞めるのかっていうぐらい、いままでのファミリーが勢揃いしてるよね』って言われたぐらい(笑)」

いまの自分は“ボケ”の前の“フリ”の段階

福田さんは、ドラマや映画の監督・脚本のほかにも、バラエティ番組の構成作家、舞台の劇作家・演出家として、さまざまなメディアで活躍。周りの人によく「手広いね」と言われるそうですが、「やっていることは一緒」と話します。

「メディアが違うだけで、“笑い”以外のことはしたことがないんです。たとえば、僕が情報系の番組とか、恋愛ドラマをやったりしたら手広いって言っていいと思うんですけど、“笑ってもらう”っていうことを起点にしたものしかやってないんで。そこ以外のものに手をつけたことは一回もないですし、たぶん、これからもないです」

そう話す一方で、胸に秘めている思いがあるといいます。

「僕が子供の頃から“創作の師”と仰いでいる、ザッカー兄弟とジム・エイブラハムズという人たちがいて、彼らは『裸の銃を持つ男』『フライング・ハイ』とか、くだらない映画ばっかりつくってきたのに、急に『ゴースト/ニューヨークの幻』(という恋愛映画)をつくったんです。…あれ、絶対に彼らの“ボケ”だと思ってるんですよ。『そんな映画つくるやつらじゃねーだろ!』と言われたくてやっているとしか思えないんですよ、僕には(笑)。でも、あれはいいボケだなと思うんですよね。いつしか自分もやっときたい、と思うんです。だから、いまは“フリ”の段階ですね。『あいつはくだらない映画しかつくらない』っていうことを世間のみなさんに知っていただいてから、『ゴースト』をやりたいですね」

舞台・ドラマ・映画・バラエティ番組――さまざまなメディアで、私たちに“笑い”を提供している福田さんが、“笑い”に重点を置いている理由を尋ねました。

イメージ

「単純に、人に喜んでもらう手段として、笑い以外のことを知らないんだと思うんですよね。子供の頃から染み付いたものなんです。というのも、家庭がそうだった。小学生の頃から、クレイジーキャッツの映画を見させられるような家でしたから。あと、父は地方の新聞記者だったんですけど、家にお客さんが来ると、まあ親父がその人を喜ばせるんですよ。とにかく人を笑わせるのが得意で。そういう姿を見てきたから、それが一番のコミュニケーションツールだと思ってるんじゃないですかね、いまも。やっぱり、笑ってもらうのが一番だと。そこはたぶん、信じて疑わないんだと思います」

ページトップ

薔薇色のブー子

(C) 2014「薔薇色のブー子」製作委員会

  • 薔薇色のブー子
  • 『薔薇色のブー子』
  • 『薔薇色のブー子』公式ホームページ
  • ■公開:5月30日(金)より、全国ロードショー
  • ■配 給:東宝映像事業部
  • 監督・脚本:福田雄一
  • 出演:指原莉乃/ユースケ・サンタマリア/ムロツヨシ/鈴木 福 他
 

日本よ、これは映画か!?

■Introduction

2013年、日本のトップアイドルAKB48の頂点に君臨した指原莉乃の、総選挙1位のお祝いとして企画された抱腹絶倒のコメディ映画。監督を務めるのは、ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ、映画『HK/変態仮面』『俺はまだ本気出してないだけ』、舞台「フル・モンティ」ほか、数々のバラエティ番組も手がける、構成作家・劇作家・舞台演出家・映画監督として話題作を生み出している福田雄一。福田監督ならではのテンポ感のある世界観のなか、指原はアイドルとしてはほとんど捨て身の変顔まで披露した。その他、ムロツヨシや佐藤二朗など福田作品の常連メンバーや、ユースケ・サンタマリア、田口トモロヲのほか、お笑い芸人がさまざまな役どころで出演。爆笑を巻き起こす個性豊かな共演陣が集結している。

■Story

イメージ

(C) 2014「薔薇色のブー子」製作委員会

いつかは少女漫画のような出会いがあると信じている大学生の幸子(指原莉乃)は、夢見ていた華やかなキャンパスライフには縁遠く、部屋にこもっては少女漫画を読む日々を送っている。思えば、子供の頃から何かに文句ばかり言っている人生で、ついたあだ名は“ブー子”。そんなある日、漫画の趣味がぴったり合うジョニー・デップ似という男の子、スパロウさんとツイッター上で知り合った幸子は、「この人と会って、私は変わるんだ!」と心に誓う。22時に会う約束をし、彼に会うために意気込む幸子だが、なぜかありえないトラブルに襲われ続ける。新しい自分を見つけようと立ち上がった幸子の、前途多難な計画の行方は。そして、運命の人・スパロウさんには会えるのか。

ページトップ